日経225企業のアクセシビリティ対応状況 ー 方針策定・試験実施の結果
エピソード2
Report
:日経225企業のアクセシビリティ対応状況一斉調査レポート

【連載第2回】日経225企業のアクセシビリティ対応一斉調査レポート
本記事では、日経225企業のアクセシビリティ対応状況について、Webアクセシビリティ方針の策定状況や、対応範囲、さらにWebアクセシビリティ試験の実施結果や適合状況の観点から見ていきます。
本調査では、日本の株式市場を代表する株価指数である日経225に採用されている企業を対象に、各社のWebアクセシビリティへの対応状況を調査しました。調査対象は、東京証券取引所に上場する主要225社であり、技術(63企業)、保険(20企業)、消費(36企業)、素材(50企業)、資本財・その他(35企業)、運輸・公共(21企業)といった複数の業種カテゴリーにまたがっています。
調査では、企業がWebアクセシビリティ方針を公開しているか、また試験の実施結果や適合状況を公開しているかといった情報に加え、axe DevTools Totalを用いたアクセシビリティ課題(Issue)の数についても確認しました。
本稿では、このうち企業がWebアクセシビリティ方針を公開しているかどうか、またアクセシビリティ試験の実施結果や適合状況を公開しているかといった観点から、日経225企業のWebアクセシビリティ対応状況を見ていきます。
主な調査結果のサマリーは以下の通りです。
webアクセシビリティ方針および対応状況
「素材」や「資本財・その他」、「消費」業種を中心に、多くの業界でアクセシビリティ対応が依然少ない
試験を実施している企業でも、「等級AA」に準拠している企業は少なく、全体的な等級の向上が必要
比較的多くの「技術」業種の企業がアクセシビリティに取り組んでおり、他業界への良い例となっている
webアクセシビリティ試験の実施結果と適合及び対応度
多くの業種で試験実施率が低く、特に消費者と直接接する機会の多い業種では、アクセシビリティへの取り組みを強化する必要がある
試験を実施した企業でも、完全な準拠を達成している企業は少なく、各企業はアクセシビリティ基準への準拠を目指す必要がある
webアクセシビリティ方針および対応状況を公表しているか
技術

「技術」に分類される5つの業種について、63企業のうち46%(29企業)についてはwebアクセシビリティ方針のページが存在していました。
業種別では、「通信」においては5企業全て、「医薬品」では、9企業中7企業にwebアクセシビリティ方針が存在しており、他業種と比べ多い傾向が見られました。
保険

「保険」に分類される4つの業種について、20企業のうち65%(13企業)についてはwebアクセシビリティ方針のページが存在していました。
業種別では、「保険」においては5企業全て、「銀行」では、10企業中6企業、中でも都市銀行の3行(みずほフィナンシャルグループ/三井住友フィナンシャルグループ/三菱UFJフィナンシャル・グループ)全てにおいて、webアクセシビリティ方針が存在しておりました。
消費

「消費」に分類される4つの業種について、36企業のうち27%(10企業)についてはwebアクセシビリティ方針のページが存在していました。
業種別では、「食品」が10企業中5企業、「サービス」が16企業中4企業に、webアクセシビリティ方針が存在しておりましたが、他カテゴリーと比べ少ない傾向が見られました。
素材

「素材」に分類される10つの業種について、50企業のうち36%(18企業)についてはwebアクセシビリティ方針のページが存在していました。
業種別では、「商社」が7企業中6企業にwebアクセシビリティ方針が存在しておりましたが、「ゴム」と「鉄鋼」には、対応企業は見られませんでした。
資本財・その他

「資本財・その他」に分類される5つの業種について、35企業のうち20%(7企業)についてはwebアクセシビリティ方針のページが存在していました。
業種別では、「その他製造」が4企業中3企業にwebアクセシビリティ方針が存在しておりましたが、他カテゴリーと比較すると、対応企業が少ない傾向が見られました。
運輸・公共

「運輸・公共」に分類される7つの業種について、21企業のうち33%(7企業)についてはwebアクセシビリティ方針のページが存在していました。
業種別では、「鉄道・バス」で8企業中2企業、「空運」が2企業全てにおいて、webアクセシビリティ方針が存在しておりました。
webアクセシビリティ試験の実施結果と適合及び対応度
技術

「技術」に分類される5つの業種について、63企業のうち20%(13企業)についてはwebアクセシビリティ試験の実施がされていました。
業種別では、「電気機器」においては5企業が等級AAに「準拠」しており、他業種と比べ多い傾向が見られ、実際のサイト上でのアクセシビリティの対応が進んでいるといえます。
保険

「保険」に分類される4つの業種について、20企業のうち30%(6企業)についてはwebアクセシビリティ試験の実施がされていました。
都市銀行の3行(みずほフィナンシャルグループ/三井住友フィナンシャルグループ/三菱UFJフィナンシャル・グループ)全てにおいて、試験の実施がされていました。
消費

「消費」に分類される4つの業種について、36企業のうち8%(3企業)についてはwebアクセシビリティ試験の実施がされていました。
試験結果の公表を行っている企業は少なく、「日本郵政(株)」と「日本たばこ産業(株)」と「味の素(株)」の3社のみでした。
一般消費者と触れ合うことが多い業界ですが、まだ十分に対応が進んでいないといえます。
素材

「素材」に分類される10つの業種について、50企業のうち6%(3企業)についてはwebアクセシビリティ試験の実施がされていました。
試験結果の公表を行っている企業は少なく、「花王(株)」と「伊藤忠商事(株)」と「日本碍子(株)」の3社のみでした。
アクセシビリティに取り組んでいる企業とまだ取り組めていない企業との差が大きい業種といえます。
資本財・その他

「資本財・その他」に分類される5つの業種について、35企業のうち11%(4企業)についてはwebアクセシビリティ試験の実施がされていました。
業種別では、「その他製造」に分類されている「TOPPANホールディングス(株)」と「大日本印刷(株)」、「ヤマハ(株)」が実施していました。
また、「建設」では「積水ハウス(株)」のみ公表がされていました。
運輸・公共

「運輸・公共」に分類される7つの業種について、21企業のうち14%(3企業)についてはwebアクセシビリティ試験の実施がされていました。
試験結果の公表を行っている企業は少なく、「ANAホールディングス(株)」と「東日本旅客鉄道(株)」と「京王電鉄(株)」の3社のみでした。
まとめ
本稿では、日経225企業を対象に、Webアクセシビリティ方針および対応状況の公開状況、ならびにWebアクセシビリティ試験の実施結果と適合・対応度について、業種別に整理しました。
その結果、「素材」「資本財・その他」「消費」などの業種を中心に、アクセシビリティ対応の公表が少なく、全体として取り組みが十分に進んでいない状況が見られました。また、試験を実施している企業の中でもWCAG (Web Content Accessibility Guidelines) レベルAAに準拠している企業は多くなく、アクセシビリティ水準のさらなる向上が求められます。
一方で、「技術」業種では比較的多くの企業がアクセシビリティに取り組んでおり、他業界にとって参考となる取り組みも見られました。今後は、特に消費者との接点が多い業種を中心に、アクセシビリティ試験の実施や基準への準拠を進めていくことが重要と考えられます。
次の記事では、実際のWebサイトにどの程度アクセシビリティ上の課題が存在しているのかを、axe DevToolsを用いた調査結果から見ていきます。
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