MBTIワークショップを通して、多様な価値観の「違い」を見つめ直すチームビルディング

    • #レポート

    CULUMUでは先日、チーム内の相互理解を深めることを目的に、MBTIをテーマにした社内ワークショップを実施しました。

    今回お招きしたのは、CDO川合の知人であり、MBTI認定ユーザーでもある根岸慶氏。

    根岸氏は、カルチャーデザイナー、デジタル&デザインチームオーガナイザー、心理カウンセラー、MBTI認定ユーザーとして活動されています。これまで、通信、海外ソフトウェア開発、デジタルエージェンシーなど複数の領域で、新規事業開発やデジタルプロダクト開発組織の立ち上げ、専門職が協働するチームのカルチャー醸成に携わってこられた方です。

    根岸慶氏。MBTI認定ユーザーとして、自己理解・相互理解を促進するワークショップを実施。

    根岸慶氏。MBTI認定ユーザーとして、自己理解・相互理解を促進するワークショップを実施。

    今回のワークショップでは、MBTIについての基本的な考え方を学びながら、メンバーそれぞれが自分自身の認知や判断の傾向(MBTI協会ではこの傾向を”心の利き手”と呼んでいます)を見つめ直し、他者との違いをどのように理解し、チームでの協働に活かしていけるのかを考える時間となりました。
    MBTIというと、16タイプの診断結果や「自分は何タイプか」という話題が注目されがちです。

    しかし今回のワークショップで大切にされていたのは、人をタイプで決めつけることではありません。

    むしろ、MBTIをきっかけに、自分や他者のものの見方、考え方、判断の仕方にどんな傾向があるのかを、少し立ち止まって観察してみること。MBTIを人を分類したり評価したりするためではなく、本人の自己理解とチームワーク・環境を見直すための一つの手がかりとして扱いました。

    そして、その違いを優劣ではなく、チームの中にある多様な視点として捉え直すことでした。

    ※タイプの共有は本人の判断を尊重し、結果を役割分担や評価に用いないことを前提にしています

    まずは、いまの自分を見つめるところから

    ワークショップは、MBTIの基本的な説明から始まりました。
    その後、テキストやWeb検査の結果をもとに、参加者それぞれが「現時点の自己理解」として、自分はどのタイプに近いと感じているのかを書き出していきました。

    ここでポイントだったのは、最初から「自分はこのタイプだ」と決め切るのではなく、あくまで仮置きとして捉えることです。

    自分が普段どのように情報を受け取り、どのように判断し、どんな環境で力を発揮しやすいのか。そうした問いに向き合いながら、自分の傾向を少しずつ言語化していきました。

    与えられたキーワードから見えた、情報の受け取り方の違い

    最初のグループワークでは、もののみかたの利き手の違い(五感・事実=S, 直観・概念=N)を扱いました。

    まず、与えられたキーワードに対して、それぞれどのような言葉を連想するかを書き出します。

    同じキーワードを見ても、具体的な経験や五感に結びつけて捉える人もいれば、そこから広がる概念やイメージに意識が向く人もいます。

    その後、利き手が五感・事実(S)の人たちと・直観・概念(N)の人たちで分かれ、一人ずつ短い文章を書き足しながら、ひとつの文章を完成させるワークを行いました。

    印象的だったのは、文章のつくり方にも違いが表れたことです。

    五感・事実(S)が利き手のチームでは、主題を意識しながら、前の人の文章を具体的に受け取り、次の人がつなげやすいように具体的に言葉を選ぶ様子が見られました。一文ずつ丁寧にバトンを渡しながら、全体としてまとまりのある文章をつくっていくような進め方です。

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    一方、直観(N)が利き手のチームでは、一つ前の文章から着想を得つつも、それぞれが思い思いに発想を広げていく様子がありました。文章同士のつながりよりも、そこから生まれるイメージや展開の自由さが印象的でした。

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    同じテーマに向き合っていても、「どう自然につなげるか」を大切にする人もいれば、「どこまで発想を広げられるか」を大切にする人もいる。
    この違いは、日々の会議や企画づくり、レビューの場面にも表れます。
    具体性や整合性を大切にする視点と、可能性や飛躍を大切にする視点。
    どちらか一方ではなく、その両方があることで、チームのアウトプットはより豊かになるのだと感じられるワークでした。

    体験を、まずどう受け止めるか

    続いて扱ったのは、エネルギーの方向の利き手の違い(内向=I, 外向=E)です。このパートでは、印象的な体験をしたあと、まずどのように受け止め、行動するかを考えるワークを行いました。

    この問いでは、体験をどのように処理するかに違いが表れました。
    利き手が外向(E)の人は、その体験を外部に向けて残したり、誰かに伝えたり、同じ感情を共有できる相手を探そうとする傾向がありました。
    一方、利き手が内向(I)の人は、その体験を自分自身の記憶に残したり、ひとりで味わったりすることを重視し、他者からの介入をあまり求めない傾向が見られました。

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    これは単に「外向的か、内向的か」という話ではありません。同じように心が動いていたとしても、その感情を外に向けて広げることで深める人もいれば、自分の内側で静かに味わうことで深める人もいる、という違いです。

