「配慮」と「優遇」の境界線を問う。ローランズが考える、共に働くための共創

      花のギフトや空間装飾、カフェなどを展開するローランズ。従業員140名のうち、約100名の障害や難病と向き合うスタッフが働いている。

      ローランズの取り組みは、障害者雇用の先進事例として語られることが多い。けれども、代表の福寿満希さんの言葉から見えてきたのは、単に「障害のある人が働ける場所をつくる」という話ではなかった。

      むしろ中心にあるのは、仕事の品質を守りながら、誰もが同じ基準に参加できるように環境を整えること。そして、配慮を「成果基準を下げること」として扱わないために、現場で何度も問い直し、線を引き直していくことだった。

      「障害者雇用を始めたことでクオリティが落ちた、とは思われたくありませんでした。だからこそ、お客様に届ける商品として、品質の基準は変えずに向き合ってきました」

      福寿さんは、そう話す。

      そこにあるのは、厳しさだけではない。働く人を「できない人」として扱わず、同じ仕事の場に立つ仲間として認めるための、ローランズの共創の方法論がある。

      福寿 満希(ふくじゅ・みづき)

      株式会社ローランズ代表取締役 一般社団法人ローランズプラス代表
      ウィズダイバーシティ有限責任事業組合 発起人
      東洋大学 経済学部 非常勤講師

      「みんなみんなみんな咲け」の願いを込めたスローガンを掲げ、“人を咲かせる花屋“としてフラワーギフトや結婚式場の空間装飾、オフィスのレンタルグリーンサービス等を展開。従業員140名のうち約100名が障害や難病と向き合っており、働く仲間と共に「誰もが咲ける」ことを、社会に伝えている。現在では、花屋の領域を越え、自社の雇用経験をもとに企業の障害者雇用の推進を支援。特に取り組みが遅れる中小企業が、障害者雇用を諦めることがないよう、地域の障害福祉団体とグループで雇用を作り出す「ウィズダイバーシティ有限責任事業組合(LLP)」を発足し、新しい雇用のあり方としてメディア等でも注目を集めている。

      「障害者雇用だから」は、品質を下げる理由にならない

      ローランズの事業は、福寿さんの自宅の一角から始まった。

      当初から、将来的には障害のある人を雇用したいという思いがあった。しかし、事業を立ち上げてから3年ほどは障害者雇用ができない時期が続いたという。

      ――現在の品質基準は、どのように形成されたのでしょうか。

      福寿さん:元々、いつか雇用をしたいとは思いながら活動を始めたんです。でも、まずは事業を回していくので精一杯の時代がありました。その後、仕事が少しずつまとまり、1人目の障害者雇用が始まった。現在は約100名の当事者スタッフが働く組織になっている。

      ここで重要なのは、ローランズには障害者雇用を始める前から、すでにお客様に提供していたサービスがあったということだ。花のギフトや空間装飾は、当然ながら商品として選ばれ、買われ、評価される。納期も品質も求められる。

      福寿さん:3年ほど経ったところで仕事がまとまり、ようやく一人目の障害者雇用を始めることができました。現在では、約100人の当事者スタッフが働いています。

      先に商品と顧客が存在していたので、障害者雇用を始めたからといって、もちろんですがそれまで提供してきたサービスの品質や効率、スピードを下げることはできませんでした。障害者雇用がありき、ではなく、既存のお客様に満足していただける状態を維持しながら、どのように雇用をつくるかという順序だったことが、現在の品質基準にも影響していると思います。

      障害者雇用だから、品質を少し下げても仕方がない。福祉の現場だから、一般の市場とは違う基準で見てもらえる。そんな見方が、どこかに残っているのではないか。

      福寿さんは、その空気に違和感を持ってきた。

      福寿さん:障害者雇用をしているかどうかに関係なく、お客様に届ける以上、品質が問われることに変わりはありません。だからこそ、障害者雇用を理由に品質の基準を変えるのではなく、同じ水準で仕事に向き合うことを大切にしています。

      障害者雇用に関心がない人にも、商品そのものを見て選んでもらえる状態にすることが重要でした。商品を受け取った後で、「ここでは障害者雇用もしているのですね」と知ってもらえるくらいでよいと思っています。

