超高齢社会におけるインクルーシブデザインの必要性
エピソード2
Report
:超高齢社会にデザインはなぜ必要か?

【連載第2回】 超高齢化社会にデザインはなぜ必要か?
共創型のアプローチがより重要に
インクルーシブデザインは、特定の障害や課題を解決するためだけの手法ではありません。多様な背景や価値観、行動特性を持つ人々をデザインプロセスに巻き込みながら、より多くの人に価値を届けることを目指すアプローチです。
従来のデザインでは、ユーザーを理解し、そのニーズに応える「ユーザー中心設計」が重視されてきました。近年ではさらに、ユーザーやステークホルダーとともにアイデアを創出する「共創型のデザイン手法」、そして体験全体を設計する「ユーザー体験の設計」へと発展しています。
共創型のアプローチによって、ユーザー自身も気づいていなかった課題や価値を発見し、より豊かな体験や新たな価値の創出につなげることができます。

超高齢社会が日本企業の成長やイノベーションのきっかけに
超高齢社会は、しばしば課題として語られます。しかし一方で、日本企業にとっては新たな成長やイノベーションの機会とも捉えることができます。
生産年齢人口の減少は労働力不足という課題を生み出す一方で、DXや制度改革による生産性向上の必要性を高めています。また、高齢者一人ひとりの価値観やライフスタイルが多様化するなかで、新たなサービスや市場の可能性も広がっています。
超高齢社会への対応は、単なる課題解決ではなく、日本における経済成長や新たな価値創出につながる重要なテーマになっています。

出典:「高齢社会共創センター」
超高齢社会におけるイノベーションのパターン
超高齢社会におけるイノベーションは、大きく「サービスのイノベーション」と「制度のイノベーション」に分けることができます。
病弱な人や介護を必要とする人に対しては、遠隔医療や介護ロボット、見守りサービスなど、生活を支えるサービスの発展が期待されています。一方で、それらを社会に普及させるためには、医療・介護制度や地域支援制度などの見直しも欠かせません。
また、超高齢社会は「支援を必要とする人」だけの社会ではありません。健康な高齢者が増えるなかで、旅行やフィットネス、生涯学習、ライドシェアリングなど、新たなライフスタイルを支えるサービスへのニーズも高まっています。
超高齢社会への対応は、医療や介護の課題解決だけでなく、多様な生き方や価値観を支えるサービスや制度を生み出す機会にもなっています。

まとめ
超高齢社会は、医療や介護だけの課題ではありません。人々の健康状態やライフスタイル、価値観が多様化するなかで、これまでの「平均的なユーザー」を前提としたサービスや仕組みは見直しを迫られています。
また、DXの進展によって新たな価値が生まれる一方で、利用できる人と利用できない人との間に新たな格差が生まれる可能性もあります。こうした変化に対応するためには、企業や行政だけで課題を考えるのではなく、多様な人々とともに価値を創り出す共創型のアプローチが重要になります。
超高齢社会は課題の多い時代であると同時に、新たなサービスや制度、ビジネスを生み出す大きな機会でもあります。これからの社会に求められるのは、高齢者を特別な存在として捉えるのではなく、多様な人々の視点から社会やサービスを再設計していくことではないでしょうか。
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