    チームで働く場面でも、考えを口に出しながら整理する人もいれば、一度持ち帰って考えることで理解が深まる人もいます。

    発言量や反応の速さだけで相手を判断するのではなく、それぞれにとって自然な情報処理の仕方を尊重することが、よりよい対話につながっていきます。

    判断のとき、何を大切にするか

    判断の利き手の違い(思考・客観=T, 感情・主観=F)のワークでは、ある状況に直面したとき、どのような判断や行動を取るかを考えました。

    利き手が感情・主観(F)の人は、自分の感情や相手への共感を起点に行動を考える回答が多く見られました。

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    一方、利き手が思考・客観(T)傾向の人は、状況を一歩引いて客観的に捉えようとする傾向がありました。自分が介入することで本当に状況がよくなるのか、どのような判断が合理的なのか、といった観点から考えるような回答です。
    ここで大切なのは、感情・主観(F)が「やさしい」、思考・客観(T)が「冷たい」ということではありません。
    T-Fは、判断するときに何を重視しやすいかの違いです。
    誰かの困りごとや社会課題に向き合うとき、まず共感から入る人もいれば、状況を構造的・客観的に捉えようとする人もいます。
    感情に根ざした行動力と、状況を冷静に見極める視点。どちらも、チームで課題に向き合ううえで欠かせないものです。
    CULUMUのように、人や社会の課題に向き合うチームでは、共感的な視点が自然に強く表れやすいのかもしれません。
    一方で、プロジェクトを前に進めるためには、状況を整理し、実行可能な判断に落とし込む視点も必要です。
    ワークを通じて、チームの中でどのような視点が自然に表れやすく、どのような視点を意識的に補う必要があるのかを考えるきっかけにもなりました。

    目標への向かい方にも、それぞれのスタイルがある

    振る舞い方の違い(決める/整理する態度=J, 臨機応変な態度=P)については、単体の指標としてではなく、もののみかたの利き手の違い(S-N)との組み合わせを通じて、目標に対する向かい方の違いとして解説されました。

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    SJ傾向は、ゴールを定め、そこまでの道のりも具体的に設計しながら着実に進むスタイル。
    NJ傾向は、目指す方向性を見据えながらも、そこへ至る方法には自由度を持たせるスタイル。
    SP傾向は、目の前の状況に応じて柔軟に判断し、臨機応変に動いていくスタイル。
    NP傾向は、可能性を広げたり、複数の選択肢を考えたりすることに強みがあり、具体化の段階では優先順位づけや実行のための足場づくりがあると進みやすいスタイル。

    このように、同じ「目標に向かう」という行為の中にも、さまざまな進め方があります。
    ゴールと道筋を明確にしたい人、方向性を見据えながら余白を残したい人、目の前の状況に応じて動きたい人、未来の可能性から選択肢を広げたい人。どのスタイルも、チームにとって必要な力です。

    CULUMUの業務では、リサーチ、デザイン、ワークショップ設計、プロジェクトマネジメントなど、複数の職能が協働します。
    その中では、スピード感や進め方、どの程度まで計画を固めたいかに違いが出ることがあります。
    そうした違いを「やる気の差」や「能力の差」として捉えるのではなく、自然な認知・行動スタイルの違いとして理解すること。
    それは、チームでプロジェクトを進めるうえでのすれ違いを減らすヒントになると感じました。

    自己理解は、役割や環境によって変化する

    ワークショップの最後には、参加者それぞれが現時点で考える自身のMBTIのタイプを共有し、ワークショップを通して自己理解がどのように変化したかを話しました。
    共有の中では、社会的に求められる役割に自分を適応させてきた結果、本来の傾向とは異なる自己認識を持っていたことに気づいたという声がありました。
    たとえば、母親としての役割や、仕事上求められる振る舞いによって、自分のタイプを別のものとして捉えていたという気づきです。
    また、自分や他者の個性をフラットに見つめることで、長所だけでなく短所も含めて理解しやすくなったという声もありました。
    さらに、本来のタイプとは異なる能力が、仕事をする中で伸ばされてきたことを自覚する参加者もいました。
    もともとの傾向と、環境の中で身につけてきた力。その両方を分けて捉えることで、自分自身の輪郭がより立体的に見えてきます。
    MBTIは、固定的なラベルではありません。
    むしろ、自分がどんな役割を担ってきたのか、どんな環境に適応してきたのか、そして本来どのような状態で力を発揮しやすいのかを考えるための入口になるものだと感じました。

    違いを、協働のための共通言語にする

    今回のワークショップを通して改めて感じたのは、MBTIは人を分類するためのものではなく、自分と他者の違いをフラットに見つめるための共通言語になり得るということです。

    「この人はこういうタイプだから」と決めつけるのではなく、
    「この人はどんなふうに情報を受け取っているのだろう」
    「どんな判断軸を大切にしているのだろう」
    「どんな環境だと力を発揮しやすいのだろう」
    と考えてみること。

    その視点があるだけで、日々のコミュニケーションやチームでの協働の質は少し変わっていきます。

    CULUMUは、多様な専門性や経験を持つメンバーが集まり、人や社会の課題に向き合うチームです。
    だからこそ、違いをなくすのではなく、違いを理解し、活かし合うことが大切になります。

    今回のMBTIワークショップは、チームの中にある多様な認知や判断のスタイルを見つめ直し、それぞれの違いを協働のためのヒントとして捉える機会になりました。

    これからもCULUMUでは、メンバー一人ひとりの視点を尊重しながら、業務プロセスを継続的に見直していきます。各々の違いを個人の特徴として理解するだけでなく、その違いが不利益や沈黙、疎外・分断につながらない環境を整えることをチームづくりの実践として大切にしていきたいと思います。

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