クリエイティブ業界におけるジェネレーティブAIの現状と可能性
エピソード2
Report
:生成AIが秘めるデザインパートナーとしての可能性とは?

【連載第2回】 生成AIが秘めるデザインパートナーとしての可能性とは?
AIのマルチモーダル化が急速に進んだことにより、1つのサービスでできることが多岐にわたるようになってきました。そこで、機能別の分類ではなく、「ユースケース(誰が使うか)」で分類したマップが更新されています。

AIを活用したアーティストやデザイナーの増加
近年、新たな創造性を発揮するために、AIを活用している海外のデザイナーやアーティストが爆発的に増えています。

ビル・ゲイツが自分のブログで発信した記事によると、AIはあらゆる産業を変え、産業全体がAIを中心に方向転換することになるそうです。人々の働き方、学び方、旅行方法、健康管理やコミュニケーションの仕方に変化を引き起こします。今後企業はAIをいかにうまく使うかによって、自らを差別化することになると挙げられています。

クリエイティブ業界にジェネレーティブAI活用の必要性
AI市場サイズの拡大
マッキンゼー・アンド・カンパニーと共同で世界経済フォーラムがリリースした2018版の白書によると、AI市場は2015年の約20億ドルから2025年には約1270億ドル(年平均成長率51%/CAGR)に成長すると推定され、最大の成長は、ディープラーニング、認知コンピューティング、予測型APIの応用によるものです。

企業におけるAI導入と投資は世界的に増加傾向にある
マッキンゼー・アンド・カンパニーの「The state of AI 2022」のレポートによると、AIを導入する企業の割合は過去5年間であまり激しい上下の変動がないですが、AIの活用は2017年から倍増しているということが挙げられています。
また、AI活用が普及するにつれて、AIへの投資も高まっています。2018年にAIを使用している組織の回答者の40%が、デジタル予算の5%以上をAIに回したと報告されています。2022年に回答者の半分以上が同じくらいの投資をしていると報告されているそうです。今後、63%の回答者が3年間で組織の投資額が増加することを期待していると挙げられています。

AIを導入するデザインツールの普及
最近、AdobeやFigmaなどのよく使われているデザインツールでも、トレンドに合わせてAIを導入する動きが見られます。この流れからも、これからのデザイナーやアーティストにとって、AIを使いこなすことがますます必要になってくると考えられます。

デジタルメディアビジネスにおいて、Adobe CEO デヴィッド・ワドワニは、「ジェネレーティブAIは、AIによる創造性と生産性の次の進化であり、クリエイターとコンピュータの間の会話をより自然で直感的でパワフルなものに変えます」と述べています。
つまり、ジェネレーティブAIは、今後創造性と生産性に大きな影響を与えることが予想されます。その結果、UI/UXデザインに限らず、クリエイティブ業界全体において、AIとの協業がより重要になると考えられます。

AIを導入したことによるコスト削減
フィンテック企業クラーナ(Klarna)は、AIを活用してマーケティングコストを37%、年間約1000万ドル削減したと報告しています。
AIはアイデア出しや画像作成、翻訳作業に使われ、45の市場向けにパーソナライズされたキャンペーンを展開しています。2024年の第1四半期には、生成AIツール(Firefly、Midjourney、DALL-E)を使って1000枚の画像を生成し、外部マーケティングサプライヤーへの支出を25%削減しました。AIツールのコストは代理店利用に比べて非常に低く、今後のコスト増大については特に心配していないと述べています。

デザインプロセスにおけるAIの活用
プロセスにおけるAIの活用
図1は、UX/UIデザインプロセスにおけるAIツール活用の概要を示しています。従来のプロセスと比較しながら、AIを効果的に利用できる領域を提示し、特にUXデザインとUIデザインにおける生成AIの活用可能性を強調しています。

論文におけるAIツール活用例



AIとデザイナーの協業
AIの活用がサービスやプロダクト開発において進展する中で、「AI」と「人」の役割分担がますます重要になっています。これは単なる二者択一の問題ではなく、AIの可能性と人間の能力を最大限に活かすために、各事業者がAIを活用した最適なユーザー体験(AIX)を検討する必要があることを意味しています。
AIが主導できる作業
AIは、パターン化した作業やセオリーのある作業を得意としています。例えばこんなタスクです。
リサーチデータの整理
ワイヤーフレームの作成
ユーザーストーリーの作成
継続的なデザインフィードバック
AIと協業するもの
AIが生成した結果に対して、デザイナーの専門知識を適用して利用する必要があります。例えばこんなタスクです。
競合分析
UIコンポーネントの作成
画面レイアウトの設計
ユーザーフローの確認
人間がやるべき作業
アイデンティティの創出や倫理的な側面など、人の意思が重要な部分は多くあります。例えばこんなタスクです。
インタビュー
デザインコンセプトの設計
倫理監修
まとめ
近年、クリエイティブ業界におけるAIの存在感はますます大きくなっています。AIを活用することで、制作プロセスの効率化やコスト削減につながります。
一方で、AIとの協業においては、AIの特性を理解し、人とAIの役割分担を適切に行うことが重要になります。AIはクリエイティブ業界のデザインプロセスにおいて、今後ますます求められていくことが予想されます。
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