      ローランズが目指しているのは、特別扱いされる商品ではない。障害者雇用に関心がある人だけが買う商品でもない。

      「いかに障害者雇用に関心がない人にも、その商品を自然に受け取っていただけるようにしていけるか」

      その問いが、現場の基準をつくってきた。

      配慮とは、基準を下げることなのか

      品質を保つことと、働きやすさを整えること。その両立は、言葉にするときれいに聞こえる。しかし現場では、簡単に答えが出るわけではない。

      福寿さんが挙げたのは、体調が悪くなったスタッフへの対応だった。

      ――ローランズでは、配慮と優遇をどのように区別していますか。

      福寿さん:例えば、ある工程で、1時間に20個の制作物をつくることが基準になっているとします。周囲の人が20個をつくっているなかで、体調が悪いから今日は1時間5個でよいとするのか。この点は、現場でも議論になります。

      私たちの考えとしては、「5個でよい」とはしません。

      体調が整うまで一度休み、再び20個をつくれる状態になったら配置へ戻ってもらうようにします。一般的な製造現場では、ラインから頻繁に抜けることは好まれないかもしれません。しかし、そこを認めることが、私たちにできる配慮だと考えています。

      多少違うとはいえ、近い時給を受け取るチームの中で、一人だけ生産性は4分の1でよいとすることは、働く人として認めていない状態にもなり得ますし、不公平が生じます。

      配慮とは、みんなと同じ一定のラインで成果を出すために、何を工夫すればよいかを考えることです。そのラインに届かないとき、成果基準そのものを下げるのではなく、休む、道具を変える、伝達方法を変える、担当する工程を変更する。など、本人が力を発揮できる条件を探すことが必要な取り組みだと思っています。

      この考え方は、体調が悪くても無理に働くことを求めるものではない。むしろ、無理をして現場に残り続けることではなく、休むという選択を正式な働き方のなかへ組み込む。その上で、仕事へ戻ったときには、同じ成果を期待する。

      福寿さんは、ローランズの考え方をこう語った。

      福寿さん:ですので、私たちとしては、単に基準を下げるのではなく、まずは働ける状態を整えることを大切にしようと考えました。

      体調が悪いときに作る数を少なくするのではなく、まずは無理をせず休んでもらう。体調が整ったら、また同じ基準で仕事に参加できるようにする。そうした考え方を大切にしています。

      私たちにできる配慮は、みんなと同じ基準に立てるように、必要な工夫を考えることだと思っています。

      一見すると、厳しい考え方に聞こえるかもしれない。けれども、その意図は「無理をして働かせる」ことではない。

      つまり、成果基準そのものを下げるのではなく、その基準に戻れる状態をどうつくるかを考える。無理をして作業を続けるのではなく、休むことも含めて、働くための条件を整える。

      福寿さん:何かを免除することが、必ずしもその人を働く仲間として尊重することになるとは限りません。場合によっては、配慮ではなく優遇になってしまうこともある。だからこそ、どこまでが配慮なのかを現場で考え続けています。

      「働く者として平等であるというところは、ひとつきちんと線を引いていこう」という話を、現場のみんなと常に会話し、意識し続けています。

      この言葉は、丁寧に扱う必要がある。配慮を否定しているのではない。むしろ、働く人を対等な存在として扱うために、何を配慮と呼ぶのかを厳密に考えている。

      配慮は、基準をなくすことではない。対等に働くために、基準に参加できる条件を整えること。ローランズの現場では、その線引きが日々の議論として続いている。

      できない理由ではなく、できる条件を探す

      ――では、ローランズが考える「配慮」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

      福寿さん:難聴のスタッフがいる現場では、筆談ボードを使います。声が聞こえなければ次の業務が分かりませんが、筆談ボードがあれば通常の業務ができるのであれば、それを準備し、本人にとっての「会話」が成立するようにする。こういった配慮は大切に行っています。

