デザインプロセスから"付加価値"が生まれる。インクルーシブデザインを活用した「日本財団カンファレンスサイト」のリニューアル
公益財団法人日本財団
#公共・交通・自動車
#実績
インクルーシブデザインスタジオ「CULUMU」で、日本財団の「アジア・フィランソロピー会議2023」カンファレンスサイトのリニューアルを行いました。
単にサイトを制作するだけでなく、カンファレンスのコンセプトである「DE&I(多様性、公平性、包括性)」に向き合ったご提案をCULUMUから多く行いました。例えば、発達特性のある子どもたちと一緒にサイトキービジュアルを作成、アクセシビリティに配慮したサイト制作などを行っています。
結果として、日本財団様で考えていた思想が可視化され、これまで以上にカンファレンスにおけるコンセプトが強調され、イベントの成功につながっています。

このようなアウトプットに至った背景や、プロセスをまとめて、共有させていただきます。
日本財団のカンファレンスサイトリニューアル
CULUMUでは、2023年8月から12月の3ヶ月間で、日本財団様で毎年実施されている「アジア・フィランソロピー会議」の2023年におけるカンファレンスサイトのリニューアルを行いました。

より、カンファレンスのコンセプトを反映したWebサイトに
「アジア・フィランソロピー会議」は、DE&I(多様性、公平性、包括性)をテーマに、アジアのフィランソロピー関係者が集まるカンファレンスです。

一方で、このような多様性・公平性・包括性というコンセプトは、これまでの「アジア・フィランソロピー会議」のWebサイトではあまり反映されていませんでした。
例えば、イベントのテーマであるDE&Iを伝えるようなデザインや、さまざまな人が見ることができるようなアクセシビリティの対応がされていない。平たく言うと、イベントの申込の導線という役割に留まっていました。

以前のサイトには、カンファレンスのコンセプトである “多様性” などの観点があまり反映されていなかった
そんな中で、私たちCULUMUにサイトリニューアルの依頼をいただきます。
問い合わせ背景としては「企業課題と社会課題の解決を共に目指すインクルーシブデザインスタジオ」というCULUMUが掲げるものにご共感いただけたことが大きいようで、思想から理解し合えるパートナーとして関わり始めることができました。
そうして、DE&I (多様性・公平性・包括性) の考え方がさらに反映されたカンファレンスサイトをつくることを目指してプロジェクトを開始しました。
コンセプトに向き合った結果、付加価値が生まれる
CULUMUが今回意識したのは、カンファレンスのコンセプトをそのままに表したサイトを制作することでした。
アウトプットであるサイトにも「DE&I (多様性・公平性・包括性) 」がより反映されていくこと。さらには、制作過程でもコンセプトを反映した進め方を行うこと。このようなことを意識してプロジェクトを進めます。
このようにコンセプトに向き合ったプロセスにこだわることで、結果として、単にサイトを制作する以上の付加価値が生まれていきます。

CULUMUの思想にまで共感していただき依頼をいただいたからには、ただ制作する以上の価値を持たせていきたいなと考えました。
具体的には、サイトリニューアルを通じて、サイト自体のアウトプットに加え、以下の2つの取り組みを行いました。
発達特性のある子どもたちと一緒にキービジュアルを制作
誰にでもアクセシブルなサイト構成

このどちらも、今回のカンファレンスとして重視されている「DE&I (多様性・公平性・包括性) 」のコンセプトを踏まえると、今回のリニューアルで同時に実施すべきだと考えて提案をしています。
それぞれ詳しく、提案の背景や、進め方、アウトプットについてまとめてみます。
1. 発達特性のある子どもたちと一緒につくったキービジュアル
今回のサイトのキービジュアルは発達特性のある子どもたちに協力してもらい、彼らに筆を取ってもらっています。


