クリエイティブ業界におけるジェネレーティブAIの現状と可能性

エピソード2

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    :生成AIが秘めるデザインパートナーとしての可能性とは?

    クリエイティブ業界におけるジェネレーティブAIの現状と可能性

    【連載第2回】 生成AIが秘めるデザインパートナーとしての可能性とは?


    AIのマルチモーダル化が急速に進んだことにより、1つのサービスでできることが多岐にわたるようになってきました。そこで、機能別の分類ではなく、「ユースケース(誰が使うか)」で分類したマップが更新されています。

    テキスト、ビデオ、画像、コード、音声など、各領域におけるジェネレーティブAI関連のアプリケーションを分類した市場マップ

    AIを活用したアーティストやデザイナーの増加

    近年、新たな創造性を発揮するために、AIを活用している海外のデザイナーやアーティストが爆発的に増えています。

    AIやデータを活用して脳波や街並みのデータセットを視覚化するアーティスト、Refik AnadolとMario Klingemannの作品事例

    ビル・ゲイツが自分のブログで発信した記事によると、AIはあらゆる産業を変え、産業全体がAIを中心に方向転換することになるそうです。人々の働き方、学び方、旅行方法、健康管理やコミュニケーションの仕方に変化を引き起こします。今後企業はAIをいかにうまく使うかによって、自らを差別化することになると挙げられています。

    AIの発展はマイクロプロセッサやインターネットの誕生と同様に基本的であり、人々の働き方や産業全体を変えるというビル・ゲイツの言葉

    クリエイティブ業界にジェネレーティブAI活用の必要性

    AI市場サイズの拡大

    マッキンゼー・アンド・カンパニーと共同で世界経済フォーラムがリリースした2018版の白書によると、AI市場は2015年の約20億ドルから2025年には約1270億ドル(年平均成長率51%/CAGR)に成長すると推定され、最大の成長は、ディープラーニング、認知コンピューティング、予測型APIの応用によるものです。

    2015年から2025年にかけてAI関連技術の収益が急成長することや、主要な投資領域を示す世界経済フォーラムなどのデータ図表

    企業におけるAI導入と投資は世界的に増加傾向にある

    マッキンゼー・アンド・カンパニーの「The state of AI 2022」のレポートによると、AIを導入する企業の割合は過去5年間であまり激しい上下の変動がないですが、AIの活用は2017年から倍増しているということが挙げられています。
    また、AI活用が普及するにつれて、AIへの投資も高まっています。2018年にAIを使用している組織の回答者の40%が、デジタル予算の5%以上をAIに回したと報告されています。2022年に回答者の半分以上が同じくらいの投資をしていると報告されているそうです。今後、63%の回答者が3年間で組織の投資額が増加することを期待していると挙げられています。

    2017年比でAIの導入が2.5倍に倍増したことや、組織のデジタル予算の5%以上をAIに投じる割合が2018年の40%から2022年には52%に増加したことを示すグラフ

    AIを導入するデザインツールの普及

    最近、AdobeやFigmaなどのよく使われているデザインツールでも、トレンドに合わせてAIを導入する動きが見られます。この流れからも、これからのデザイナーやアーティストにとって、AIを使いこなすことがますます必要になってくると考えられます。

    Adobe Firefly、Figma用のAIプラグイン「FigGPT」、AIデザインアシスタント「Ando」の各紹介画面

    デジタルメディアビジネスにおいて、Adobe CEO デヴィッド・ワドワニは、「ジェネレーティブAIは、AIによる創造性と生産性の次の進化であり、クリエイターとコンピュータの間の会話をより自然で直感的でパワフルなものに変えます」と述べています。

    つまり、ジェネレーティブAIは、今後創造性と生産性に大きな影響を与えることが予想されます。その結果、UI/UXデザインに限らず、クリエイティブ業界全体において、AIとの協業がより重要になると考えられます。

    ジェネレーティブAIはAI駆動の創造性と生産性の次の進化であり、クリエイターとコンピュータの対話をより自然で強力に変えるという、アドビ社デヴィッド・ワドワニの言葉

    AIを導入したことによるコスト削減

    フィンテック企業クラーナ(Klarna)は、AIを活用してマーケティングコストを37%、年間約1000万ドル削減したと報告しています。
    AIはアイデア出しや画像作成、翻訳作業に使われ、45の市場向けにパーソナライズされたキャンペーンを展開しています。2024年の第1四半期には、生成AIツール(Firefly、Midjourney、DALL-E)を使って1000枚の画像を生成し、外部マーケティングサプライヤーへの支出を25%削減しました。AIツールのコストは代理店利用に比べて非常に低く、今後のコスト増大については特に心配していないと述べています。

    ヘアドライヤー、スニーカー、ケトル、テニスボールなどが組み合わされたカラフルなオブジェクトの写真。AIを活用することでマーケティングエージェンシーへの支出を25%削減し、より多くのキャンペーンを実行した実績を示すKlarnaのスマートフォン画面

    デザインプロセスにおけるAIの活用

    プロセスにおけるAIの活用

    図1は、UX/UIデザインプロセスにおけるAIツール活用の概要を示しています。従来のプロセスと比較しながら、AIを効果的に利用できる領域を提示し、特にUXデザインとUIデザインにおける生成AIの活用可能性を強調しています。

    リサーチからテスト・改善に至る従来のプロセスと、UX/UIデザインの各工程においてAIを特に効果的に活用できる部分を対比した解説図

    論文におけるAIツール活用例

    リサーチ・要件定義の工程において、データ処理の速度に優れるAIと戦略的文脈を理解するデザイナーが協業する流れを示した図
    ワイヤーフレームやプロトタイピングの工程において、文章から迅速にインターフェースデザインを視覚化し議論を加速させる画面遷移図
    テストと改善の工程において、ChatGPTなどを利用してユーザーテストのフィードバックから最終レポート作成を迅速化するプロセス図

    AIとデザイナーの協業

    AIの活用がサービスやプロダクト開発において進展する中で、「AI」と「人」の役割分担がますます重要になっています。これは単なる二者択一の問題ではなく、AIの可能性と人間の能力を最大限に活かすために、各事業者がAIを活用した最適なユーザー体験(AIX)を検討する必要があることを意味しています。

    AIが主導できる作業

    AIは、パターン化した作業やセオリーのある作業を得意としています。例えばこんなタスクです。

    • リサーチデータの整理

    • ワイヤーフレームの作成

    • ユーザーストーリーの作成

    • 継続的なデザインフィードバック

    AIと協業するもの

    AIが生成した結果に対して、デザイナーの専門知識を適用して利用する必要があります。例えばこんなタスクです。

    • 競合分析

    • UIコンポーネントの作成

    • 画面レイアウトの設計

    • ユーザーフローの確認

    人間がやるべき作業

    アイデンティティの創出や倫理的な側面など、人の意思が重要な部分は多くあります。例えばこんなタスクです。

    • インタビュー

    • デザインコンセプトの設計

    • 倫理監修

    まとめ

    近年、クリエイティブ業界におけるAIの存在感はますます大きくなっています。AIを活用することで、制作プロセスの効率化やコスト削減につながります。
    一方で、AIとの協業においては、AIの特性を理解し、人とAIの役割分担を適切に行うことが重要になります。AIはクリエイティブ業界のデザインプロセスにおいて、今後ますます求められていくことが予想されます。

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