店頭端末
エピソード1
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:インクルーシブな店頭端末・セルフレジに求められるUI・UXデザインとは?13のデザインガイドライン

【連載第1回】 インクルーシブな店頭端末・セルフレジに求められるUI・UXデザインとは?13のデザインガイドライン
店頭端末とは、小売店や飲食店、様々なサービスを利用する際に、顧客や従業員が操作し、利用する端末のことを指します。
例えば、店内の商品を検索できる検索端末や、飲食店で注文を行う注文端末、商品を自分でスキャンして支払いを行うセルフレジ端末などがあります。また、各種サービスの申し込みができる申し込み端末や、チケットを購入する発券端末、従業員が業務で利用する業務端末などもあります。
このように、店頭端末は顧客の利便性向上や業務効率化を目的に、店舗業務を支援するために活用されています。タッチパネルで直感的な操作ができるため、誰もが簡単に利用できる利点があります。
店頭端末の種類
近年、toC(消費者向け)・toB(企業向け)の両方において、タブレットやスタンドアローン端末を活用した店頭端末の利用が増加しています。特にtoC領域では、セルフレジや飲食店注文端末、発券機など、生活のさまざまな場面で利用する機会が増えています。
また、店頭端末には、特定の用途に特化した「専門的」な端末と、幅広い用途で活用される「汎用的」な端末があります。
例えば、専門的な端末には、セルフレジや飲食店注文端末、タクシー精算端末、ホテル・旅館客室のタブレットなどがあります。一方で、汎用的な端末としては、営業担当用タブレットやシニア向けタブレット、子ども向けタブレット、カーナビゲーションなどが挙げられます。
このように、店頭端末は業種や利用シーンごとに多様化しており、様々な人が日常的に利用する存在となっています。本記事では、その中でもセルフレジに焦点を当て、改善提案を行います。

国内のPOSターミナルの市場動向
POSターミナル*市場は、2017年度以降、大手コンビニの機器更新需要に伴い市場が拡大しました。また、2019年の消費増税の影響もあり、POSターミナルの需要は平常時と比べてさらに、拡大しました。しかし、2020年度はコロナの影響で10万台程度と低水準に落ち込み、2021年度も9万台程度で推移しました。減少の要因として、タブレットPOSの拡大、レジレス店舗の増加、デリバリーシステムの普及などがあります。
また、2022年度以降、POSターミナルの更新需要が戻ってくる中で、セルフレジ導入による省人化ニーズが高まっており、今後その傾向が強まると考えられます。
*POSターミナルとは、店舗のレジや請求などの決済処理を行うための端末機器のことを指します。

環境特需と市場ニーズに後押しされるセルフレジ需要
2023年版のスーパーマーケット白書によると、セルフレジの設置率は2019年から2022年の間に、13.8ポイント増加し、セミセルフレジの設置率も同期間で17.2ポイント増加しています。
この増加の背景には、コロナや消費者の購買行動の変化が関与しています。コロナの影響により、接触を最小限に抑えるための非接触型の支払い方法への需要が高まりました。また、消費者の利便性やスピードに対する要求の増加も、セルフレジやセミセルフレジの普及を後押ししました。
将来においても、設置率は引き続き増加し、消費者の需要に応えるためにますます普及していくでしょう。また、人手不足解消や人件費カットを目的にセルフレジやセミセルフレジの導入を進めている企業や個人経営者も増えているのが現状です。

セルフレジの課題点
視覚障害者には不便なタッチパネル「バリアでしかない」
近年、飲食店やスーパー、行政窓口などでタッチパネル式の機械が広く導入されています。一方で、視覚障害者からは、こうしたタッチパネルがバリアとなり利用が困難になったとの指摘があります。
例えば、食券購入やメニュー選択、支払い操作が自力でできなくなったり、操作方法が分からずストレスを感じる状況が生じています。店舗側は従業員に操作を依頼するよう呼びかけ対応していますが、以前のように自力でできたことができなくなった不便さは大きいとのことです。
気付けば「セミセルフレジ」が多数 「ゆっくり」求める人も
セルフレジの普及に伴い、「セミセルフレジ」も増加しています。イオンリテールは効率化のためセミセルフレジを増やしている一方で、サポートが必要な利用客のために有人のサポートレジの拡大も進めています。
セミセルフレジでは支払い時の操作に戸惑いを感じる利用客がいたため、店員が対応するケースが増えていました。そうしたことから、現在では、こうしたサポートレジが240店舗に拡大されており、今後は300店舗以上への導入も目指されています。
このように、セルフレジや店頭端末は利便性や効率化を実現する一方で、多様な利用者への配慮も求められています。
誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を
市場や業界のトレンドに加え、国の動向に目を向けると、デジタル庁は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の中で、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」という方針を掲げています。
主な目標の一つとして、「国民一人ひとりの幸せの実現」が挙げられており、デジタル技術を活用することで、生活や仕事の質を向上させ、より豊かな暮らしを実現することを目指しています。
こうした方針からも分かるように、今後は多様な人々が恩恵を受けられるサービスやプロダクトの開発が、より一層求められていくと考えられます。特に、幅広い人が日常的に利用するセルフレジや店頭端末においては、誰もが使いやすいUI・UX設計の重要性が高まっています。