      漢字を読むことが難しいスタッフがいる場合は、ホワイトボードに当日の業務を書くとき、漢字を使いません。

      数字を読むことが難しい人に花をカットする長さを伝えるときは、メジャーで数値を読み測るのではなく、カットする長さにマークが入った棒を用意し、「この棒のマークで花をカットしてください」と伝えます。そうすれば、数字が読めなくても花をカットする仕事は行うことができます。

      あるアレンジメント商品を同じデザインとサイズ規格でつくる仕事では、立体的な見本を見る方が作りやすい人もいれば、平面見本の方が作りやすい人もいました。その声を受け、現場では立体見本だけでなく、新しく平面見本がつくられました。

      作る商品は同じ基準商品でも、仕事の仕方は個々にそれぞれの輝き方を探り、基準を満たすために何が必要なのかを考え補うものを準備するということをやっています。

      ここで変えているのは、求める品質や基準そのものではない。変えているのは、そこに到達するための道具や情報の出し方だ。

      花の長さをそろえるという基準は変えない。けれども、数字を読むことを前提にしなくても、その基準に届く方法をつくる。業務内容を伝えるという目的は変えない。けれども、漢字が読めることを前提にしなくても、理解できる表示にする。

      福寿さん:何があると、みんなと同じぐらいのスピードで生産力を持つことができるのか。このラインをどう作るのかというところが配慮で、ここをやらなくていいよ、というのは優遇になるという考えのもと、現場での働くということを設計しています。

      これは、当事者を「支援される人」「保護される対象」として固定していない、ということでもあります。

      その人の障害者手帳の有無や障害名から対応を決めるのではなく、仕事の中で何が障壁になっているのかを見極める。それは書面からは読み取れないことが多い。そして、その障壁を道具、情報、配置、休み方、チームの体制によって変えていく。

      配慮とは、相手を特別扱いすることではなく、同じ仕事の場に参加できる条件を一緒につくることなのだ。

      配慮を、個人へのやさしさで終わらせない

      ローランズの工夫は、上から決められたマニュアルだけで動いているわけではない。

      福寿さん:各製造現場には責任者とジョブトレーナーがいて、技術的なサポートはジョブトレーナーが行い、その製造拠点から出荷される商品を製造技術の向上や検品を実施し、責任を持って出荷しています。正しく商品が製造されているか、厳しく丁寧に検品が行われます。

      福寿さんによると、手帳を持つスタッフの約8割は精神障害と向き合っており、真面目すぎたり優しすぎることによる周囲への配慮から、悩みや負荷を自分のなかに抱え込む場合があるという。

      品質や生産の責任を担うジョブトレーナーや拠点責任者だけでは、働く人の悩みをすべて受け止めることは難しい。ローランズでは、現場の上司とは別に「ヒューマンサポートチーム」を設けている。

      福寿さん:現場の中で仕事をしていると、直接業務の上長には言えなくなってしまうことや、心に溜めてしまうことがあります。100人ほどの当事者スタッフに対して、ヒューマンサポートチームは3人です。現場の上長とは別の立場で、それぞれのフロアを回り、スタッフの心のケアを行います。現場の上長と当事者の間を取り持ち、現場がスムーズに回るよう働きかけています。

      拠点スタッフ自身も、さまざまな場面で判断や対応に悩みます。そのため、当事者スタッフだけでなく、フロア長も支える役割を持っています。現場だけに問題解決を任せすぎず、話しづらい悩みを共有し、課題解決をよりスムーズに進めるための仕組みです。

      支える対象は、当事者スタッフだけではない。製造現場のジョブトレーナーや管理スタッフもまた、現場の中で悩みを抱える。だからこそ、現場だけで完結させすぎない体制が必要になる。

      配慮は、誰かひとりのやさしさに依存するものではない。現場で働く人、品質を担保する人、心身の状態を支える人、それぞれが役割を持つことで、働く環境は維持される。

      この仕組みがあるからこそ、ローランズでは「配慮する人」と「配慮される人」という一方向の関係に閉じない。よりよい仕事の環境をつくるために、現場全体が考え続ける構造になっている。

