シニアと共創する際の8つのポイント

エピソード3

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    :商品開発から見えたシニア・高齢者と共創するガイドラインとは

    シニアと共創する際の8つのポイント

    【連載第3回】 商品開発から見えたシニア・高齢者と共創するガイドラインとは


    シニア・高齢者と共創するデザインにおいては、インタビューやワークショップ、エスノグラフィーなど、さまざまな手法を取り入れながら、各フェーズでユーザーとともに製品・サービスをつくり上げていくことが重要です。

    まず、シニア・高齢者とともに課題を抽出するフェーズでは、専門家インタビューやユーザーインタビュー、日常行動の観察などを通じて、実際の課題やニーズを把握します。

    次に、シニア・高齢者とともに解決策を検討するフェーズでは、アイディエーションワークショップやコンセプト評価を行いながら、具体的な解決策を形にしていきます。

    さらに、シニア・高齢者とともにサービスを届けるフェーズでは、ユーザビリティ評価や日記調査、ホームユーステストなどを通じて、実際の利用状況を踏まえた改善を行います。

    これらのプロセスは一方向に進むのではなく、発散と収束を繰り返しながら進行し、最終的には運用・改善へとつなげていきます。

    課題抽出、解決策づくり、サービスを届ける流れを発散と収束の繰り返しで示した図

    8つのポイント

    1. 落ち着く環境を選ぶ

    シニア・高齢者と共創する際には、参加者が安心して過ごせる環境を選ぶことが重要です。自宅近くの場所や、行き慣れているカフェ、コミュニティスペースなどは、落ち着いて参加しやすく、より良質なインサイトやアイデアを得やすくなります。

    一方で、主催者側の都合を優先した場所選びには注意が必要です。例えば、退職後に時間が経っている方や、オフィスで働いた経験のない方にとっては、オフィスは緊張を感じやすい空間となります。そのような状況では、参加者が本音を話しづらくなり、意見やアイデアが出づらくなってしまいます。

    そのため、共創の場を設計する際には、参加者の視点に立ち、安心して自然体でいられる環境を選ぶことが求められます。

    2. 安心できる服装をする

    シニア・高齢者と共創する際には、参加者が安心できる服装で臨むことも重要です。参加者の生活環境に合わせた服装を心がけることが効果的です。制服やスーツなどに普段馴染みのない方と会う際は、少しカジュアルな格好をするなど、参加者の方の生活環境に近い格好をするように心がけることで、安心して参加しやすくなります。

    一方で、かっちりとした服装や奇抜な服装には注意が必要です。人によっては、スーツなどフォーマルな格好の人に囲まれると緊張してしまうことがあります。また、奇抜な格好は、不信感や緊張感を与える可能性があります。

    3. 自己開示をしっかりと行う

    シニア・高齢者と共創する際には、意識的に自己開示を行い、共通点を見つけることが重要です。シニア世代にとって、初対面の人にパーソナルなことを話すのは抵抗を感じやすい場合もあります。「私は〇〇に住んでいますが、Aさんはどちらですか?」「私も△△が好きです」など、自ら自己開示をしながら共通点を見つけ、信頼関係を築いていくことが重要です。

    一方で、ビジネスライクな話し方には注意が必要です。聞きたいことや時間に意識を向けすぎると、会話が硬くなってしまうことがあります。また、「インタビュー」「アイディエーション」など聞き慣れない用語を使うと、参加者に不安感や混乱を与える可能性があります。

    4. 目上の人に敬意を払う

    シニア・高齢者と共創する際には、敬意を持って接することが重要です。自分たちがこれまで経験したことのない経験を持っているシニア世代に対して、敬意を持ち、「弟子のように教えていただく」姿勢で話すことが求められます。

    一方で、老いや衰えを感じさせてしまうような聞き方には注意が必要です。「できなくなったことはなんですか?」「スマートフォンは使えますか?」といった問いは、シニア世代に不快な思いを与えてしまう可能性があります。

    5. 内容を詰め込みすぎない

    シニア・高齢者と共創する際には、内容や質問をシンプルで最小限にすることが重要です。シニア世代とのワークショップやインタビューでは、話すペースや休憩などの影響で、想定以上に時間がかかることもあります。情報が多くなる場合は、事前に資料を配布するなど、1回あたりの負担を減らす工夫が求められます。

    一方で、情報を盛り込みすぎることには注意が必要です。多くの説明や質問は混乱や疲労感につながり、良質なインサイトを得られない可能性があります。また、数時間単位のワークショップや90分以上のインタビューは、シニア世代にとって負担となる場合もあります。

    6. プロトタイプを使ってフィードバックをもらう

    シニア・高齢者と共創する際には、プロトタイプを使い、メンタルモデルを合わせることが重要です。年代や生活環境が異なる人とのコミュニケーションでは、メンタルモデルが異なり、同じ言葉でも同じものを思い浮かべられないことが多くあります。そのため、手に取れるプロトタイプを用いてフィードバックを得ることが効果的です。

    一方で、言葉だけでイメージを伝え、想像してもらうことには注意が必要です。製品やサービスのアイデアについて、「もし〜だったらどうですか?」「たとえば〜だったらどうですか?」など、今ないものを言葉だけで想像してもらうのは難しく、十分な意見を得られない可能性があります。

    7. 見慣れているツールを使う

    シニア・高齢者と共創する際には、見慣れているものに近いプロトタイプを見せることが重要です。新聞やチラシ、マンガのようなストーリーボードなど、普段見慣れた媒体に近い形でプロトタイプを提示することで、製品・サービスのイメージが想像しやすくなり、良質なフィードバックを得ることができます。

    一方で、専門的・抽象的なプロトタイプには注意が必要です。ラフスケッチのような抽象度の高いプロトタイプや、Figmaなどの専門性が高く見慣れないプロトタイプは、使いこなせなかったり、利用シーンを思い描けなかったり、自分ごととして捉えにくい可能性があります。

    8. 客観的な意見も取り入れる

    シニア・高齢者と共創する際には、家族や専門家の意見を取り入れることが重要です。シニア世代の家族やヘルパー、理学療法士、医療従事者など、対象のシニア世代とよく接している人の客観的な話も聞いてみましょう。本人が気づいていない課題や工夫について、示唆を得られる可能性があります。

    一方で、当事者本人のみの話を参考にすることには注意が必要です。インタビューやワークショップで、シニア本人から聞いた話のみを参考にすると、実際の行動と発言が異なっている場合や、本人が無自覚に行っている行動・習慣などを見落としてしまう可能性があります。

    まとめ

    本記事では、シニア・高齢者と共創する際に重要となる8つのポイントを紹介しました。共創においては、難しい手法ではなく、相手の立場や生活、心理に寄り添った環境づくりやコミュニケーションが重要になります。

    安心できる環境や関係性で対話を重ねていくことで、より本質的な課題やニーズを引き出すことができます。こうした積み重ねが、シニア・高齢者にとって本当に価値のあるプロダクトやサービスの創出につながっていきます。

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