インクルーシブな子ども向けプロダクト事例(2)

エピソード4

    Report

    :できることが広がる、やさしい仕掛け多様な子どもたちに寄り添うプロダクト事例集

    インクルーシブな子ども向けプロダクト事例(2)

    【連載第4回】できることが広がる、やさしい仕掛け 多様な子どもたちに寄り添うプロダクト事例集


    前回の記事では、「学ぶ」場面における子ども向けプロダクトの事例を紹介しました。子どもたちの日常は、学びだけでなく、「遊ぶ」「交流する」「衣類を身につける」「移動する」といったさまざまな活動によって成り立っています。
    本記事では、「遊ぶ」「交流」「衣類」「移動」に焦点を当て、多様な子どもたちの手助けになるプロダクトの事例を紹介します。

    遊ぶ

    合同会社バンビーノ - こどもトランプ1to10

    数字とマークがくり抜かれた合同会社バンビーノの『こどもトランプ1to10』

    世代・国籍・障害の有無に関わらず遊べるトランプ
    「こどもトランプ1to10」は、1~10までの数字とマークがくり抜かれた4色のトランプです。絵札も表裏もないため小さなこどもにもわかりやすく、世代・国籍・障害の有無に関わらず楽しめます。
    カードには視認性の高いUD(ユニバーサルデザイン)フォントが使用されており、小さな子どもでも扱いやすい大きさと厚みになっています。
    厚く貼り合わせた小さな紙にあいた穴は、東京都墨田区の職人さんの熟練の技術によるものです。検品や箱詰め作業は、横浜市青葉区にある福祉ホームにて行われています。
    製品ページ:こどもトランプ1 to 10

    その他のトランプ
    「こどもトランプ1to10」以外にも、点字が印字されているものや、ロービジョンの人向けにマークの大きさや色が工夫されているものなど、視覚に障害がある方でも遊べるトランプがあります。

    afilii - DUDUM

    脳性麻痺の子どもと共創されたインクルーシブおもちゃ『DUDUM』

    脳性麻痺の人たちと一緒に開発されたインクルーシブおもちゃ
    DUDUMは、障害の有無に関わらず、すべての子どもが一緒に遊べることを目的にデザインされたインクルーシブなおもちゃです。脳性麻痺の子どもとの出会いに触発され、遊びの楽しさを共有できるよう、障害者支援団体「ESCLAT」と協力して開発されました。
    開発の過程では、ユーザーからのフィードバックに加え、医療や教育の専門家からの助言を活かし、形状や機能、色使いが考え抜かれています。また、このおもちゃはリハビリ目的ではなく、子どもたちが純粋に楽しめることを大切にしてデザインされています。
    製品ページ:DUDUM – inclusive toys by Júlia Camprubí i Vernis and Ariadna Lopez

    株式会社メガハウス - ルービックキューブ ユニバーサルデザイン

    各面に異なる凸凹模様が付いた『ルービックキューブ ユニバーサルデザイン』

    視覚障がいがあっても遊べるルービックキューブ 
    「ルービックキューブ ユニバーサルデザイン」は、白色面以外の面に凸凹で丸や四角など識別しやすいシンプルな模様が付いています。
    色を見て揃えるだけでなく触覚で揃えることができるので、障害の有無にかかわらず誰もが楽しむことができます。
    製品ページ:ルービックキューブ ユニバーサルデザイン

    LEGO - レゴ®点字ブロック

    点字と文字が刻印され遊びながら学べる『LEGO 点字ブロック』

    ブロックで遊びながら点字を学ぶ
    視覚障害のある子どもたちが遊びながら点字を学べるように設計された特別なレゴブロックです。それぞれのブロックには、点字と対応する文字や数字が刻印されており、視覚障害のある子どもとそうでない子どもが一緒に遊びながら学べることを目指しています。
    このプロジェクトは、視覚障害者団体との協力を通じて開発され、教育の場での使用が想定されています。遊びを通じて学習の機会を提供することで、より包括的な学びを促進する取り組みです。
    製品ページ:LEGO®点字ブロック