      障害者雇用を、1社だけで抱え込まない

      ローランズの実践は、自社の現場にとどまらない。

      2019年に設立されたウィズダイバーシティ有限責任事業組合では、複数の企業が連携し、障害者雇用を共同で進める仕組みを構築している。背景には、特に中小企業が障害者雇用に取り組む難しさがあった。

      福寿さんのもとには、これまで多くの企業から「どうすれば障害者雇用がうまくいくのか」という相談が寄せられてきた。大企業では特例子会社制度の仕組みを活用できる場合がある。一方で、中小企業では、自社だけで雇用の場を設計し、仕事を切り出し、支援体制をつくることが難しい。

      ――「共同雇用」という仕組みは、どのような問題意識から生まれたのでしょうか。

      福寿さん:私たちは10年間、自社の障害者雇用に取り組むなかで、多くの企業から「どうすれば障害者雇用がうまくいくのか」という相談を受けてきました。

      大企業では雇用が進んでいても、中小企業ではなかなか進めることができていない。弊社に見学に来ても、「素晴らしい。でも、私たちの会社では難しそうです」と諦めてしまう企業が多くありました。その状況をなんとかできないかなと思っていました。

      それなら、一社だけで雇用しようとするのではなく、私たちのように障害者雇用ノウハウがある雇用に取り組みたい企業がそれぞれの課題に対して一緒に取り組めばよいのではないかと思いました。

      ローランズの製造現場でも、一人が一つの商品を最初から最後まで完成させることはほとんどない。

      ある人が土台をつくり、別の人がグリーンを配置し、さらに別の人が花を加える。工程と得意分野を持ち寄ることで、一つの商品が完成する。

      福寿さんは、その構造を企業間の雇用にも応用できるのではないかと考えた。

      福寿さん:大企業には特例子会社という仕組みがあります。親会社と複数のグループ会社の障害者雇用を、グループ全体で考えることができます。その中小企業版をつくれないかと考えました。

      仕組みを変えようと思ったというよりは、本当に目の前に困っている企業がいて、もっと一緒にできたらいいのに、というところから作っていったという感じでした。

      障害福祉事業も行っている中小企業も共同雇用グループに入り、企業がサービスを購入したり、仕事を提供したりする。複数企業で課題を補い合って一緒に雇用をつくり、守る形にできればよいと思ったんです。障害者雇用も一社でやるのではなく、もっとそれぞれの会社がやれることを持ち寄って一緒になってやれたらいいんじゃないかなと思っています。

      目の前の困りごとに対して、既存の制度や組織の境界を組み替えながら、働く場をつくっていく。その意味で、共同雇用はローランズの現場で培われた「ひとりで完結させない」考え方の延長にある。

      「やらねばならない」から始まる共創もある

      企業が障害者雇用に取り組むきっかけは、必ずしも理想や共感から始まるとは限らない。法定雇用率を達成しなければならない。未達成による負担を避けたい。そうした義務感から相談が始まることもある。

      福寿さんは、そのこと自体を否定しない。

      福寿さん:最初は『法定雇用率を達成しなければならない』という義務感がきっかけでも、私はよいと思っています。

      「ねばならない」がきっかけでも実際に当事者と仕事をしていくと、『障害者の人はできることが限定的』と思っていたものとは、違う状況が見えてくることがあります。

      まず一度接点を持ってもらえれば、そこから変わっていく景色があるはずだと思っています。

      ただし、共同雇用は、仕組みに参加すれば完結するものではない。

      サービスを購入するだけでは、働く場を共につくる関係にはなりにくい。どの仕事なら自社の中で展開できるのか。どの部署や現場で接点を生み出せるのか。企業側にも、社内で説明し、仕事を見つけ、関係者を巻き込んでいく役割がある。

      「雇用を作っていく、守っていくというために、一緒に汗をかく」

      福寿さんの言う「汗をかく」とは、特別な善意を求めることではない。障害者雇用を外部に任せきるのではなく、自社の仕事や組織の中に、どのような可能性をつくれるのかを一緒に考えることだ。

