首都圏の大学のアクセシビリティ対応状況ー方針策定・試験実施の結果

エピソード2

    Report

    :教育機関におけるアクセシビリティ対応状況 首都圏の大学における調査レポート

    首都圏の大学のアクセシビリティ対応状況ー方針策定・試験実施の結果

    【連載第2回】 教育機関におけるアクセシビリティ対応状況 首都圏の大学における調査レポート


    本記事では、首都圏の大学のアクセシビリティ対応状況について、Webアクセシビリティ方針の策定状況や、対応範囲、さらにWebアクセシビリティ試験の実施結果や適合状況の観点から見ていきます。

    本調査では、首都圏の大学230校を対象に、各施設のWebアクセシビリティへの対応状況を調査しました。首都圏の大学には、国内外から多くの学生が集まり、多様な文化が交錯しています。また多くの大学が最先端の研究を行っており、学生も研究に参加できる機会が豊富です。さらに首都圏に位置するため、多くの企業が訪れ、就職活動も活発に行われています。

    調査の対象となった都県は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の4都県。調査対象の230大学のうち、国立が14大学、公立が6大学、私立が209大学です。
    調査では、大学がWebアクセシビリティ方針を公開しているか、また試験の実施結果や適合状況を公開しているかといった情報に加え、サステナブル方針の有無やaxe DevTools Totalを用いたアクセシビリティ課題(Issue)の数についても確認しました。

    本記事では、このうちWebアクセシビリティ方針を公開しているかどうか、またアクセシビリティ試験の実施結果や適合状況を公開しているかといった観点から、大学のWebアクセシビリティ対応状況を見ていきます。

    主な調査結果のサマリーは以下の通りです。

    Webアクセシビリティ方針および対応状況

    • 国立大学では14校中2校(約14%)、公立大学では6校中5校(約83%)、私立大学では209校中15校(約7%)がWebアクセシビリティ方針を公表

    • 方針を示している22校中14校(約64%)で、目標とするアクセシビリティレベルは「なし」とされており、特に私立大学では67%が「なし」となり、その傾向が顕著

    Webアクセシビリティ試験の実施結果と適合及び対応度

    • 国立大学では14校中1校(約7%)、公立大学では6校中1校(約17%)、私立大学では209校中1校(約0.5%)がアクセシビリティ試験の実施結果を公表

    • 試験結果を公表している大学が、全体で3校と少なく、多くの大学でアクセシビリティ対応が遅れている状況

    これらの結果から分かったのは、Webアクセシビリティ方針の公表状況は、公立大学で対応が進んでいる一方、国立大学および私立大学では公表している大学は少ない状況にあります。

    次に、Webアクセシビリティ試験の実施および結果の公開状況については、いずれの区分においても対応している大学は少なく、全体として試験の実施や検証が進んでいないことが分かります。

    Webアクセシビリティ方針および対応状況を公表しているか

    国立

    「国立」の大学では、14大学のうち14%(2大学)については、Webアクセシビリティ方針のページが存在しており、東京大学と電気通信大学に方針ページが存在していました。

    一方で、目標とするレベルでは、電気通信大学では「なし」、東京大学では「等級AAに準拠」となっており、他カテゴリーと同様の傾向が見られました。

    国立大学のWebアクセシビリティ方針策定状況(ある2校、ない12校)と目標レベル(なし1校、等級AAに準拠1校)を円グラフで示した図

    公立

    「公立」の大学では、6大学のうち83%(5大学)については、Webアクセシビリティ方針のページが存在しており、東京都立大学のみ方針ページが存在していませんでした。

    一方で、目標とするレベルでは、「なし」とする大学が60%(3大学)となり、方針ページは他カテゴリーと比べ多いものの、目標とするレベルには、大きな差は見られませんでした。

    公立大学のWebアクセシビリティ方針策定状況(ある5校、ない1校)と目標レベルを円グラフで示した図

    私立

    「私立」の大学では、209大学のうち7%(15大学)については、Webアクセシビリティ方針のページが存在していました。

    一方で、目標とするレベルでは、「なし」とする大学が67%(10大学)となり、他カテゴリーと比べ、方針ページがある大学は少なく、目標とするレベルでは「なし」が多い傾向が見られました。

    私立大学の方針策定状況(ある15校、ない194校)と目標レベル(なし10校、等級AAに準拠2校、等級AAに配慮1校)を円グラフで示した図

    Webアクセシビリティ試験の実施結果と適合及び対応度

    国立

    「国立」の大学では、14大学のうち7%(1大学)については、アクセシビリティ試験の実施結果が存在しており、東京大学のみ試験の実施結果が存在していました。
    当該大学の適合及び対応度では、「等級AAに準拠」となっており、他大学よりもアクセシビリティへの対応に積極的に取り組んでいると言えます。

    国立大学の試験実施結果の有無(ある1校、ない13校)と適合及び対応度(等級AAに準拠1校)を円グラフで示した図

    公立

    「公立」の大学では、6大学のうち17%(1大学)については、アクセシビリティ試験の実施結果が存在しており、千葉県立保健医療大学のみ試験の実施結果が存在していました。

    一方で、当該大学の適合及び対応度では、「等級Aに一部準拠」となっておりました。

    83%の公立大学に方針ページが存在しており他カテゴリーの大学より多かったものの、試験結果を見ると、まだ十分にアクセシビリティへの対応が進んでいないといえます。

    公立大学の試験実施結果の有無(ある1校、ない5校)と適合及び対応度(等級Aに一部準拠1校)を円グラフで示した図

    私立

    「私立」の大学では、209大学のうち0.4%(1大学)については、アクセシビリティ試験の実施結果が存在しており、東京工芸大学のみ試験の実施結果が存在していました。

    当該大学の適合及び対応度では、「等級AAに準拠」となっており、他大学よりもアクセシビリティへの対応に積極的に取り組んでいると言えます。
    私立大学では、他カテゴリーの大学と比べ、アクセシビリティへの対応が必要であると言えます。

    私立大学の試験実施結果の有無(ある1校、ない208校)と適合及び対応度(等級AAに準拠1校)を円グラフで示した図

    まとめ

    本記事では、首都圏の大学におけるWebアクセシビリティ方針の公表状況と、アクセシビリティ試験の実施および結果の公開状況について整理しました。

    その結果、方針の公表自体は一部の大学で進んでいるものの、具体的な目標設定や試験の実施・結果公開といった取り組みは十分に広がっておらず、アクセシビリティ対応が十分に進められているとは言い難い状況でした。

    教育機関において、誰もが情報にアクセスできる環境を整えるために、さらなる取り組みが求められています。

    次の記事では、各大学のサステナブル方針や、実際のウェブサイトにどの程度アクセシビリティ上の課題が存在しているのかを見ていきます。

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