デザイン経営とは何か?9つの取組の入り口と期待されるイノベーション

身近なユニバーサルデザインと世界の珍しい, 面白いユニバーサルデザイン事例を徹底解説

ユニバーサルデザインの重要性とグローバルな視点

ユニバーサルデザインとは、年齢、性別、身体能力、文化的背景にかかわらず、すべての人が平等に利用できる製品や環境を設計することを目的としたデザイン思想です。ユニバーサルデザインは、私たちの身近なところで取り入れられているのをご存じでしょうか?

ユニバーサルデザインには、取り組みの方向性を明確にするための7つの原則が設けられています。この原則は、ユニバーサルデザインを提唱したロナルド・メイスをはじめとする、建築家や工業デザイナー、技術者、環境デザイン研究者などによってつくられました。

  1. 公平性:だれにでも公平に利用できること 

  2. 自由度:利用する上で自由度が高いこと 

  3. 単純性:使い方が簡単でわかりやすいこと 

  4. 明確さ:必要な情報がすぐ理解できること 

  5. 安全性:うっかりミスや危険につながらないデザインであること 

  6. 省体力:無理な姿勢をとることなく、小さい力で楽に利用できること 

  7. 空間性:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること

これらの原則を抑えることで、ユニバーサルデザインは、全ての人にとって使いやすいデザインとなります。

近年、この考え方は世界中で広く認識され、さまざまな分野で導入が進んでいます。特に、公共施設や交通機関、住宅設備、デジタル製品などでユニバーサルデザインの採用が進んでいますが、その中でも一風変わった、珍しい事例が各国で見られます。

本記事では、世界中のユニバーサルデザインの中でも特にユニークな事例を紹介し、そのデザインがどのようにして利用者の利便性を向上させているのかを探っていきます。また、これらの事例を通じて、ユニバーサルデザインの価値と可能性を再確認し、あなたのプロジェクトやビジネスに活かす方法を提案します。


0:身近なユニバーサルデザイン事例

まず、日常生活で目にする身近なユニバーサルデザインの具体的な事例を見ていきましょう。これらは、気づかないうちに私たちの生活を便利にし、多くの人々にとって使いやすい環境を作り出しています。

0.1 公共スペース

① スロープとエレベーター

多くの建物には、階段だけでなくスロープやエレベーターが設置されています。これにより、車椅子を使用する方やベビーカーを押している保護者も簡単に移動できます。高齢者や障害者だけでなく、重い荷物を持つ人や妊婦にとっても便利です。

しかし、建物をバリアフリー化したとき、スロープを使うと遠回りになってしまったり、非常に分かりにくい場所にエレベータが設置してある場合があります。

そこで、最初から、エレベータ、エスカレーター、階段を平等、公平に設置することで、利用する人の状況に応じて使うことができます。このように、ユニバーサルデザインでは設計・建築のフェーズから計画的に使いやすさやバリアを感じさせない空間づくりが求められるものでもあるのです。

② 点字ブロック

駅や歩道などに敷かれた点字ブロックは、視覚障害を持つ方々が安全に移動するための重要なツールです。これは、視覚障害者が自律的に行動するための支援として普遍的なユニバーサルデザインになります。

点字ブロックは、正式名称を「視覚障害者誘導用ブロック」といいます。視覚障害者が足裏の触感覚で認識できるよう、突起を表面につけたもので、視覚障害者を安全に誘導するために地面や床面に敷設されているブロック(プレート)のことです。

現在、日本では、「視覚障害者誘導用ブロック設置指針・同解説」や「道路の移動円滑化整備ガイドライン」に基づき、各自治体の条例等にしたがって点字ブロックが設置されています。2012年(平成24年)、点字ブロックの国際規格は、日本のJIS規格を基に定められ、現在では多くの国に広がっています。

③ 音声案内システム, 音響式信号機(歩行者用ボタン)

駅や公共施設での音声案内は、視覚障害者だけでなく、初めてその場所を訪れる人々にとっても助けになります。

音声案内システムのひとつとして、音響式信号機が挙げられます。音響式信号機とは、音声や鳥の鳴き声、音楽などで青信号に変わったことを知らせる信号機のことです。視覚に障がいを持つ人や、色覚異常の人でも信号の変化がわかるように開発されました。