      共同雇用は、単なる外注ではない。発注する側と受ける側という関係だけでもない。仕事を通じて、企業側が障害者雇用の前提を捉え直していく接点でもある。

      実際に、ローランズやウィズダイバーシティとの関わりを通じて、障害当事者の働く姿や納品物を見た企業が、自社雇用の可能性を広げた事例もあるという。

      福寿さん:障害者雇用って、総務部や人事の仕事だけでなく、販売の拠点でも、マーケティングのチームでも、いろんなところでもっと雇用していける。雇用の考え方や取り組み方が変わったと言っていただいています。

      仕事の接点が増えることで、当事者に対する見方が変わる。企業の中で切り出せる仕事の幅が広がる。結果として、自社での雇用のあり方も変わっていく。

      共同雇用は、義務への対応にとどまるものではない。仕事を通じて企業が当事者と接点を持ち、障害者雇用の前提を捉え直していくための実践の場でもある。

      仕事が届くことで、働く機会は広がっていく

      福寿さんは、今後の障害者雇用について、制度のあり方にも課題を感じている。

      取材では、ドイツの制度にも触れながら、日本でも企業が障害福祉事業者に仕事を提供したり、商品を購入したりすることが、法定雇用の算定や負担の緩和につながるような仕組みがあれば、よりよい循環が生まれるのではないかと語った。

      ――最後に、障害者雇用は今後どうなったらよりいいなという風に思われてるのか、ビジョンについてお伺いできればと存じます。

      福寿さん:障害福祉事業所にいろいろな仕事が届くようになれば、そこで働く当事者の人たちが仕事を通じて経験を積み、スキルを高めていくことができます。そこから社会に参加できる機会も広がっていく。そういういいサイクルが生まれてくると思うんです。

      現在、日本では複数の企業が障害者雇用をグループ単位で算定するためには、さまざまな手続きや行政上の要件を満たす必要があり、活用のハードルは決して低くありません。こうした仕組みをより柔軟にし、企業が自社で直接雇用することだけに限定されない形で障害と向き合う人の働くことに貢献できる制度を検討する余地があるのではないかと考えています。

      その参考となるのが、ドイツの制度です。ドイツでは障害者の法定雇用率が5%に設定されており、基準を満たさない企業には負担金が課されます。一方で、障害者の就労を支える事業者等に業務を発注した場合には、その一部を負担金から控除できる仕組みが設けられています。つまり、自社での直接雇用だけではなく、外部への仕事の発注を通じた障害者の就労への貢献も、一定程度評価される制度となっています。

      日本においても、こうした考え方を取り入れる余地があるのではないか、と福寿さんは提言する。

      福寿さん:例えば、自社だけでは法定雇用率の達成が難しい場合であっても、障害福祉事業者への業務発注や製品・サービスの購入など、障害と向き合う人の仕事を生み出す取り組みを法定雇用率の算定や納付金の軽減に一定程度反映する仕組みが考えられます。

      この観点は、日本が直面する労働力不足を考える上でも重要です。現在、就労に至っていない障害のある方は400万人以上存在しており、その中には働く意欲や能力を持ちながら、就労機会に接続できていない方もいると考えられます。

      そのため、日本社会に存在する潜在的な労働力を活かすという観点からも、障害者雇用政策についても「企業が何人を直接雇用したか」という観点だけではなく、「企業がどれだけ障害者に仕事を生み出したか」という観点から評価する仕組みへと広げていくことが、一つの方法として考えられます。

      企業、障害福祉事業者、障害と向き合う当事者それぞれにとって持続可能な障害者雇用・就労支援の仕組みにつながる可能性があります。今後、こうした制度のあり方について、議論を深めていくことが重要だと考えています。

      ローランズの実践から見えてくるのは、障害者雇用が支援や義務にとどまらないということだ。

      品質を守ること。働く人を対等に見ること。基準に届くための環境を整えること。企業もまた、受け身ではなく、仕事をつくり企業を成長していくために一緒に汗をかくこと。それらは一見、厳しい言葉として聞こえるかもしれない。けれども、その根底にあるのは、働く人を「配慮されるだけの存在」にしないという姿勢だ。

      配慮とは、基準を下げることではない。同じ基準に立つために、環境を変えること。ローランズの現場には、共に働くための共創が、日々の仕事の中に埋め込まれている。

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