カンファレンスのコンセプトを踏まえた提案
前述したように「DE&I (多様性・公平性・包括性) 」というアジア・フィランソロピー会議のコンセプトを踏まえて提案を行います。
打ち合わせの中で、日本財団様側から「ニューロダイバーシティ (*1) にフォーカスし、発達特性のある子どもたちと一緒に絵を描けないか」という話が出てきたため、CULUMUで実現に向けて動いていきました。
*1… ニューロダイバーシティとは「脳や神経に由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、社会の中で活かしていこう」という考え方を指します。
このような提案ができるのは、CULUMUが4,500以上のNPOネットワークを持ち、高齢者や障がい者など多様なユーザーへ向けたデザインを提供しているためです。
子どもたちの巻き込み
子どもたちを巻き込むことでどんなアウトプットが出てくるか分からない状態では、サイト制作の進行に影響がでることも考えられたため、アウトプットイメージについてはCULUMUと日本財団様と事前に調整をしておきます。

どのような子どもたちを巻き込むのかについても、関わっていただけそうなNPO団体のパターンを提案しながら確認します。

いくつかの議論を踏まえ、結果的に、今回は、知人のお子さまに協力してもらうことになりました。
ワークショップ
ワークショップ当日までも、スムーズに進むように準備を進めます。

リハーサルを行った上で、本当にうまくイメージしているものをつくってくれるだろうか、と不安はありました。
ただ、当日を迎え、ドキドキしながら待っていると、無事に二人が登場。何も言わずともすぐに筆を取ってくれて、イメージ以上のものができあがりました。

サイトへの反映、会場内の装飾にも展開
描いてもらった絵を、CULUMU側で調整をかけた上で、キービジュアルとしてサイト上に反映してきまいた。

さらに、意図していなかった、派生した効果も生まれました。
日本財団のプロジェクトメンバーの方にもワークショップにも来てもらっていたのですが、プロセスを含むアウトプットに非常に感動してもらえました。
そして「カンファレンスのコンセプトを表せている今回のキービジュアルを、サイトだけでなく、会場内の装飾にも使っていきたいです。」ということを伝えていただきます。

結果として、当日のカンファレンス会場内の装飾についても追加で発注していただくことになり、CULUMUで、今回つくったキービジュアルを展開して会場装飾も制作しています。

2. 誰にでもアクセシブルなサイト構成に
もう一つ、付加価値として提供したのが「誰にでもアクセシブルなサイト構成」でした。
思想を可視化するキービジュアルをつくっても、肝心のサイトのつくりが甘ければ案件として成立しません。
キービジュアルのパートが攻めならば、いわばこちらは守りです。品質を高めていくことにこだわりました。

ここでも、日本財団様の思想や、「アジア・フィランソロピー会議」のコンセプトである DE&I (多様性・公平性・包括性) を踏まえた提案から始めていきました。
アジア全体を対象として、多様な方が訪れるカンファレンスのサイトなので、当然アクセシブルな構造が求められるだろうと予想しており、多言語対応や、アクセシビリティ対応を行うことを提案しています。

まずは既存のサイトにおけるアクセシビリティチェックから行います。

CULUMUでは、普段からアクセシビリティを踏まえたサイト制作に取り組んでいます。
ただ、今回は前例のあまりないイベントサイトのアクセシビリティ構築ということで、既存のスタイルなどは当てはめづらいので、一から作成していくこととしました。

アクセシビリティテストもCULUMU側で行います。
CULUMUにはアクセシビリティのスペシャリストが多数在籍しています。彼らを巻き込んでウォークスルーを行い、リリース前にアクセシビリティを検証しました。

今回はリリースまでの時間も限られた中だったので、CULUMU内だけでテストを実施していますが、普段は、障害のある当事者の方 (*2) に協力してもらってテストを行うプロセスを取ることが多いです。
*2… 社会の側に整備されていない部分や理解が足りない面があり、そのために不利な状態にあるのが「障害」である、という社会モデルの考え方から、この記事では「障害」という記述で統一しています。
前述したように、社外の多くのNPO団体と連携できる環境がある、CULUMUだからこそ行えるサポートです。

カンファレンスが開催、イベント内外で価値が生まれる
結果として、無事にカンファレンスが開催されました。集客面はもちろん、当日の装飾も含め、非常に好評をいただいています。

