ますます多様化する社会 

エピソード1

    Report

    :共創から生まれるインクルーシブなIoTプロダクト事例集

    ますます多様化する社会 

    【連載第1回】 共創から生まれるインクルーシブなIoTプロダクト事例集


    すべての人を包み支え合うインクルーシブな社会の実現へ

    インクルージョンの起源は、1980年代に欧州で生まれたとされています。
    1970年代以降、フランスをはじめとし、移民増加や長期的失業により社会的に排除(エスクルージョン)された人の包摂(インクルージョン)を目指す概念として普及しました。

    日本では2000年に発表された「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」報告書のなかで、すべての人を社会の構成員として包み支え合うソーシャル・インクルージョンの重要性が提言されています。

    最近の動向として、日本政府が発表した2022年度版の「経済財政運営と改革の基本方針」(通称「骨太の方針」)では、「包摂社会の実現」が重要課題として位置づけられています。

    子どもや女性、障害者、性的マイノリティの抱える社会課題の解決自体が付加価値を生み、日本の成長につながると述べられています。

    超高齢社会への突入

    令和5年版の高齢社会白書による試算では、2035年までに高齢者(65歳以上)の人口が3割を超えるといわれています。2021年に改正された高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会の確保が努力義務とされ、高齢者でも働きやすい職場づくりや高齢者に寄り添ったサービスづくりが求められています。

    日本人の約3人に1人が高齢者になることを示す高齢者のイラストと円グラフ

    世界で多様な課題を抱える方たち

    約13億人(世界人口の15%)がなにかしらの障害を抱えながら生活しています。また、家族や施設の介護者など障害によって直接的、間接的に影響を受ける人の数は20億人(世界人口の約30%)に上ります。

    世界で障害を抱える人が全体の15%である約13億人全体の15%であることを示す図

    近年、企業においてD&Iの重要性が高まっています。
    令和4年の「外国人雇用状況」によると、2022年の外国人労働者数は約180万人にのぼり、この10年で外国人労働者数は約3倍に増加しています。こうした背景から、外国人にとっても利用しやすいサービス、プロダクトづくりがこれまで以上に求められています。

    外国人労働者数が10年間で約3倍の182万人に増加した推移を示すグラフ

    出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ 厚生労働省(2023)

    また、経済産業省によると、就職先を選定する際に企業の「多様性や受容性の方針」を重視するミレニアル世代は80%近くおり、特に女性はその傾向が強いようです。多様な人材を確保するためには、D&Iへの取り組みを進めるとともに、対外的に発信していくことが大切だと言えます。

    就職先のD&Iを重視するミレニアル世代は約80%であることを示すグラフ

    出典:「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」 経済産業省(2020)_Internet Archive

    ダイバーシティとイノベーションは相関性があるのか?

    ダイバーシティは企業にとって重要だと言われていますが、実際にイノベーションや業績とどのような関係があるのでしょうか。

    Harvard Business Reviewによると、8カ国1,700社を対象に管理職のダイバーシティを6要素(性別、年齢、出身国、キャリアパス、他の業界で働いた経験、学歴)で測定した結果、対象国全てで、ダイバーシティとイノベーションの成果との間に統計的に有意な関係があることが明らかになりました。

    また、総合的なダイバーシティが平均以上の企業は、収益に占めるイノベーションの割合が平均19%、税引前利益が平均9%高くなっています。

    多様性が平均以上の企業は、収益に占めるイノベーション比率が19%高いことを示すグラフ

    出典:「組織の多様性はどこで、どのように業績を高めるのか」 ダイヤモンド・オンライン

    また、15カ国1,000以上の大企業を対象としたMcKinseyの調査によると、2019年の分析では、経営陣のジェンダーダイバーシティが上位4分の1に属する企業は、下位4分の1に属する企業よりも平均以上の収益性を持つ可能性が25%高く、その差は年々広がっています。(Bottom quartile)

    また、民族・文化的ダイバーシティの場合、2019年には、上位4分の1の企業が下位4分の1の企業を収益性で36%上回っており、その差はジェンダーダイバーシティよりも大きくなっています。(Top quartile)

    ダイバーシティの高い企業ほど収益性が高く、その差は拡大していることを示すグラフ

    出典:“Diversity wins:How inclusion matters” McKinsey & Company

    誰一人取り残されない社会の実現

    私たちの社会は多様化しており、その中でユーザーと一緒にプロダクトを開発することが求められています。これにより、さまざまな視点を取り入れ、より多くのユーザーが使いやすいプロダクトを作ることができます。

    私たちはさまざまなIoTプロダクトに囲まれて生活していますが、まだ解決しなければならない課題があります。次の記事では、英国における「デジタル貧困」に関するリサーチと、それを解決するための一つの方法として「共創型プロダクト開発プロセス」について説明します。

    多様な人と共創することで価値創出や社会との接点拡大を表すイラストを交えた図
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