社会の変化のなかで、業務システムはどのようなことが求められるか?
エピソード1
Report
:従業員から使いやすいと喜ばれる業務システム開発におけるUI・UXデザインとは?

【連載第1回】従業員から使いやすいと喜ばれる業務システム開発におけるUI・UXデザインとは?
インクルーシブとは
インクルーシブデザインとは、ユーザーを中心としたデザインです。能力、言語、文化、性別、年齢、その他の人間の差異を含む人間の多様性をデザインプロセスの一部として考慮します。インクルーシブデザインはイノベーションを生み、新しい市場を開拓し、顧客や市民とより豊かな関わりを生み出します。
CULUMUでは、高齢者や障害者、外国人やマタニティなどのリードユーザーとの共創型のデザインにより人に優しいデジタルと事業機会を創出します。
本記事では、多様なユーザーとともに、包括的な業務システムを構築していく必要性について取り上げます。
これからの業務システムに必要とされること
現在の業務システムを取り巻く環境は、大きく変化しています。少子・超高齢化の進行や人材のグローバル化、障害者雇用の必要性の高まりなどにより、これまで以上に多様な人材が同じシステムを利用する状況が生まれています。
こうした変化を踏まえると、これからの業務システムには、特定のユーザーだけでなく、より幅広い人々にとって使いやすい設計が求められます。例えば、高齢者にとっても使いやすいこと、海外の方でもわかりやすいこと、そしてニューロダイバーシティに配慮されていることが重要になります。
特定の状況、特定の人が使う業務システムにおいて、今まで以上に様々な人達が使えることが求められており、多様性を取り入れた業務システムの構築が必要となっています。

業務システムを取り巻く現状
近年、特定の状況、特定の人が使う業務システムは、より多様性に配慮した使いやすさが求められるようになってきています。
その背景には、SaaS(Software as a Service)やASP(Application Service Provider)のように、インターネットを介して多種多様な人々が使うものが増えてきている状況があります。
また、いままでデジタル化されていなかった分野、業界においてもDX化が進められ、デジタルリテラシーに関わらず、システムを使うことができる必要も出てきています。

生産年齢人口の減少とIT人材不足
しかし、IT人材の不足は国内外問わず喫緊の課題となっています。ロイター社は「2024年までに110万件のコンピューター関連の求人が出ると見込まれているが、米国の卒業率はそのニーズに追いつかない」と述べており、同様の状況が日本でも見込まれています。 日本では、2060年までに生産年齢人口が約35%減少し、成長市場であるIT業界では2030年時点でIT人材が需要に対して約79万人不足するとの試算もあります。
こうした状況から、いままで以上に業務システムを使う必要がある人は増えてくると考えられます。

高齢者の労働参加の増加
2030年には4人に1人が65歳以上となり、今まで以上に高齢者の労働者が増えることが考えられます。また、定年年齢の70歳への引き上げや企業によっては定年制の廃止化によって、高齢者の方でも業務を続けていくことができ、社会での活躍の場が増えると言えます。
そのため、業務システムにおいても、今まで以上に高齢者の方でも使うことができるシステムが求められていくと考えられます。

外国人労働者の増加
外国人労働者は年々増えており、コロナ禍でありながら、2021年は170万人と過去最高となりました。
また、建設業や製造業といったもともと多くの外国人が働いていた分野だけでなく、医療、福祉や卸売業、小売業といった分野についても増加の傾向があります。
今後もこの傾向は続くと考えられ、言語や文化の違いを超えて使いやすい業務システムが必要性が高まっていきます。

障害のある人も働きやすい環境へ
視覚や聴覚、腕や脚などの障害のある人は日本だけでも428万人以上おり、人口千人あたり34人もの人がいると言えます。
また、障害者雇用促進法の改正により、企業は障害のある従業員に対して、能力発揮に支障がある事象に対して合理的な配慮をおこなうことが義務となりました。
業務をしていくにあたり必要となる業務システムにおいても、障害のある方でも十分に使えることが今後より求められていくといえます。

ニューロダイバーシティの推進
ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方です。自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念です。
発達障害のある人が持つ特性(発達特性)は、パターン認識、記憶、数学といった分野の特殊な能力と表裏一体である可能性が、最近の研究で示されています。特にデータアナリティクスやITサービス開発といったデジタル分野の業務は、ニューロダイバースな人材の特性とうまく適合する可能性が指摘されています。

実際に、マイクロソフトやSAPなどのIT企業、さらにはアーンスト・アンド・ヤングやJPモルガン・チェース・アンド・カンパニーといった幅広い企業が、自社の雇用需要を満たす未開拓人材の獲得を期待してニューロダイバーシティへの取り組みを開始しています。これまで見出せなかった・採用から漏れてしまっていた能力ある人材の獲得に成功しています。
日本においても、配慮や支援を提供することで、発達障害のある方の能力を引き出し、高いパフォーマンスを発揮する人材を獲得することに成功している企業があります。
障害を持った方でも社会で力を発揮できるような制度や体制づくりと同時に、業務システムの対応が必要となっていると言えます。

まとめ
本記事で見てきたように、業務システムを取り巻く環境は大きく変化しており、利用者の多様性は今後さらに広がっていきます。
その中で、これからの業務システムに求められるのは、単に機能を提供することではなく、多様なユーザーが無理なく使いこなせる体験を設計することです。
そのためには、年齢や国籍、身体的特性、認知特性といった違いを前提としながら、誰もが利用できる環境をつくる包括的な視点が不可欠となります。
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