観光業界におけるインクルーシブデザインの必要性

エピソード2

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    :観光業界が取り組むべきインクルーシブデザインとは?

    観光業界におけるインクルーシブデザインの必要性

    【連載第2回】観光業界が取り組むべきインクルーシブデザインとは?


    すべての人が参加できる観光体験とインクルーシブデザインがもたらすインパクト

    観光業界は、多様な人々が利用するため、さまざまバックグラウンドを持つすべての方が利用できる環境を作り上げることが求められます。

    インクルーシブデザインのサービス開発プロセスを取り入れ、誰もが利用しやすい観光サービスが提供されることで、観光需要の拡大や地域の活性化、また、企業の社会的責任を果たすことにも繋がります。サービスのアクセシビリティ設計やユーザビリティ改善、翻訳支援などの取り組みを進めることで、顧客満足度や競争力の向上が期待でき、持続可能な観光産業モデル構築につながると言えます。

    超高齢社会への突入

    令和5年版高齢社会白書による試算では、2035年までに高齢者(65歳以上)の人口が約3割になるといわれています。これは端的にいって3割のユーザーが高齢者になることを意味しています。世代別金融資産においても無視できないセグメントである高齢者に対する施策として、高齢者間のデジタル格差、PC・スマートフォンの利用比率などを考慮したインクルーシブな取り組みが求められています。

    2035年までに日本人の約3分の1が高齢者になる見込みを示す図

    世界で多様な課題を抱える方たち

    約13億人(世界人口の15%)がなにかしらの障害を抱えながら生活しています。また、家族や施設の介護者など障害によって直接的、間接的に影響を受ける人の数は20億人(世界人口の約30%)に上ります。

    世界人口の約15%、約13億人が障害を抱えていることを示す図

    アクセシビリティ・インクルーシブツーリズム

    多様な人にアクセス可能な観光体験を提供することは「アクセシビリティツーリズム」と呼ばれています。この考え方は、障害のある方や高齢者、子どもなど、身体的・精神的に制限のある人々やその周りの方を含め、安全かつ快適に旅行を楽しむことができるようにすることを目的としています。

    また、旅行する当事者に加えて、各地域で観光業に携わる人や地域コミュニティ、社会的・文化的持続性への配慮など旅行体験をつくり上げる方が平等にデザインプロセスに関わり、受益者として観光に関わるプロセスを作り上げる「インクルーシブツーリズム」の考え方も、これからの未来にむけた旅のデザインとして参考になります。

    ※2018年にScheyvens氏、Biddulph氏らによって提唱された「インクルーシブツーリズム開発」では一部の企業や特別な階級の旅行者のみではなく、観光地域やその場所に関わる全ての人に対してフェアに利益が行き渡るような仕組みが必要であると説明されています。

    誰もが旅行できる体験をつくるためのインクルーシブツーリズムの考え方

    数字でみる多様性

    私たちの身の回りには気が付きづらいさまざまな多様性があります

    食の制限、妊娠、高齢者など、観光に関わる多様な利用者を示すイラスト

    深まる社会の分断

    障害者権利活動家、旅行業界に「障害者税」廃止を呼びかけ
    旅行におけるアクセシビリティへの道は”アクセスできない”について話すことから始まります。

    「もし、私たちが健常者だったら、普通の部屋をとったでしょう。この違いは、私は障害者税と呼びたいのですが、私たちはリーダーとして、将来に向けてこれを軽減しなければなりません」。

    
ドバイで開催されたSkift Global Forum Eastで、障害者権利活動家のTanzila Khanが自身の見解を述べたものです。車椅子を使用する2人の友人とエジプトに旅行した際、車椅子を収容できるバリアフリールームにアップグレードして料金を支払うことを余儀なくされた体験から、Khan氏は旅行の未来を定義する際に、業界のリーダーたちが「障害者税」と呼ばれるものを取り除く努力をしなければならないと述べました。さらに、障害を持つ旅行者のためのサービスや製品を作るには、共感とコミュニケーションが不可欠なツールであると付け加えました。

    障害者差別の解消と旅行のアクセシビリティ向上を訴える登壇の様子

    障害者権利活動家、旅行業界に「障害者税」廃止を呼びかけ Skift(2022)

    誰一人取り残されない社会の実現

    以上のデータが示すとおり、これからの観光産業の未来をふまえ、さまざまなユーザーに対して価値を提供するためにインクルーシブデザインの考え方がより重要になると考えられます。また、世界とつながる観光産業において、多様なユーザーを巻き込み、多様なユーザーに開かれた観光体験を届けることが、サステナブルな産業モデルの構築と独自性のある企業価値の創造をもたらすキーファクターとなります。次の記事ではインクルーシブな取り組みを行う観光業界の事例を紹介します。

    多様な人々を起点に、利用者増・差別化・社会との接点拡大につながることを示す図
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