また、信号機のなかには、歩行者用ボタンがあるものもあります。歩行者用ボタンは、高齢者や小さな子どもなど、素早く道路を横断するのが難しい人々でも横断しやすいよう、ボタンを推した際には青色の時間が長くなるよう設計されています。こうした配慮がされた信号機もまたユニバーサルデザインの一種にあたります。

0.2 交通機関

① バリアフリー車両

鉄道やバスでは、車椅子対応のスペースや低床型の車両が普及しています。高齢者や小さな子ども連れの家族も安心して利用できるものになります。

構造・設備の基準に適合したノンステップバスでは、乗降口から車いすを固定することができる、設備までの通路に段がない、床面が滑りにくい仕上げなどのユニバーサルデザインによる工夫が見られます。また、構造・設備の基準に適合したリフト付きバスでは、車いすを使用したまま円滑に乗降するためのリフトを設置することで、下肢障害者の移動やモビリティとして社会参加へのバリアを感じさせないユニバーサルデザインが存在すると言えます。

② 駅構内の段差解消

駅の改良工事では、エスカレーターやエレベーターの設置、段差をなくす工夫が行われています。全国の駅では、移動の支障となる段差を解消するため、エレベーターや車いす用スロープの設置を進めています。

国土交通省が2007年にまとめた「バリアフリー整備ガイドライン」の中で、駅舎の階段の寸法は、1段の高さ(蹴上げ)が16センチ以下、踏み込む面の奥行き(踏み面)が30センチ以上と決まっています。

一般的に階段は「蹴上げ×2+踏み面=60~65センチ」が上りやすいともいわれており、ウオーキングにも望ましい寸法であるとされます。

0.3 家庭用品

① ユニバーサルデザインの家電

リモコンのボタンが大きく、文字が見やすいテレビや、軽量で使いやすい掃除機などは、ユニバーサルデザインの成功例です。

他にも、音声ガイドがついている、音声操作ができる、ボタンが触ってわかる、光って知らせる、点字表示がついている/つけられるといったユニバーサルデザインの工夫が存在します。

このような家電は、障がい者だけのためのものではなく、骨折や妊娠・出産などで一時的な不自由さを感じやすい生活者や身体的な機能の低下がみられるシニア・高齢者の方々にとっても優しいユニバーサルデザインとなっています。

② 洗剤や調味料のキャップ

例えば、パッケージが開封しにくくないか、表示が見やすくわかりやすいか、などの視点でのユニバーサルデザインが求められます。一部の製品では、触覚で識別可能なデザインが採用されています。例として、シャンプーとリンスのボトルの形状の違いがあります。

こうした取り組みにより、直感的にわかりやすく、心理的負担が少なく操作・利用できるデザインであったり、素材・構造・機能・手順・環境などへの配慮があり、安全に利用できるパッケージであったり、より少ない力での取扱いや、移動・接近が容易など、身体的負担が少なく操作・利用できるということから安心・安全な生活への貢献が期待されます。

0.4 デジタル製品

① アクセシビリティ機能

スマートフォンやパソコンには、視覚や聴覚、身体的な制約に配慮した機能が充実しています(例: 文字サイズの変更、音声読み上げ機能)。

アクセシビリティ(Accessibility)とは、本来の意味は「接近できること」や「近づきやすさ」などを指す英単語です。スマートフォンやパソコンでは「使いやすさ」「誰でも使いやすくなるようにサポートする機能」という意味で用いられます。

ユーザー補助を目的とした機能ですが、スマートフォンではiPhoneとAndroidで搭載している機能や設定方法は異なります。

② 高コントラストモード

高コントラストモードとは、画面上のテキストや画像などの色をコントラストを高くして見やすくする機能です。色覚に問題がある場合などに利用できます。

コントラストが低いと、弱視の方にとっては見づらい場合があります。 たとえば、黒い背景に青いリンクなどの色の組み合わせが不十分な Web サイトがあります。 このようなサイトの文字を読むことは、健常視力者であっても難しく、弱視の方にとっては事実上不可能になります。 コントラストの高い組み合わせで色を使うと、PC からすばやく簡単に文字や画像を読み取れるようになります。

