書籍『当事者発想』発刊に寄せて―「誰かのため」に生きたいと願う、すべての人に向けて―
はじめまして。著者の佐藤徹です。
本書は私のこれまで十数年の社会人経験のなかで得た学びと気づきを、一冊に凝縮したものです。新卒ではコンサルティングファームにて、デジタルマーケティングやウェブ領域のコンサルティングに従事する傍ら、Living in PeaceというNPOにも関わってまいりました。その後、小児医療領域での事務職としてのキャリアを経て、現在は株式会社STYZにてCEO室長を務め、在籍して5年になります。
STYZという会社は、とてもユニークな事業体です。寄付プラットフォームSyncable、インクルーシブデザインスタジオCULUMU、そしてテクノロジー事業のSTYZ Tech。さらにはAI事業部や当事者発想ラボという新組織も立ち上がりつつあります。
社内では「社会課題」「共創」「社会実装」というようなフレーズが飛び交うことが日常で、それらは単なる言葉としてではなく、毎日の仕事の進め方そのものに深く織り込まれています。
私自身もそのような環境の中で、様々な方々とともに意味や意義を共創していく姿勢の重要性を学んできたつもりです。特に、現場に足を運び、当事者の声に耳を傾けること。そして、その声を出発点に仮説を立て、検証しながら、当事者の方々と共にかたちにしていくプロセスは、これからのキャリアでも大切にしたいと思える考え方のひとつです。
では、どんな人向けの本なのか?というところでは、私としては下記のような方々にお薦めしたいと考えています。
「社会のため」「誰かのため」と思って行動したいのに、なぜか気持ちが乗らない人、ポジティブな反響・反応が得られていない人、行動を実践したにもかかわらず望ましい成果が得られていないと感じている人。
SDGsや多様性やDXなど、正しいとされるテーマには賛成できる。でも、それを自分の問題として動けるかと言われると、どこか遠い話に感じてしまう人。
良いことをしたいと思っているのに、現場ではうまくいかず、誰かを助けたつもりが相手に嫌がられてしまったり、むしろ関係が悪くなってしまった経験がある人。
この本が扱っているのは、「みんなにとって良いこと」と「自らが視ている現実」の間にある断絶です。
正しいことは、たいてい大きな言葉で語られます。しかし、その言葉は大きすぎて、個人が引き受けられる形になっていないことが多くあります。しかも、「私は正しい」という態度は、ときに排除や分断、さらには望まぬ争いさえ生んでしまうこともあります。
この本は、そうした”他人ごとを自分ごとにする方法論”と”他人との争いを予防するための手立て”、そして"他者と共に未来をつくるときに大切な姿勢"の3つを、おもに取り扱ったつもりです。
私は、仕事を通じて様々な”当事者”である人々と出会うにつれて、「自分は何の当事者でもなく、何者でもないのではないか」という虚無に直面し、失望することもしばしばです。のほほんと標準的な人生を歩み、安全圏に身を置いてそれなりの労働を続けられている自分ごときが、どうして他者を救えるだろうか。そのように考えるたびに、自分は何も語れないのではないか、語る資格などないのではないか、そんな躊躇いや無力感に苛まれることもあります。
それでもなお、誰かのためになりたいという思いが、私の中には残り続けていました。そうした葛藤の中で、それでも抗おうとする情動こそが、本書を書くにあたって最初であり最後まで支えとなった動機であったように思います。
この本は、何者にもなれなかった私が、同じように自分のことを蔑ろにする誰かに向けて投函した、一通の手紙のようなものです。「誰かのため」に生きたいと願う、すべての人にとどいてほしいと、願って。
あなたの「誰かのため」は、何のためですか?
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