合理的配慮の義務化
多様な方への配慮という観点では、令和3年の障害者差別解消法の改正も重要な動きの一つです。令和6年4月1日に施行された改正法では、事業者に対して、合理的配慮の提供が義務化されました。これにより、障害のある人がサービスを利用する際に生じる困難に対して、事業者側が適切な配慮を行うことが求められています。
このように、ダイバーシティのある社会の実現に向けて、国全体が方向性を示しています。

アクセシビリティとイノベーションは相関性があるのか?
ウェブアクセシビリティを確保することで、障害のある人や高齢者、色覚特性の異なる人など、多くの人々がウェブを通じて情報を取得し、デジタルサービスを利用できるようになります。
厚生労働省の調査によると、平成28年時点での身体障害者手帳所持者は428.7万人となっており、この人数は年々増加しています。こうした背景からも、より多様な人々が利用しやすいデジタル環境づくりの重要性が高まっています。
多様なニーズに応えることで、より多くの人が利用できるサービスにつながり、新しい価値や体験の創出にもつながります。このように、アクセシビリティを高めることは、より包括的で公正なデジタル環境の実現だけでなく、イノベーションを促進する要素としても期待されています。

アクセシビリティとイノベーションは関係性があるのか?
Webの標準化を推進する国際的な団体であるWorld Wide Web Consortium(W3C)によると、アクセシビリティを戦略上の重要な要素としている企業は、より革新的であり、市場への広範なアプローチやブランド価値向上につながるとされています。
近年では、Facebook、Microsoft、Dropbox、Yahoo、LinkedInなど、多くの主要なテクノロジー企業がアクセシビリティ向上に向けた技術開発を強化しています。アクセシビリティを取り入れることで、建築的・デジタル的・社会的な障壁が取り除かれ、より多くの人がサービスを利用できる環境づくりにつながっています。
01 アクセシブルなデザイン思考
アクセシブルなデザイン思考では、ユーザーがウェブサイトやアプリケーションと対話するための、多様で柔軟な方法が提供されています。誰もが利用しやすい体験を考えることが、新しいインタラクションの発想につながっています。
02 より人間中心なインタラクション
アクセシビリティを考慮する場合、ユーザーとのインタラクションのデザインは、画面以外の体験を考慮します。その結果、より人間中心で、自然で、文脈に即したインタラクションが生まれます。
03 他分野への技術応用
目の見えない参加者の視力回復を支援する人工網膜プロジェクトの研究は、リアルタイム画像処理技術を活用したロボット開発にも応用される可能性があります。アクセシビリティ分野の研究が、他分野の技術革新につながる例と言えます。
04 障害者支援から広がった技術
タイプライター、電話、音声読み上げ、電子メール、音声コントロールなど、現在広く利用されている技術の多くは、もともと障害のある人を支援する目的で開発されたものでした。その後、一般社会にも広がり、多くの人に利用される技術となっています。
05 ドライバーレス自動車への期待
ドライバーレス自動車は、視覚障害者の移動支援だけでなく、交通事故の減少や渋滞の解消にも役立つことが期待されています。このように、アクセシビリティを起点とした技術は、社会全体に価値をもたらす可能性があります。
多様性に配慮したプロダクト創造の重要性
障害者差別解消法における合理的配慮は、一部の対象や状況に対する対応が中心となっています。しかし、実際の社会には、障害の有無だけでなく、年齢や文化、言語、デジタルリテラシーなど、多様な背景を持つ幅広いユーザーが存在しています。
そのため、これからのプロダクトやサービスを考える上では、特定のユーザーだけではなく、より多様な人々を含めて設計していく視点が重要になります。
今後は、インクルーシブな思考を持ちながら、障害者だけでなく、さまざまなユーザーに配慮したプロダクトやサービスの創造が求められていくと考えられます。より多くの人が利用しやすく、包括的なアプローチを取り入れたプロダクトの重要性は、今後さらに高まっていくでしょう。

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