「カンファレンスのキービジュアルを制作した」ことを超えて「日本財団における思想まで可視化されるようなアウトプットになった」ことによって、日本財団様にも、これまでのサイト以上の価値を感じていただきました。
その影響もあって、今年度のサイトについても制作を任せていただいています。


さらに、今回一緒にキービジュアルを制作した子どもたちの親御さまからも、非常に嬉しい言葉をいただきました。
実際に、カンファレンスで使われたパネルを後日家まで届けた際には、どこに飾ろうか目を輝かせていたのが印象的でした。

デザインプロセス自体を、価値あるものに
CULUMUは「企業課題と社会課題の解決を共に目指すインクルーシブデザインスタジオ」です。

インクルーシブデザインとは、デザインのアウトプットだけでなく、そのプロセスにも多くの人を巻き込むことで、プロセス自体も価値あるものにしていくということだと捉えています。

例えば、今回のように、デザインのアウトプットだけでなく、制作過程にすらも価値を持たせていこうとすることで、いくつもの付加価値が生まれていきます。
このようなプロセスにこそ意義があり、結果としてアウトプットも含めた価値が最大化されるのだと信じています。
他にも、ランドセルづくり、街づくり、学校づくり、などCULUMUが手がけるプロジェクトは多くあります。他のプロジェクトについても、詳しく伝えられるように事例をまとめていきます。
CULUMUのインクルーシブデザインに関心がある方は、ぜひHPよりお声がけください。

ジャーナルトップへ
関連記事
心の距離を縮めるオフィス家具とは?コクヨ『hangout』に学ぶインクルーシブデザインの本質
2026/4/1
コクヨ株式会社

#公共・交通・自動車
#インタビュー
インクルーシブプロダクト最前線
姿勢改善のための可視化がもたらす行動変容――N=1の熱狂から市場を拓く、スマートインソールardi(アルディ)の開発思想
2026/4/1
株式会社フリックフィット

#ヘルスケア・医療
#インタビュー
#実績
インクルーシブプロダクト最前線
「充電切れは、世界との切断」エレコム初のインクルーシブデザインを視覚障害者と共に――N=1の"切実"が"共感"に変わるまで
2026/4/1
エレコム株式会社

#テクノロジー・情報通信
#インタビュー
インクルーシブプロダクト最前線
視覚障害の子どもの勉強を支える、当事者to当事者のオンライン個別指導ビジネスが創る“自立”
2026/4/1
株式会社WillShine

#テクノロジー・情報通信
#インタビュー
N=1が動かすソーシャルイノベーション
インクルーシブデザイン事例IKOUポータブルチェア──多様な家族の「お出かけしたい」を形にするHaluの挑戦
2026/4/1
株式会社Halu

#公共・交通・自動車
#インタビュー
N=1が動かすソーシャルイノベーション
書籍「当事者発想」発刊に寄せて / デザインと当事者発想
2026/3/31

当事者発想
正解ではなく問いを共有する──市民・行政・企業をつなぐ共創の技法とリビングラボの現在地
2026/3/30

#レポート
#ナレッジ
共創の現場学
行動経済学は「合意形成」の共通言語になるか?──人の非合理性を前提とした仕組みのデザイン
2026/3/23

#レポート
#ナレッジ
共創の現場学
良かれと思った解決策がなぜ反発を生むのか?「ケア」と「仕組み」のジレンマを解く
2026/3/16

#レポート
#ナレッジ
共創の現場学
プロセスを大切にする提案――なぜ今、量から質への転換が必要なのか?学校建築に求められる変化とは
2025/12/17
株式会社小河建築設計事務所

#建築・建設・不動産
#実績
#インタビュー
N=1が動かすソーシャルイノベーション
Contact
お問い合わせ
お気軽にご相談ください。お見積もり依頼も可能です。1営業日中にご返信いたします。
お問い合わせをする
Service introduction
サービス紹介資料
CULUMUが提供するインクルーシブなデザインソリューションをご紹介しています。ぜひご活用ください。
資料をダウンロードする
























