デジタルヘルス・ヘルスケアアプリについて
エピソード1
Report
:注目が高まるヘルスケアアプリ事例集

【連載第1回】注目が高まるヘルスケアアプリ事例集
テクノロジーの進化や高まる健康意識により、デジタルヘルスケア市場は今後も拡大すると予測されています。例えば、"2020年から2027年にかけて年平均成長率25.9%で成長する見込みがある"という報告もあります。
このホワイトペーパーでは、日本におけるデジタルヘルスの現状と、一般的に利用されているヘルスケアアプリとUXデザインの関係、ならびに具体的なヘルスケアアプリの事例について記載します。
デジタルヘルスとは、AI、IoT、ウェアラブルデバイスなどのデジタル技術を活用し、医療や健康の改善や質の向上を目指す取り組みを指します。近年では、日常生活の中で健康を管理・支援する手段として、さまざまな活用が広がっています。
例えば、健康状態の記録やフィットネスのモニタリング、薬の服用リマインダーなどのアプリ、ビデオ通話を通じて医師の診察やカウンセリングを行う遠隔医療、身体に装着するデバイスによる歩数・心拍数・睡眠パターンなどのモニタリングといった活用があります。
また、ビッグデータやAIを活用して医療データを分析し、疾患の発生予測や治療効果の予測を行うヘルスアナリティクスや、科学的に検証されたデジタル介入によって病気の予防・管理・治療を行うDTx(デジタルセラピューティクス)なども広がっています。

出典:business leaders square wisdom「デジタルヘルスとは?「人生100年時代」を支えるテクノロジーを解説」
近年、少子高齢化に伴う医療費の増大による財政圧迫への懸念から、デジタルヘルスへの注目が高まっています。デジタルヘルスは、高齢化社会や医療費増大といった課題に対応し、最新技術を活用して予防医療や早期診断の実現を可能にします。
また、医療アクセスや医療の質の向上、さらには医療コストの抑制を通じて、持続可能な医療システムの構築に貢献することが期待されています。

出典:business leaders square wisdom「デジタルヘルスとは?「人生100年時代」を支えるテクノロジーを解説」
デジタルヘルスの分類
デジタルヘルスは、身体介入と測定管理、非医療機器と医療機器プログラムの4つの領域に分類することができます。
身体介入と非医療機器の領域では、健康維持・増進と予防医療に焦点を当てたアプリケーションやサービスが含まれます。一方、身体介入と医療機器プログラムの交点には、医療目的で使用されるデジタルセラピューティクス(DTx)があります。測定管理の領域では、非医療機器側に健康状態モニタリングと症状記録のツールが、医療機器プログラム側には医療専門家向けの診断支援ツールが位置しています。
この分類の主要なポイントは、デジタルヘルスが単なる健康管理ツールから医療用途まで幅広い範囲をカバーしていることです。非医療機器から医療機器プログラムまで、また日常的な健康維持から専門的な診断まで、デジタル技術が健康と医療の様々な側面に浸透していることがわかります。

デジタルヘルスの分類:非医療機器
非医療機器(Non-Medical Devices)のアプリは、主に健康の維持や増進、フィットネスの追跡、一般的なウェルネスのサポートを目的としています。例えば、歩数計アプリ、ダイエット支援アプリ、睡眠管理アプリなどがこれに該当します。これらは厳格な医療機器の規制を受けないため、開発や市場投入が比較的容易な点が特徴としてあげられます。

出典:App Apeヘルスケアアプリ市場調査レポート2023
デジタルヘルスの分類:医療機器プログラム(SaMD)
デジタルヘルスの中でも、病気の診断、治療、予防、緩和に直接関与することを目的とするソフトウェアは、「医療機器プログラム(Software as a Medical Device:SaMD)」と呼ばれています。
その一つが、DTx(デジタルセラピューティクス)です。DTxは、医学的疾患や疾病の予防、管理、治療、障害・状態・怪我の改善を目的にエビデンスに基づく治療的介入を行う医療用ソフトウェアです。保険が適用され処方される「治療」であり、馴染みやすい言葉として、「治療用アプリ」「デジタル治療」「デジタル薬」と呼ばれることもあります。
現在、日本国内でもいくつかのDTxアプリが薬事承認を受けています。例えば、ニコチン依存症の治療を支援する「CureApp SC」、高血圧の管理を目的とした「CureApp HT」、不眠障害に対応する「サスメド Med CBT-i」などがあり、いずれもスマートフォンアプリとして提供されています。
SaMDは医療機器として認識されるため、厳格な規制の対象となります。各国の規制当局による認可取得や薬事法に基づく審査などが必要不可欠です。SaMDの大きな利点の一つは、その信頼性と安全性にあります。科学的エビデンスに基づいて開発され、厳密な試験を通じてその有効性と安全性が確認されています。このため、医療現場で安心して使用することができます。デジタル技術を活用した新しい医療のかたちとして、今後ますます重要性が高まっていくことが期待されています。
国内における医療・ヘルスケアアプリの現状
医療・ヘルスケアアプリの認知・利用状況

18歳から69歳のスマートフォン所有者5,984人の調査では、医療・ヘルスケアアプリの現在の利用率は24.2%と低く、特にシニア層での認知度不足が顕著です。全体の23.1%がアプリの存在は知っているが内容を知らず、24.8%は全く知らないと回答しています。
出典:MMD研究所

出典:MMD研究所
医療・ヘルスケアアプリを利用しない理由として、「利用するきっかけがなかったから」「利用するメリットがないと思ったから」が各年代で上位に挙げられています。これらの結果から、ユーザーが利用するためのきっかけづくりや、メリットを感じられるインセンティブ、ゲーミフィケーションを取り入れた体験設計の重要性が示唆されます。また、「健康データを記録するのが面倒だから」という理由も多くの年代で見られるため、データ記録の負荷を下げるUI/UXや、ユーザーが記録したくなるような仕組みづくりが重要です。
ヘルスケア関連機能に対する未利用者の関心度を年代別に示した結果、健康管理やダイエット・美容は10代から30代に特に人気があり、メンタルケアは就労・就学している10代から40代に望まれるサービスであることがうかがえます。処方薬の管理は50代が特に関心を持ち、オンライン診療と予防医療は60代が関心を示しており、50代以上は医療に近いサービスへの関心度が高いことがわかります。特にシニア層からはアプリの使いやすさや医療機関との連携時の利便性が求められています。

出典:MMD研究所
まとめ
デジタルヘルスは、最新の技術を活用し、医療や健康のあり方を大きく変えつつあります。日常的な健康維持から専門的な診断まで、その活用領域は広がり続けています。一方で、国内における医療・ヘルスケアアプリの利用状況を見ると、利用のきっかけやメリットの実感、継続的な利用のしやすさといった点に課題が残っていることも明らかになっています。今後は、さらに多様なユーザーにとって使いやすく、継続的に利用できる設計が求められるでしょう。
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