色覚障害者に配慮したデザインは、多くのウェブサイトやアプリで利用可能です。

0.5 学校や教育現場

① ユニバーサルデザインの教科書

文字サイズやフォントを工夫し、視覚的に読みやすい教材を提供する学校が増えています。

視認性を高めて,紙面でもデジタル教科書でも見やすいフォント(UDフォント)にしたり、カラーユニバーサルデザインに配慮し,判別しやすい色彩にするなどの工夫が見られます。UDフォントは、一つ一つの文字の構成要素がわかりやすく,誤読されにくいユニバーサルデザインに配慮したフォントとなっています。

② 誰もが使いやすい机と椅子

高さを調整できる机や椅子は、子どもたちの体格差や成長に合わせて最適な環境を整えることができます。手前側はラウンド形状を採用することにより、スムーズな立ち座りをサポートするなど、高さの調節やスムーズな移動だけではないユニバーサルデザインが求められています。

1:ユニークなユニバーサルデザイン事例 – 交通機関

1.1 イギリスの「ローリングスロープ」バスシステム

イギリスでは、交通機関におけるバリアフリー化が進んでいますが、その中でも特に注目されるのが「ローリングスロープ」バスシステムです。これは、バス停に到着した際にバスが自動的に車体を傾け、スロープを形成するシステムです。このデザインは、車椅子利用者や歩行が困難な高齢者にとってバスの乗り降りを格段に容易にし、交通機関の利用を促進しています。

1.1.1 デザインの背景と目的

イギリスでは、公共交通機関の利用が高齢者や障害者にとって大きな課題となっていました。そこで、すべての利用者が安全かつ簡単にバスを利用できるように、バス自体がスロープとなる「ローリングスロープ」システムが導入されました。このシステムは、バス停での滞在時間を短縮し、スムーズな運行を可能にするとともに、利用者の安全性を高めています。

1.1.2 実際の使用状況とユーザーの反応

このシステムを導入したバス路線では、車椅子利用者やベビーカーを押す親、さらには高齢者から非常に高い評価を受けています。特に、「段差を気にせず乗り降りできる」「短時間でバスに乗れる」といった点が好評で、他の交通機関への導入も検討されています。

1.2 日本の「ユニバーサルデザイン鉄道車両」

日本では、鉄道のユニバーサルデザインが非常に進んでおり、その中でも「ユニバーサルデザイン車両」が注目されています。この車両は、車内に広いスペースが確保されており、車椅子利用者やベビーカーを押す親が快適に過ごせるように設計されています。また、車両内の情報案内は多言語対応で、視覚障害者向けの点字表示や音声案内も完備されています。

1.2.1 デザインの特徴

この車両の設計では、すべての乗客が快適に過ごせるように、車内のスペース配置が工夫されています。座席配置は柔軟に変更可能であり、混雑時にもスムーズな移動が可能です。また、情報案内システムは視覚や聴覚に障害のある人々でも利用しやすいように設計されており、車両内の案内板や音声ガイドが多言語対応で提供されています。

1.2.2 利用者の声

この車両を利用した乗客からは、「車内が広々としていて、車椅子でも安心して乗車できる」「多言語対応で、外国人旅行者にも使いやすい」といった声が寄せられています。日本国内だけでなく、海外からの観光客にも配慮されたデザインが、高評価を得ています。


2:珍しいユニバーサルデザイン事例 – 公共施設

2.1 オーストラリアの「Braille-street-signs(触覚地図)」

オーストラリアのいくつかの公共施設では、視覚障害者が施設内を移動する際の支援として「Braille-street-signs(触覚地図)」が導入されています。触覚地図は、施設のレイアウトを立体的に再現し、触れることで視覚障害者が施設の構造や自分の位置を把握できるようになっています。

2.1.1 触覚地図の設計と導入背景

オーストラリアでは、視覚障害者の自立を支援するために、公共施設内の案内をより触覚的に感じられる方法が求められていました。そこで、施設のレイアウトを立体的に再現した触覚地図が設計されました。この地図には、視覚障害者が触れることで施設内の各エリアを特定できるように、異なる質感や高さが利用されています。