    交流

    No Isolation - アバター「AV1」

    遠隔操作で教室の様子を体験できるアバターロボット『AV1』

    学校に行かなくてもクラスメイト達と交流できるアバター
    AV1は、ノルウェーの企業「No Isolation」が開発した、病気や障害で長期間学校を欠席する子どもたちが、教育や社会的つながりを維持できるように作られたロボットです。
    子どもの代理として教室に置かれ、アプリを介してロボットを遠隔操作し、教室内を見回したり、質問に答えたりすることができます。頭部が回転するため、子どもは他の生徒や先生と対話できます。
    ロボットには特別なライト機能があり、例えば青いライトで「今日は体調が悪いが出席している」ということを示すことができます。こうした配慮により、子どもがストレスなく使用できる設計になっています。
    このプロダクトは、病気や障害を抱える子どもが教育に参加し続ける手段を提供するだけでなく、友達とのつながりを保つことで孤独感を軽減し、自尊心を高める効果があります。また、教育機関にとっても家庭教師のコスト削減につながるメリットがあり、学校や慈善団体、自治体による導入が進められています。
    製品ページ:No Isolation
    紹介記事:生徒の代わりに登校するアバター。子どもの世界を広げ、孤独を癒す

    衣類

    フットマーク株式会社 - RAKUSACK(ラクサック)

    教科書の重さを分散し軽く感じる通学カバン『RAKUSACK』

    RAKUSACKは、一般的なランドセル・通学カバンと比べてカバン自体の重さが軽いだけでなく、教科書など重い荷物を身体に密着させるブックストラップや、肩にフィットする3D肩ベルトなど、軽く感じるためのさまざまな仕組みがある通学カバンです。
    小学校では教科書のページ数が増えたり、タブレットやノートパソコンなどが配られたりと、特に小学校低学年の子どもたちにとって重いランドセルは負担となっています。フットマーク株式会社による調査では、小学1〜3年生の9割がランドセルが「重い」と感じており、3人中1人からは「重くて通学が嫌になった」「重くて身体が痛くなったことがある」という声も出ています。
    また、中学校や高校でも重い通学カバンによる体の不調を訴える生徒がいたり、部活動で2個以上のカバンを持つ必要がある場合もあります。
    RAKUSACKは、実際に試作品を使ってもらってフィードバックを得るなど、当事者と継続的に共創しながら製品開発が進められています。
    製品ページ:RAKUSACK

    株式会社トッケン - 「おもい」シリーズ

    適度な重さでリラックスを促す加重支援具『おもい』シリーズ

    重さで落ち着き、安心感、集中力などをサポート
    感覚統合は、五感や体の動きに関する情報を脳で整理し、適切に反応する力を指します。この力に課題があると、感覚情報(視覚、聴覚、触覚、前庭感覚、深部感覚など)が脳で適切に統合されず、刺激に対して反応が過剰になったり不足したりすることがあります。その結果、感覚のバランスが乱れ、不安感が強くなったり、注意散漫、または衝動的な行動が起こることがあります。
    加重ツールは、こうした感覚統合を助ける支援具の一つとして使用されています。肩や胴体に適度な重さで圧刺激を与えることで、リラックスや集中を促す効果が期待されています。
    「おもい」シリーズには、ブランケット、ネックパッド、ベスト、スリッパなどがあり、場所や個人の状態に合わせて使用することができます。
    製品ページ:特別支援 共遊教材カタログ

    移動

    Honda - 交通安全アドバイスロボ「Ropot」

    ランドセルに装着して振動で安全確認を促すロボット『Ropot』

    振動で子どもに安全確認を促すロボット
    Hondaが開発している「Ropot(ロポット)」は、小学生の交通安全をサポートするための見守りロボットです。ランドセルの肩ベルトに装着するタイプで、GPSやセンサーを搭載し、子供の通学を見守る機能を備えています。
    特に、交通事故が多発する年齢層として知られる「魔の7歳」と呼ばれる時期の子どもたちに焦点を当てて開発されています。

    安全確認地点での通知
    通学路に設定された安全確認地点に到達すると、振動によって注意を促します。この機能は子どもが横断歩道や危険な場所で立ち止まり、安全を確認する習慣を身につけるのに役立ちます。

    後方の安全確保
    後方から接近する車や自転車を検知し、警告を発することで、子どもの後方の安全確認をサポートします。

    保護者向け機能
    スマートフォンやタブレットのアプリを通じて、子どもの現在位置や移動経路、一時停止履歴などを確認することができます。また、通学後に保護者と一緒にその日の行動を振り返ることもできます。

    現在は自治体や学校法人との連携を模索しており、地域全体での交通安全向上が期待されています。
    製品ページ:子どもたちの元気な「ただいま!」のために ― 交通安全アドバイスロボ「Ropot」キューブ ユニバーサルデザイン

    まとめ

    今回紹介したように、子どもたちの日常のさまざまな場面において、多様な困りごとに寄り添うプロダクトが生まれています。これらの製品に共通しているのは、さまざまな特性や状況を持つ子どもたちが自然に使えるよう工夫されている点です。

    また、こうしたプロダクトを子どもたちが実際に活用できるようにするためには、周囲の理解や環境づくり、制度や支援の仕組みを含めた環境を整えていくことが重要です。

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