近年のウェブアクセシビリティのトレンド

エピソード1

    Report

    :日経225企業のアクセシビリティ対応状況一斉調査レポート

    近年のウェブアクセシビリティのトレンド

    【連載第1回】日経225企業のアクセシビリティ対応一斉調査レポート


    ウェブアクセシビリティに取り組むべき背景

    近年、ウェブサービスの普及に伴い、よりアクセシブルなウェブサイトが求められています。デジタル庁は、ウェブアクセシビリティガイドを公開するなど支援に努めています。
    2024年からは障害者差別解消法が改正され、いままでは努力義務であった民間企業に対しても障害のある方に対して、申し出があった場合に合理的配慮を提供することが義務化されることになりました。制度の詳細については、内閣府の「障害者差別解消法」ポータルサイトで解説されています。
    これらの取り組みからもわかるように、今後はこれまで以上にウェブ上での対応が求められているといえます。

    公的機関のアクセシビリティの取り組み

    以前から合理的配慮への対応が義務化されており、環境整備も求められてきた公的機関においては、差別解消法の合理的配慮以外の点でもウェブアクセシビリティの対応が進められています。

    デジタル社会推進標準ガイドライン

    行政の入札案件への応札者に「情報アクセシビリティ自己評価様式に基づいたアクセシビリティの対応状況」の提出を求めることで、アクセシビリティ環境の整備に務めるとされています。これにより、入札の時点からアクセシビリティへの対応が求められるようになりつつあります。

    障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法

    2022年5月に施行・公布された法律で、障害者による情報の取得利用・意思疎通に係る施策を総合的に推進し、共生社会の実現を目指すことを目的としています。推進法であるため現時点では実効性はありませんが、今後この法律に基づいた活動が増えていくことが期待されます。

    日経225企業におけるアクセシビリティの必要性

    企業のサービスの多様化が加速するにつれて、幅広いユーザーを受け入れる仕組みの重要性が高まります。

    サービスの多様化に伴い幅広いユーザーを受け入れる仕組みの重要性を示す図解

    多様なユーザーを抱える企業とインクルーシブデザインがもたらす価値

    企業にとってのインクルーシブデザインとは、従来のアプローチでは実現できなかった新たなサービス価値を広げる可能性を持つものです。これまでのマス市場を対象としたデザインでは、多様性が排除されがちでした。
    このままでは、現在、そしてこれからの日本が直面する人口減少や超高齢社会、地方の過疎化などの問題への対処が難しくなることが予想されます。
    また、昨今のコモディティ化したマーケットでは、平均的なニーズを満たすだけでは独自性の創出が極めて難しくなっています。CSRの観点から見ても、特定の顧客接点のみでは取り組みが単一的になり、社会貢献が限定的になってしまいます。

    数字で見る多様性

    私たちの身の回りには気が付きづらいさまざまな多様性があります

    60代以上のスマホ保有率は8割と、多くの人がスマホを持っています。その一方で、日常的に利用しているのは約50%にとどまります。利用用途も、LINEなど家族との連絡手段にとどまります。
    出典:モバイル社会研究所 「モバイル社会白書」 (2022)

    日本語が得意でない外国人の36.8%が「多言語対応している」ことを決め手に銀行を選択しています。この割合は、「サービス内容」を決め手と回答した割合とほぼ同等です。
    出典:WOVN.io「在留外国人が生活サービスに加入する際の情報源と言語について」(2022)

    インターネットの利用率は年々高まっているものの、障がい者の約40%は日常的に利用できていません。
    出典:総務省「障がいのある方々のインターネット等の利用に関する調査研究」(2012)

    課題を抱える人の約95%が施設等へ入所せず暮らしている実態のグラフ

    964万人以上、つまり日本人の約7.6%の人が何かしらの課題を抱えています。さらに、そのうちの約95%にあたる900万人以上が、施設や病院への入所、入院をせずに生活しています。
    出典:内閣府「令和4年版 障害者白書」(2022)

    深まる社会の分断

    高齢化の進む欧州にて銀行の急速なデジタル化・窓口業務簡素化に対し訴訟を起こす

    高齢化が進む欧州では、銀行の急速なデジタル化と窓口業務の簡素化をめぐり、高齢者がサービスから取り残される問題が注目されています。
    スペインでは、元泌尿器科医、カルロス・サンフアンさん(78)が、面倒な金融アプリに業を煮やし、銀行にもっと親切なサービスを求める運動をオンラインで開始した。「私は老人だが、ばかではない」を合言葉にしたこの「反乱」には、2月半ばまでに64万を超える署名が集まり、実際に銀行が対応を変えるという望外の成果に結びつきました。
    この出来事は、急速に進むデジタル化の中で、一部の顧客がサービスから排除されてしまう可能性を示しています。
    一方で、企業や社会にとってデジタル化そのものは依然として重要なアジェンダです。だからこそ、今求められているのは、誰も取り残さない形でデジタル化を進めることだと言えるでしょう。
    出典:Reuters「アングル:デジタル化急ぐ銀行に「待った」、欧州高齢者の反乱」(2022)

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