2.1.2 触覚地図の利用者の反応

触覚地図を利用した視覚障害者からは、「これまで以上に施設内を自信を持って移動できるようになった」「他の視覚障害者にもこのシステムを広めてほしい」といった肯定的な意見が多く寄せられています。この地図は、視覚障害者の生活の質を向上させると同時に、公共施設のアクセシビリティを高めています。

2.2 デンマークの「ユニバーサルデザイン博物館」

デンマークのある博物館(デンマークデザインミュージアム)では、展示物をすべての人が楽しめるように、ユニバーサルデザインが徹底されています。展示物には、視覚障害者向けに触れることができるレプリカが用意され、聴覚障害者向けには手話案内が提供されています。また、車椅子利用者が快適に見学できるよう、段差がない設計が採用されています。

2.2.1 ユニバーサルデザインの導入経緯

この博物館では、すべての来場者が展示を楽しめるように、ユニバーサルデザインが徹底的に採用されました。視覚障害者向けの触覚レプリカや、聴覚障害者向けの手話ガイド、さらには段差のないフロア設計など、あらゆる面での配慮が施されています。

2.2.2 来場者の反応

来場者からは、「障害があっても安心して展示を楽しめる」「家族全員が一緒に楽しめる場所で、再訪したい」といった高評価が寄せられています。特に、家族連れや障害者グループからの支持が高く、デンマーク国内外での評価も高まっています。


3:ユニークなユニバーサルデザイン事例 – 住宅設計

3.1 ドイツの「モジュール式住宅」

ドイツでは、ユニバーサルデザインに基づいた「モジュール式住宅」が注目されています。この住宅は、家族の成長やライフスタイルの変化に合わせて、柔軟に設計を変更できる点が特徴です。たとえば、子どもが成長して個室が必要になった場合や、高齢者が同居するためにバリアフリーの部屋を追加する必要がある場合など、住む人のニーズに応じて部屋を増設したり、間取りを変更したりすることができます。

3.1.1 モジュール式住宅の設計と特徴

モジュール式住宅は、あらかじめ設計されたパーツを組み合わせることで、住宅の機能や間取りを自由に変更できるようになっています。これにより、住む人のライフステージに合わせて柔軟に対応できる設計が可能となっています。また、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、バリアフリーの部屋や、視覚・聴覚障害者向けの設備も簡単に導入できるように設計されています。

3.1.2 モジュール式住宅の利用者の声

この住宅に住む人々からは、「ライフステージの変化に合わせて住環境を自由に調整できる点が素晴らしい」「バリアフリー化が簡単にでき、高齢者や障害者にも優しい住宅」といった好意的な意見が多く寄せられています。特に、家族構成が変化しやすい若い夫婦や、介護が必要な高齢者を抱える家庭からの支持が高いです。

3.2 スウェーデンの「シェアハウス型ユニバーサルデザイン住宅」

スウェーデンでは、異なる世代や背景を持つ人々が共同で生活するシェアハウス型のユニバーサルデザイン住宅が開発されています。この住宅では、各住人が自分のプライベート空間を持ちながら、共用スペースではコミュニティとしての交流を深めることができるように設計されています。特に、シニア層と若年層が共に生活することで、相互支援や多世代交流が促進されています。

3.2.1 シェアハウス型ユニバーサルデザイン住宅のコンセプト

シェアハウス型ユニバーサルデザイン住宅は、多様な住人が共に快適に生活できるように設計されています。個別の住居スペースには、バリアフリー設計が施されており、車椅子や歩行補助具を使う人々も安心して暮らせるよう配慮されています。また、共用スペースには、車椅子でも使用可能なキッチンや、音声案内機能が付いた家電製品が設置されており、すべての住人が共同で利用できるようになっています。

3.2.2 住人の反応と社会的影響

この住宅に住む人々からは、「異なる世代の住人との交流が楽しく、助け合いの精神が生まれる」「共用スペースがユニバーサルデザインになっていて、誰もが使いやすい」といった好評が寄せられています。また、こうした住宅が社会全体に与える影響として、多世代間の交流が促進されることで、孤独感の軽減や地域社会の結束が強化されるといったプラスの効果も期待されています。


