社会と共創するデザインの必要性

エピソード1

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    :インクルーシブ・デザインハニカムから考える共創のはじめかたキットと事例集

    社会と共創するデザインの必要性

    【連載第1回】 インクルーシブ・デザインハニカムから考える共創のはじめかたキットと事例集


    近年、社会はこれまで以上に多様化・複雑化しています。
    高齢化の進行や価値観の多様化、グローバル化の進展により、私たちが向き合う課題は一様ではなくなっています。また、社会課題そのものも複雑に絡み合い、従来のように一つの企業や技術だけで解決することが難しくなっています。
    こうした状況の中で注目されているのが、多様な人々とともに課題解決を目指す「共創」の考え方です。

    「マイノリティ」がマジョリティになる未来

    製品やサービスの開発において、これまでメインユーザーとして想定されないことの多かった高齢者や障害者、LGBTQ、外国籍の人々、ひとり親家庭などは、一般的にマイノリティと呼ばれています。

    しかし、将来的にはこうした人々が社会の中で大きな割合を占めると予測されています。2045年には、日本人の約半数が何らかの多様な状況や課題に直面すると推計されています。そのため、今の段階から多様な人々の課題や工夫に目を向けることは、未来を見据えた製品・サービス開発につながると考えられます。

    2045年に日本の約半数が直面する多様な状況や課題の推計割合を示すグラフ

    社会の不確実性の高まりと「厄介な問題」

    VUCA(Volatility-変動性、Uncertainty-不確実性、Complexity-複雑性、Ambiguity-曖昧性)の時代と言われる現在、「厄介な問題(Wicked Problems)」と言われる簡単には解決できない問題が増加しています。厄介な問題は、単純な問題や複雑な問題とは異なり、明確な正解が存在しません。

    また、課題そのものが人や組織によって異なる見え方をするため、解決したかどうかを客観的に判断することもできません。こうした課題に対しては、1つのテクノロジーや1つの会社・組織での解決は難しいため、多様なステークホルダーとの共創が重要になります。

    単純な問題、複雑な問題、厄介な問題の特徴や違いを比較した表

    共創を成功させるために

    共創の重要性は広く認識されつつありますが、実際に成果へつなげることは容易ではありません。
    マッキンゼーによる調査では、共創のプロセスがイノベーションの成功を引き上げる可能性はわずか4%でした。一方で、欧州3ヵ国300社を調査したところ、共創を成功させている企業の特徴として3つの共通点を発見しました。

    1.共創したい人々を明確にする

    多くの経営幹部は顧客との共創を取り入れたいと考える一方で、共創を理解している人々は決して多くありません。自社のファンや共創意欲のある人の参加を促すことが重要です。

    2.モチベーションを見つける

    多くの人々にとって、共創に参加するハードルは高いものです。たとえば報酬付きのコンテストはゲーマーや社交的な人々の参加を促しやすくなります。

    3.持続可能な利益に焦点を当てる

    共創が長期的に大きな成果を上げるためには、企業は持続可能な競争優位性をもたらす活動に注力する必要があります。

    出典:“Three ways companies can make co-creation pay off” McKinsey & Company(2014)

    共創においては、多様な人々と継続的な関係を築きながら、新たな価値を生み出していくプロセスとして設計することが重要になります。

    まとめ

    会の多様化と課題の複雑化が進む中で、これからのデザインには、企業やデザイナーだけで解決策を考えるアプローチだけではなく、多様な人々とともに価値を創り出す視点が求められています。
    次回は、こうした共創を実践する方法の一つとして注目されている「インクルーシブデザイン」について紹介します。インクルーシブデザインがなぜ共創の手法として注目されているのか、その考え方と特徴を見ていきます。

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