近年のウェブアクセシビリティのトレンド

エピソード1

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    :美術館と博物館のアクセシビリティ対応状況一斉調査レポート

    近年のウェブアクセシビリティのトレンド

    【連載第1回】美術館と博物館のアクセシビリティ対応状況一斉調査レポート


    Webアクセシビリティに取り組むべき背景

    近年、ウェブサービスの普及に伴い、よりアクセシブルなウェブサイトが求められています。デジタル庁は、ウェブアクセシビリティガイドを公開するなど支援に努めています。

    2024年からは障害者差別解消法が改正され、いままでは努力義務であった民間企業に対しても障害者に対して、申し出があった場合に合理的配慮を提供することが義務化されることになりました。制度の詳細については、内閣府の「障害者差別解消法」ポータルサイトで解説されています。

    これらの取り組みからもわかるように、今後はこれまで以上にウェブ上での対応が求められているといえます。

    公的機関のアクセシビリティの取り組み

    以前から合理的配慮への対応が義務化されており、環境整備も求められてきた公的機関においては、差別解消法の合理的配慮以外の点でもWebアクセシビリティの対応が進められています。

    デジタル社会推進標準ガイドライン

    行政の入札案件への応札者に「情報アクセシビリティ自己評価様式に基づいたアクセシビリティの対応状況」の提出を求めることで、アクセシビリティ環境の整備に努めるとされています。これにより、入札の時点からアクセシビリティへの対応が求められるようになりつつあります。

    障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法

    2022年5月に施行・公布された法律で、障害者による情報の取得利用・意思疎通に係る施策を総合的に推進し、共生社会の実現を目指すことを目的としています。推進法であるため現時点では実効性はありませんが、今後この法律に基づいた活動が増えていくことが期待されます。

    数字で見る多様性

    私たちの身の回りには気が付きづらいさまざまな多様性があります

    • 60代以上のスマホ保有率は8割と、多くの人がスマホを持っています。その一方で、日常的に利用しているのは約50%にとどまります。利用用途も、LINEなど家族との連絡手段にとどまります。

    出典:モバイル社会研究所 「モバイル社会白書」 (2022)

    • 日本語が得意でない外国人の36.8%が「多言語対応している」ことを決め手に銀行を選択しています。この割合は、「サービス内容」を決め手と回答した割合とほぼ同等です。

    出典:WOVN.io「在留外国人が生活サービスに加入する際の情報源と言語について」(2022)

    • インターネットの利用率は年々高まっているものの、障害者の約40%は日常的に利用できていません。

    出典:総務省「障がいのある方々のインターネット等の利用に関する調査研究」(2012)

    多様なユーザーの約95%が施設などに入所・入院せず暮らしていることを示す図

    964万人以上、つまり日本人の約7.6%の人が何かしらの課題を抱えています。さらに、そのうちの約95%にあたる900万人以上が、施設や病院への入所、入院をせずに生活しています。
    出典:内閣府「令和4年版 障害者白書」(2022)

    美術館・博物館におけるアクセシビリティの必要性

    多様なユーザーを抱える美術館・博物館とインクルーシブデザインがもたらす価値

    美術館・博物館がインクルーシブデザインを取り入れることで、多様なユーザーにとってのアクセシビリティと体験の質を向上させることができます。

    近年、SDGsや社会的責任への関心が高まる中、障害者や高齢者、異なる文化背景を持つ人々にも、平等に文化を享受する機会を提供することが求められています。

    アクセシビリティの向上は、利用者層を拡大することで、施設の持続可能性を高めるだけでなく、社会的評価や地域の魅力向上にも貢献します。

    このためインクルーシブデザインプロセスを通した、施設やウェブサイトの取り組みが、今後さらに重要視されていていくと考えられています。

    多様化するニーズに対し、美術館・博物館が幅広いユーザーを受け入れる仕組みを示す図

    東京都 × アーツカウンシル東京「東京芸術文化鑑賞サポート助成」

    インクルーシブデザインの重要性の高まりを受けて、美術館・博物館におけるインクルーシブな取り組みは、個別の工夫にとどまらず、制度としての支援にも広がりつつあります。「東京芸術文化鑑賞サポート助成」は、東京都内で活動する芸術団体や民間団体を対象に、鑑賞サポートを通じて、障害の有無や言語の違いを超えた多様な人々が芸術文化を楽しむことができる環境を整備するもので、手話通訳、音声ガイド、点字の提供、ポータブル字幕機の設置など、幅広い鑑賞サポートが対象となり、最大150万円まで全額助成されます。しかし、これまでの採択事業の中で、美術館やギャラリーにおける活用は見られず、現時点では活用率は0%となっています。この背景には、美術館が主に視覚を通じた体験を提供する場であるため、障害者向けサポートが他の分野より進んでいない現状があると考えられます。

    東京芸術文化鑑賞サポート助成の案内バナー
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