4:ユニークなユニバーサルデザイン事例 – デジタル製品

4.1 アメリカの「音声操作型スマートデバイス」

アメリカでは、視覚障害者や手の不自由な人々のために開発された「音声操作型スマートデバイス」が注目されています。このデバイスは、音声での操作が可能で、日常生活のあらゆる場面での使用が支援されます。例えば、音声でライトを点けたり、テレビのチャンネルを変更したり、さらにはスマートホームシステム全体を制御することもできます。

4.1.1 音声操作型デバイスの設計と導入背景

このデバイスは、特に視覚障害者や、手の動きに制約がある人々の自立を支援するために設計されました。デバイスは音声認識技術を利用しており、ユーザーが音声で指示を出すことで、さまざまな操作が可能です。視覚に頼らない操作ができるため、画面を見たりボタンを押したりする必要がなく、誰でも簡単に使えることが特徴です。

4.1.2 利用者の体験談

このデバイスを利用している視覚障害者からは、「音声だけで生活ができるようになり、自立感が増した」「スマートホームと連携して、家の中が非常に快適になった」といった高評価が寄せられています。また、手に障害がある利用者も、手を使わずにデバイスを操作できることから、「日常生活が大きく改善された」との声が上がっています。

4.2 韓国の「多言語対応ナビゲーションアプリ」

韓国では、外国人観光客や移民向けに「多言語対応ナビゲーションアプリ」が開発されました。このアプリは、韓国国内の交通機関や観光地、公共施設を案内するもので、複数の言語で情報提供を行うため、言語の壁を越えて快適に移動できるようにサポートします。また、アプリ内にはユニバーサルデザインが取り入れられており、視覚的にわかりやすいデザインや、音声案内機能が搭載されています。

4.2.1 アプリの設計と機能

このナビゲーションアプリは、韓国を訪れる外国人観光客や、韓国に住む移民が移動や情報収集をスムーズに行えるように設計されています。アプリは英語、中国語、日本語など複数の言語に対応しており、目的地までの道案内や、公共交通機関の乗り換え情報を提供します。また、視覚障害者向けに音声案内機能が搭載されており、視覚に頼らず移動できるようサポートしています。

4.2.2 利用者の評価

アプリを使用した外国人観光客からは、「言語が違っても簡単に目的地にたどり着ける」「視覚的にわかりやすく、ストレスなく利用できる」といった評価が寄せられています。特に、初めて韓国を訪れる観光客や、韓国語に不慣れな移民から高い評価を受けています。また、視覚障害者向けの音声案内機能も、多くの利用者から好評を得ており、韓国国内だけでなく、他国への展開も検討されています。


5:ユニークなユニバーサルデザイン事例 – 教育施設

5.1 カナダの「インクルーシブ教室」

カナダでは、すべての学生が平等に教育を受けられるように設計された「インクルーシブ教室」が話題となっています。この教室は、発達障害を持つ子どもや、身体に制約のある子どもたちが自分のペースで学習できるように配慮されています。特に、音声認識技術を利用した学習支援や、触覚教材、インタラクティブなホワイトボードが導入されており、すべての生徒が学びやすい環境が整っています。

5.1.1 インクルーシブ教室の設計と特徴

インクルーシブ教室は、障害を持つ生徒と健常な生徒が共に学ぶための環境として設計されています。教室内には、音声認識技術を用いたデバイスが配置され、発語に困難を抱える生徒が自分の声で学習に参加できるようになっています。また、視覚や触覚を利用した教材が用意されており、視覚障害や発達障害を持つ生徒も自分のペースで学習できるよう配慮されています。さらに、インタラクティブなホワイトボードやデジタル学習ツールが導入されており、すべての生徒が参加型で授業に取り組める環境が整っています。

5.1.2 インクルーシブ教室の成功事例と反響

このインクルーシブ教室では、障害を持つ生徒たちがより積極的に授業に参加できるようになり、学習意欲が向上したとの報告があります。教師からも、「教室全体の協調性が高まり、生徒同士が助け合う姿が見られるようになった」といった声が聞かれます。さらに、保護者からは「子どもが学校に通うことに対して前向きになり、家でも自主的に学ぶようになった」との評価も得られています。この事例は、教育現場でのユニバーサルデザインが、すべての生徒にとってどれほど重要であるかを示しています。

