都内の美術館と博物館のアクセシビリティ対応状況ー方針策定・試験実施の結果

エピソード2

    Report

    :美術館と博物館のアクセシビリティ対応状況一斉調査レポート

    都内の美術館と博物館のアクセシビリティ対応状況ー方針策定・試験実施の結果

    【連載第2回】美術館と博物館のアクセシビリティ対応状況一斉調査レポート


    本記事では、都内の美術館と博物館のアクセシビリティ対応状況について、Webアクセシビリティ方針の策定状況や、対応範囲、さらにWebアクセシビリティ試験の実施結果や適合状況の観点から見ていきます。

    本調査では、都内の美術館と博物館を対象に、各施設のWebアクセシビリティへの対応状況を調査しました。美術館は、芸術に興味を持つ人や観光客が多く訪れ、博物館は家族連れや教育目的の来館者が多いなど、来館者層や目的に違いがあります。それぞれが異なる役割を持ちながら、多様な文化体験を支えています。
    調査対象は、美術館59施設に加え、美術博物館37施設、歴史博物館2施設、科学博物館6施設の計45施設の博物館です。
    調査では、施設がWebアクセシビリティ方針を公開しているか、また試験の実施結果や適合状況を公開しているかといった情報に加え、サステナブル方針の有無やaxe DevTools Totalを用いたアクセシビリティ課題(Issue)の数についても確認しました。

    本記事では、このうちWebアクセシビリティ方針を公開しているかどうか、またアクセシビリティ試験の実施結果や適合状況を公開しているかといった観点から、美術館・博物館のWebアクセシビリティ対応状況を見ていきます。

    主な調査結果のサマリーは以下の通りです。

    Webアクセシビリティ方針および対応状況

    • 美術館59館中10館(約17%)、博物館45館中5館(約11%)しかWebアクセシビリティ方針を公表していない

    • 方針を公表している15館のうち、目標を設定している施設は、美術館10館(100%)と博物館4館(約80%)となり、そのほとんどが、等級AAの「準拠もしくは配慮」を目指している

    Webアクセシビリティ試験の実施結果と適合及び対応度

    • 美術館の試験実施率(約10%)は、博物館(約7%)を上回っており、美術館の方がアクセシビリティ試験への対応状況が高い結果となった

    • 美術館と博物館ともに、90%前後の施設において、アクセシビリティ試験が未実施であり、全体的に試験の普及が課題


    Webアクセシビリティ方針および対応状況を公表しているか

    美術館

    アクセシビリティ方針の有無については、59の美術館のうち17%(10館)が、Webアクセシビリティ方針を公表していました。
    目標とするレベルは、アクセシビリティ方針がある10館のうち、等級AAの「準拠」を目標としている美術館が9館、等級AAの「配慮」を目標としている美術館が1館となり、博物館と比較すると、多くの美術館で対応が進められている結果となりました。

    美術館の17%がWebアクセシビリティ方針を公表し、多くが等級AA準拠を目標にしている

    博物館

    アクセシビリティ方針の有無については、45の博物館のうち11%(5館)が、Webアクセシビリティ方針を公表していました。
    目標とするレベルは、アクセシビリティ方針がある5館のうち、等級AAの「準拠」を目標としている博物館が4館、目標を設定していない館が1館となり、美術館(約17%)よりわずかに低い対応状況となりました。

    博物館の11%がWebアクセシビリティ方針を公表し、多くが等級AA準拠を目標にしている

    Webアクセシビリティ試験の実施結果と適合及び対応度

    美術館

    美術館におけるアクセシビリティ試験の実施状況について、59の美術館のうち10%(6館)が試験を実施しており、残りの90%(53館)では実施されていませんでした。
    試験結果がある6館の対応状況については、等級AAに「準拠」している館が最も多く、国立新美術館については、等級AAAに「一部準拠」とされていました。

    美術館の10%がアクセシビリティ試験を実施し、等級AA準拠の館が最も多い

    博物館

    博物館においては、45の博物館のうち7%(3館)がアクセシビリティ試験を実施しており、残りの93%(42館)では実施されていませんでした。
    試験を実施した2館で、等級AAに「準拠」している結果となっており、試験の実施率が美術館よりも低いものの、対応度において両施設間で大きな差は見られませんでした。

    博物館の7%がアクセシビリティ試験を実施し、結果のある館は等級AAに準拠している

    まとめ

    本調査では、都内の美術館・博物館を対象に、Webアクセシビリティ方針の公開状況およびアクセシビリティ試験の実施結果と適合・対応度について見てきました。
    その結果、美術館・博物館ともにアクセシビリティ方針の公表は限られており、特に試験の実施率も低く、全体として取り組みが十分に進んでいない状況が見られました。また、方針を公表している施設の多くは等級AAの「準拠」または「配慮」を目標としているものの、実際の試験や検証の実施には至っていないケースが多く見られます。
    一方で、一部の施設ではアクセシビリティ方針の策定や試験の実施など、具体的な取り組みも進められており、今後の参考となる事例も見られました。今後は、方針の策定にとどまらず、試験の実施や継続的な改善を行っていくことが重要と考えられます。
    次の記事では、各施設のサステナブル方針や、実際のWebサイトにどの程度アクセシビリティ上の課題が存在しているのかを見ていきます。

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