IoTプロダクトにおけるインクルーシブデザインの必要性
エピソード2
Report
:共創から生まれるインクルーシブなIoTプロダクト事例集

【連載第2回】 共創から生まれるインクルーシブなIoTプロダクト事例集
IoTプロダクトが普及する一方で、誰もがその恩恵を受けられているとは限りません。デジタル環境にアクセスできない、あるいは十分に活用できない人が取り残されてしまう可能性があります。
Digital Poverty(デジタル貧困)とは、Digital Poverty Alliance(DPA)によると次のように定義されています。「個人が必要なときに、必要な場所で、必要な方法で、オンラインの世界と完全に交流することができないこと」
2023年のDeloitteによるリサーチによると、イギリスでは、16歳以上の約1,300〜1,900万人(人口の24〜34%)がデジタル貧困に陥っていると推定されています。特に高齢者や低所得層、失業者が影響を受けやすいです。例えば、高齢者の2人に1人がデジタル貧困にあり、5人に1人が深刻なデジタル貧困にあります。また、約20%の子どもがデジタル貧困に直面しています。デジタル貧困は、教育、健康、雇用、社会的包摂など、さまざまな分野に深刻な影響を及ぼします。

出典:Digital Poverty in the UK Deloitte (2023) 、Digital Poverty Alliance
デジタル貧困の解消による効果ーイギリスの事例
デジタル貧困の解消に向けた介入は、個人、政府、企業にとって年間数十億ポンド(数千億)の利益を生み出す可能性があると推定されています。これには、人材資本と生産性への積極的な影響を通じて実現される最も重要な利益が含まれます。

ユーザーと共創することでデジタル貧困を解決するというアプローチ
従来のプロダクト開発プロセスでは、製品の設計がエンジニアやデザイナー主導で行われることが多く、ユーザーの積極的な参加や多様なニーズへの対応が限定的な場合がありました。このアプローチでは、技術的な完成度や機能性が重視される一方で、ユーザー体験や使いやすさが後回しにされることがあります。
これらの課題を克服するためには、ユーザーの声を積極的に取り入れ、多様な視点を反映した共創型デザインプロセスが必要です。これにより、すべてのユーザーが平等に技術の恩恵を享受できる環境を実現することが可能になります。

共創型のデザインプロセスは、作り手だけでなく、通常の開発プロセスから排除されているユーザーも含めた共創によって行われます。物理的、心理的なアクセシビリティの向上に注目し、誰も取り残されないイノベーションを生み出すことを目指します。これにより、IoTプロダクトの開発において多様な視点が反映され、社会全体の多様性と包括性を反映した製品が実現可能となります。

次の記事からは、実際にユーザーと共創しながら作成されたプロダクトの開発インタビューや、企業が開発したIoT製品の事例をご紹介します。これらの事例を通じて、共創型のデザインアプローチがどのように実践され、社会の多様性と包括性を実現するのかを具体的に見ていきます。
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