5.2 フィンランドの「バリアフリー図書館」

フィンランドの一部の図書館では、すべての人が本にアクセスしやすいように、バリアフリー設計が徹底されています。これには、車椅子利用者が利用しやすい低い本棚や、聴覚障害者向けの音声増幅システム、視覚障害者向けの点字本やオーディオブックなどが含まれます。さらに、デジタルデバイスを利用した読書支援システムも導入されており、幅広い利用者が快適に図書館を利用できるようになっています。

5.2.1 バリアフリー図書館の設計と機能

この図書館では、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、すべての利用者が平等にアクセスできるように配慮されています。たとえば、本棚の高さはすべての利用者が手を伸ばしやすいように低めに設定されており、車椅子でも自由に移動できるように通路が広く確保されています。また、聴覚障害者のために音声を増幅するシステムや、視覚障害者向けに点字本、オーディオブック、デジタルリーダーなどが提供されています。

5.2.2 利用者の体験と図書館の社会的役割

この図書館を利用した人々からは、「すべての人にとって利用しやすい設計で、図書館が本当に開かれた場所になっている」との評価が寄せられています。特に、障害者や高齢者からは、アクセスしやすさと居心地の良さが高く評価されており、地域のコミュニティにとって重要な役割を果たしています。また、こうしたバリアフリー図書館の存在が、他の公共施設にもユニバーサルデザインを取り入れるきっかけとなっている点も注目されています。


6:ユニークなユニバーサルデザイン事例 – 観光施設

6.1 イタリアの「歴史的建造物のバリアフリー化」

イタリアのいくつかの都市では、歴史的建造物をバリアフリー化する取り組みが進められています。これには、エレベーターやスロープの設置、視覚障害者向けの触覚ガイドや音声案内の導入が含まれます。観光客が訪れる歴史的建造物が多く、障害を持つ人々でも安心して観光を楽しめる環境が整えられています。

6.1.1 歴史的建造物のバリアフリー化の課題と解決策

歴史的建造物のバリアフリー化には、建物の保護と利用者の利便性を両立させることが求められます。イタリアでは、建物の外観や構造を保護しつつ、現代の技術を活用してエレベーターやスロープを巧みに設置する方法が採用されています。視覚障害者向けには、建物の構造を再現した触覚ガイドや、歴史的背景を説明する音声ガイドが提供されており、誰もが歴史を体験できる工夫が施されています。

6.1.2 観光客の反応と文化的価値

観光客からは、「障害を持っていても歴史的な場所を十分に楽しむことができる」「触覚ガイドや音声案内が非常に役立つ」といった好意的な評価が寄せられています。また、この取り組みは、文化遺産の保護と観光のアクセシビリティ向上という二重の価値を実現しており、他国の観光施設でも参考にされることが期待されています。

6.2 日本の「ユニバーサルデザイン温泉」

日本では、ユニバーサルデザインを取り入れた温泉施設が増えています。これには、車椅子でアクセス可能な露天風呂、バリアフリーの脱衣所や浴室、視覚障害者向けの点字案内などが含まれます。また、高齢者や障害者だけでなく、外国人観光客にとっても使いやすい多言語対応の案内や、文化的な配慮が行われています。

6.2.1 ユニバーサルデザイン温泉の設計と特徴

ユニバーサルデザイン温泉では、誰もが快適に温泉を楽しめるように、細部にわたる配慮が行われています。例えば、車椅子のまま入れる露天風呂や、脱衣所と浴室の間に段差がない設計、温泉内の手すり設置など、身体に制約がある人でも安心して利用できる設計がされています。また、多言語対応の案内や、温泉の利用マナーを説明するパンフレットが用意されており、外国人観光客にも親しみやすい環境が整っています。

