子どもと共創するインクルーシブデザインの必要性

エピソード2

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    :できることが広がる、やさしい仕掛け多様な子どもたちに寄り添うプロダクト事例集

    子どもと共創するインクルーシブデザインの必要性

    【連載第2回】できることが広がる、やさしい仕掛け 多様な子どもたちに寄り添うプロダクト事例集


    子どもには、大人とは異なる特性が多くあります。
    そのため、製品やサービスを考える際には、こうした違いを理解し、子どもの視点を取り入れたデザインが重要になります。

    子どもと大人の違い

    子どもと大人は物事への注意の向け方が異なります。

    大人と子どもの注意の向け方の違いを示した比較イラスト

    オハイオ州立大学の研究者らによると、4〜5歳の子どもは大人と比べて、広く注意を分散させる傾向があります。
    実験では、参加者に架空の生物の特徴を学習させました。途中で重要な特徴を変更したところ、子どもは素早く適応できましたが、大人は混乱しました。これは、大人が選択的注意を用いて重要だと思う情報にのみ焦点を当てるのに対し、子どもは全ての情報に注意を払うためです。
    研究者らは、子どもの広く注意を向ける能力は、学習に有利に働く可能性があると指摘しています。一方で、大人の選択的注意は多くの日常的なタスクに適していますが、新しいことを学ぶ際には広く注意を向けることが有用かもしれません。
    この研究結果は、子どもの前頭前皮質の未成熟さが広く注意を向ける能力の一因であり、それが学習を助ける可能性があることを示唆しています。
    このように、子どもは単に注意不足なわけではなく、大人とは異なる注意の向け方やものごとの見方をしています。

    出典:Ohio State University “Warning to adults: Children notice everything” (2019)

    子どもと大人の9つの違い

    子どもと大人の違いは多々ありますが、身体機能や認知機能、コミュニケーションなど、さまざまな違いがあります。代表的な違いとして以下のような違いが挙げられます。

    ①視力が低い・視野が狭い
    生後すぐには0.1以下で、3歳頃に1.0に達します。幼児の視野は左右90°、上下70°と狭いです。

    ②具体的な思考
    大人は抽象的な思考で複雑な問題に対処するのが得意ですが、子どもは目の前のものを通じて学びます。

    ③言語が習得途上
    大人と比較して複雑な表現ができないため、簡単な単語・フレーズを使用する傾向があります。

    ④骨が柔軟
    骨が成長途中のため柔軟です。しかし、同時に、骨折しやすい部分もあります。

    ⑤短期記憶が得意
    大人は長期記憶が豊富で過去の経験から判断しますが、子どもは記憶の保持が不安定で短期記憶に依存しがちです。

    ⑥非言語的な表現に頼る
    ジェスチャーや表情など、言語以外の表現方法を多用する傾向があります。

    ⑦力が弱い・回復が早い
    筋肉が発達途中のため持久力や筋力は弱いが、代謝が高く回復力に優れています。

    ⑧衝動的な行動を取りやすい
    子どもは感情のコントロールが未熟のため、大人より自己調整能力が低く、衝動的な行動をとりがちです。

    ⑨自己中心的な会話
    他者の視点を理解することが難しいため対話が難しく、自己中心的なコミュニケーションになりやすい場合があります。
    このように、子どもは大人と異なる身体的・認知的特徴を持っています。「背が低い」のように目に見えてわかる特徴もあれば、視力や視野、注意の向け方のように、一見するとわからないような特徴もあります。
    子ども向けの製品・サービスをつくる際には、サービス開発プロセスに子どもを含めたり、日常的に子どもに接している専門家の人たちを含め、子どもの視点を取り入れることが重要です。大人たちのみで製品・サービスをつくると気づかない・見落としてしまう視点に気づけたり、新たな発見を得られる可能性があります。また、発達特性など、さまざまな特性のある子どもと共創することでより尖ったニーズやインサイトを得られる可能性があります。

    企画から改善まで子どもと共に進めるデザインプロセスの図解

    多様な特性を考える3つの視点

    ひと・もの・ばしょの3つのデザイン

    ひと・もの・ばしょの3つの視点によるアプローチを示した図

    子どもの多様な特性に寄り添う上で、1つのアプローチだけで解決できることはほとんどありません。例えば、ある子どもにとって使いやすいノートがあっても学校で使うことを認めてもらえないなど、人の理解・配慮が不十分な場合、その子どもは十分な学びを得られなくなってしまいます。
    したがって、子どもに限らず、多様な特性に寄り添うためには「ひと」「もの」「ばしょ」の3つの観点でアプローチする必要があります。
    本連載では、「もの」に焦点を当てて事例を紹介していきますが、それが使われる「ばしょ」や関係する「ひと」も考慮する必要があります。

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