AI時代のプロジェクト管理、どうしてる?岡田祐介が語る「会議が終わると プロジェクトができている」WBS作成術
#インタビュー
デザインスタジオCULUMUで、新たに始まった”くるむダイアログ”。
くるむダイアログは、CULUMUのメンバーが日々の業務で得た知見や試行錯誤を持ち寄り、対話を通じて共有・可視化する社内勉強会です。AI活用を起点に、成功例だけでなく思考やプロセス、迷いも含めて言語化し、個人に閉じたナレッジを組織全体へ循環させていくことを目的としています。
今回は、プロジェクト管理についてユニークなAI活用をするデザイナー岡田祐介に話を聞きました。

まずは「普段やっていること」を持ち寄るところから
今回の話題は"プロジェクト管理"。まずは「普段やっていること」を持ち寄るところから始まりました。
勉強会では、FigJam上に各自の実務内容を書き出すところからスタートしています。参加者から挙がっていたのは、例えば次のような内容です。
納品物の定義(形式や提出時間など)
過去の類似案件の資料参照
スケジュールや稼働状況の棚卸し
提案時におけるスケジュールの現実的な擦り合わせ
プロジェクトゴールのステートメント化
クライアントの人間関係やステークホルダーの関係性の把握
いずれも特別な作業ではありませんが、改めて並べてみると、プロジェクト計画が構造化された作業と暗黙知的な判断の両方によって成り立っていることが見えてきます。
プロジェクト管理ツールを“つくっている”メンバーも
その後、書き出された内容をもとに、スタンプを付けていく時間も設けられました。共感や関心のある付箋が可視化されることで、次に取り上げるべき論点の整理にもつながっていきます。
さらに議論を進める中で、ツールを自ら「つくっている」メンバーの存在も明らかになりました。一部の参加者は、プロジェクトに関する情報を一箇所に集約し、
提案資料
スケジュール(ガントチャート)
タスクの割り振り
までを一貫して扱える、ミニマムなチケット管理ツールを自作しているといいます。
また別の事例としては、スプレッドシートに開始日と終了日を入力したうえで、Geminiにガントチャート化を依頼する……といった運用も紹介されました。既存ツールとAIを組み合わせながら、「ちょうどよい使い方」を模索している段階であることがうかがえます。
うまくいっていることもあれば、まだ揃っていない部分もある
一方で、議論の中では「まだ揃いきっていない」という感覚も自然に共有されていました。
具体的には、
AIは便利だが、最終的には手作業で調整している
工程ごとにツールや作業が分断されている
情報の持ち方によってアウトプットの質が変わる
といった指摘が挙げられています。こうした点には、現場ならではのリアリティが表れています。
特に印象的だったのは、「一気通貫でつながる感じはまだない」という認識です。提案、スケジュール作成、タスク分解といった一連の流れは存在しているものの、それぞれの工程のあいだには、依然として小さな断絶が残っている状況にあります。
散らばった仕事が、一つの流れになるとき
その後、わたしたちはプロジェクト管理ツールを“つくっている”メンバーのひとりである岡田にインタビューを試みました。
──まず、現在取り組まれているAI活用について教えてください。
AIを使って、プロジェクト定義から進捗管理までを一気通貫で行う仕組みを試しています。従来は、定義、計画、実行といった工程がそれぞれ分断されていましたが、それを一つの流れとして扱おうという発想です。
具体的には、まずクライアントとのやり取り(発話録)をAIに読み込ませます。そこからプロジェクトの目的やスコープ、関係者といった要素が抽出され、プロジェクト定義が生成されます。この定義はそのままスケジュール作成のインプットとなり、タスクが整理され、時間軸に配置されていきます。
さらに、タスクは『未着手・進行中・完了』といった状態で管理できるようにしています。実際に試してみると、想像以上に実用的なものができました。イメージ的には、「プロジェクト管理ツールの簡易版をAIで生成している」ようなイメージですね。
――こうした取り組みの背景には、どのような課題があったのでしょうか。
従来は一つのアウトプットが求められていたプロジェクトが、複数の機能体に分解され、それぞれに専門的な役割が割り当てられるようになりました。
このような役割の細分化は、各機能の専門性を高め、個別の効率を向上させる一方で、全体像の把握を難しくする側面もあります。その結果、業務全体としてのタスク量が増加し、管理の複雑性が高まる状況が生まれました。
こうした課題に対して、まず業務に含まれる要素を広く洗い出し、それらを一定の視点から整理することに着手しました。さらに、それらの要素を実行可能な単位にまで分解し、具体的なタスクとして再構成していきます。
このプロセスを通じて、業務は細分化されたタスク群として可視化されました。しかし同時に、それらをどのように統合的に運用していくかという、新たな課題も浮かび上がってきたのです。
「一元管理」への転換とAIによるアプリ生成
――なるほど。しかし、プロジェクトの急な方向転換は、その後もタスクの発生や軌道修正がつきものです。
その通りです。従来、情報はGoogleドキュメントやスプレッドシートなどに分散して管理されていましたが、それでは更新の整合性が保てず、全体像の把握も困難になる。
そこで、『すべてを一元管理できる形にしよう』と考えました。
最終的に作ったのは、ガントチャートとタスク管理を統合した簡易アプリケーションです。誰が、いつ、何を担うのかを一望できる構造を持ち、ブラウザ上で軽量に動作する仕組みです。
これはClaudeを使いました。チャットで要件を伝えると、HTMLベースのアプリケーションを生成してくれるんです。それをブラウザで開いて使う形ですね。プロジェクト関係者の会話ログをAIに入れると、プロジェクト定義が自動で生成されます。そこからWBSが作られて、そのままプロジェクト管理に接続される……という流れです。ある種、ワークショップの録音から直接ガントチャートが生成される訳なので、かなり効率化されると思います。
ただ、データはブラウザの一時メモリに保存されるだけで、永続的なデータベースはありません。そのため、本格的に使うにはGitHubやNotionと連携する必要があります。
――組織全体への導入のハードルについてはどのように考えていますか。
Claudeは比較的高額なので、すべての案件に適用できるわけではありません。たとえば大きな予算が使える一定程度規模のプロジェクトであれば成立するかもしれませんが、小規模案件では費用対効果が合わない可能性がありますね。
現時点では全社導入は現実的ではないものの、これからは単にツールを使うだけではなく、AIを前提に業務を再構成できる人材が必要になると思います。より上流で問題を定義できる人でないと、価値を出しにくくなる。人間に求められる役割は、より構造的で抽象度の高い領域へと移行していくことを予期されるからこそ、定型業務をいかにAIに任せていけるかが問われているのだと思います。
AIは、既存の業務を効率化するにとどまらず、仕事そのものを再編成し始めていると言えるでしょう。
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