6.2.2 利用者の感想と地域への影響

この温泉施設を訪れた人々からは、「安心して温泉を楽しめる」「家族全員で一緒に温泉を体験できる」といった高評価が寄せられています。特に、障害を持つ人々や高齢者にとって、温泉はリラクゼーションの場として大きな魅力があり、ユニバーサルデザインの導入によってその魅力がさらに高まっています。また、このような温泉施設が地域観光の活性化に貢献しており、他の温泉地でも同様の取り組みが広がりつつあります。


7:日本におけるユニバーサルデザイン事例の新たな取り組み(グッドデザイン賞より事例を抜粋)

7.1 いちどにありがとう32

「いちどにありがとう32」は、片手でも洗濯物を干したり取り込んだりすることができるピンチハンガー(洗濯バサミがたくさんついたハンガーのこと)です。2013年にグッドデザイン賞も受賞したこの製品は、片手が不自由な人でも利用しやすいデザインとなっています。

一般的な洗濯バサミの2分1で開閉することができるため、お年寄りや子どもなど力の弱い人でも使いやすく、また、一度に多くの洗濯バサミを開くことができるため、上手く使えば取り込みスピードが3倍になるというメリットをうたっています。

片手で洗濯物干し、取り込みが行えることで、片手が不自由な方でも家事を容易に行えるほか、従来の約半分の力でクリップが作用するので、力が弱い方でもお使いいただけます。またこれらのメリットは健常者においても同様に価値を享受すると考えております。

従来型のものと比較し、物干しスピードで約1/2、取り込みスピードで約1/3の時間軽減を実現しました。また、部屋干し壁掛け時に常に水平を保つ無段階調節機能や、強風時のズレや落下を防ぐシリコンバンド、折りたたみ時にクリップがからみにくい形状など、徹底的に使用者の利便性を追求しております。

7.2 UD(ユニバーサルデザイン)グリップ包丁

「UDグリップ包丁」は、手首の関節に稼働制限がある人や、車いすに座って調理を行う人などでも使いやすいデザインが施された包丁です。持ち手の角度を変更することができ、またテコの原理で刃に力を伝えやすい設計になっています。

7.3 ユニバーサルデザインスプレー

多くの生活者に使用頂いているスプレータイプの包装容器において、開発時から持ちやすさと使いやすさに重点を置いて製品化しました。多種多様な握り方や、様々なスプレーの噴霧方法に対応できる ユニバーサルデザインスプレーです。

手の大きさなどの人間工学データを考慮し、容易にグリップできるサイズでデザイン化しています。また、ユーザーによって使用方法が一様でないことも考慮し、様々な持ち方でも 使いにくいことがないようなスプレーデザインとなっています。

生活者によってスプレーの用い方は様々です。例えば化粧液、消臭芳香剤などを 使用する場合、グリップ感が悪くて落下したり、使いにくさ故に不快になるようなことから可能な限り遠ざけ、従来品とは異なった柔らかいフォルムで、使う度に気持ちがわくわくするような感じになれることを期待しています。

7.4 steppi(ステッピ)多機能ニットシューズ

ニットだから、軽い。曲がる。洗える。弾く。そしてハンズフリー。リサイクルポリエステルを使用したニットシューズ『steppi』が医療従事者に向けて整形外科医師と開発した、多機能でオーセンティックなスリップオンシューズ。医療の現場だけでなく、妊婦やシニア世代にも優しいユニバーサルデザイン。

『ニットだから、ひたすら心地良い』リサイクルポリエステルから作ったニットシューズ『steppi/ステッピ』が発売から多くの方にご好評を得ている。その中で上がった、ニットシューズの機能性が医療現場にも役立つという声を元に、整形外科医師と共に開発をスタートした。現在、医療従事者の多くが着脱のしやすさや感染リスク、耐久性の高さから、発泡樹脂の一体型モールドで成形されたサンダルタイプを着用しているそうだが、履き心地や蒸れ、滑りやすさに課題があり、スタイリングの野暮ったさも懸念点であった。

開発にあたっては、アパレル会社オンワード樫山だからこそsteppiもシンプルで美しいフォルムを重視しており、親和性があると考えた。加えて100名を超える医師へのアンケートも実施し、履き心地の良さと着脱のしやすさを特に重視するという結果から、ハンズフリーで着脱できるヒールサポートを搭載するに至った。

医療現場へのベネフィットを突き詰めた結果、シンプルで飽きのこないオーセンティックなスリップオンシューズをデザインした。

ニットシューズがもつ機能性(軽量・ソフト)にブランド独自の機能(撥水・洗える・サステナブル)をプラスし、木型のフォルムの美しさを掛け合わせ、革靴のようなきりっとした佇まいを目指した。オリジナルのヒールサポートでハンズフリー着脱にすることで、診察現場からオペ、訪問介護で靴の脱ぎ履きなど靴の着脱シーンの多い(でもなるべく触れたくない)医療従事者のニーズに応えた。スクラブと呼ばれる医療用ユニフォームのスタイルにも品よく合わせられるスリップオンデザイン。リノリウム床でも足音が響きにくくグリップ性もあるアウトソールも、シンプルなコートタイプで仕上げた。軽量で洗いやすく、通勤スタイルや休日にも合わせられ、医療従事者のみならず妊婦やシニア世代などユニバーサルに優しいプロダクトになった。

7.5 アタック抗菌EX 超フィットボトル

アタック抗菌EXシリーズで新たに採用した「超フィットボトル」。だれもが使いやすく暮らしにフィットすることを追求した人間工学に基づいたユニバーサルデザインにより毎日のお洗濯の作業負荷を軽減した。 

家事の中でも洗濯はプロセスが多く、生活者の使用実態からも、従来の洗剤ボトルは様々な負担を内包していることが分かった。①ハンドル部が太くしっかり握れていない、②洗剤を計量するときに容器を持ち上げ、注ぐのが負担、③かさばる形状で、収納するときに置き場所に困る。生活者が忙しい毎日を送る中で、「日々発生する家事の小さなストレスをできるだけ軽減したい」との思いから、新しいボトルを開発した。

使いやすさを追求し、人間工学的な視点からボトルを設計した。

①ハンドル:成人男性でも指4本しっかり入るよう調整し、様々な持ち方で手にフィットするよう設計。凹凸を設けて滑りを抑制し、安定感を高めた。

②ノズル:ノズル部を斜めに設置し、洗剤を吐出する時の身体負担を半減させた。

③ボトル:低面積を従来ボトルの約2/3にし、収納しやすさを向上させた。

実際に新ボトルを幅広い年代の方に使って頂いたところ、コンパクト・持ちやすい・注ぎやすいなど、多くの方から高い評価が得られた(2023年花王調べ30~70代女性42名)。処方では、大量の洗濯物を洗う場合でも汚れやニオイを落とせる処方を開発。予洗いや洗い直しの負担軽減を強化した。また、衣類の絡まり低減技術を開発し、洗濯機から衣類を容易に取り出せ、干す時サッとシワを伸ばせ、ラクに干せる新製品を上市した。従来以上に洗濯プロセスの様々な場面で負担軽減を提案している。


ユニークなユニバーサルデザイン事例から学ぶこと

すべての人がサービスを利用できる機会の平等を目指すために

世界各地で導入されているユニークなユニバーサルデザイン事例は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。これらの事例は、すべての人が快適に、そして平等にサービスを利用できる社会を目指すための道筋を示しています。また、ユニバーサルデザインは単なるアクセシビリティの向上にとどまらず、利用者全体の利便性を高め、より多くの人々にサービスを提供するための強力なツールであることがわかります。

未来のユニバーサルデザインに向けて

世界各地で実施されているユニークなユニバーサルデザイン事例は、デザインの可能性を広げるだけでなく、社会全体をより包括的で持続可能なものにするための道筋を示しています。これらの事例は、単に特定のニーズに応えるだけでなく、すべての人々にとって快適で利用しやすい環境を創り出すためのインスピレーションとなります。

ユニバーサルデザインは、企業の製品開発やサービス提供においても重要な要素となっており、これを実践することで広範なユーザー層に対応できるだけでなく、ブランド価値を高めることが可能です。また、公共施設や都市計画にユニバーサルデザインを取り入れることで、住民の生活の質を向上させ、コミュニティの一体感を強化することができます。未来のユニバーサルデザインに向けて、これらの実践的な事例を参考にし、すべての人々がより良い生活を送れる社会の実現に向けて取り組んでいくことが求められます。

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