デザイン経営とは何か?9つの取組の入り口と期待されるイノベーション
バリアフリーなカフェ: 障害者の居場所になるカフェの先進事例・スターバックス コーヒーnonowa国立店
はじめに
近年、バリアフリー設計が多くの公共施設や商業施設で導入されるようになり、カフェなどの飲食店でも障害者や高齢者が快適に過ごせる環境づくりが重要視されています。特にカフェは、日常の憩いの場やコミュニティ形成の場としての役割を果たすため、誰もが気軽に訪れ、過ごしやすい空間を提供することが求められます。
今回は、障害者にとっての居場所となるバリアフリーカフェの先進事例として、「スターバックス コーヒー nonowa国立店」を取り上げ、同店の取り組みと、バリアフリーなカフェに必要な設備や設計について詳しく解説します。また、CULUMUが提供するバリアフリーデザインのコンサルティングサービスがどのように役立つかも紹介します。バリアフリー対応を検討しているカフェ経営者や施設運営者は、ぜひご参考にしてください。


1. バリアフリーなカフェの必要性
1.1 カフェの社会的役割とバリアフリー
カフェは、単なる飲食を提供する場所ではなく、仕事やリラックス、コミュニケーションの場として多くの人に利用されています。障害者にとっても、カフェは日常的な交流や楽しみを得る重要な場所ですが、物理的・社会的なバリアがあると利用しにくくなります。そのため、障害者が快適に過ごせるよう、バリアフリーな設計とサービスが必要です。
1.2 インクルーシブデザインとカフェ
インクルーシブデザインとは、あらゆる人が利用しやすいように配慮されたデザインのことです。バリアフリーなカフェを実現するためには、インクルーシブデザインの導入が不可欠です。車いす利用者、視覚や聴覚に障害を持つ人、あるいは高齢者など、さまざまなニーズに応じた環境づくりが必要とされます。
2. スターバックス コーヒー nonowa国立店のバリアフリー対応
2.1 スターバックス コーヒーの取り組み
スターバックスは、バリアフリーやインクルーシブデザインの分野で世界的にも先進的な取り組みを行っている企業の一つです。特に、nonowa国立店はそのモデル店舗として注目を集めており、障害者が気軽に利用できる環境を提供しています。
この店舗は、聴者と聴覚に障がいのあるパートナーが共に働き、多様な人々が自分らしく過ごし活躍できる居場所の実現を目指した、スターバックスのダイバーシティ&インクルージョンを象徴する店舗の一つです。
この店舗は、物理的なバリアフリー設備に加え、障害者の雇用や社会的包摂を実現する「インクルーシブカフェ」としても高く評価されています。具体的には、手話やピクトグラムなどを活用したコミュニケーション支援や、スタッフの障害に対する理解促進が進んでおり、全ての利用者が安心して過ごせる場所を目指しています。
2.2 nonowa国立店のバリアフリー設計
これまで、スターバックスでは聴覚に障がいのあるパートナーによる活動として、彼らが自主的に企画・運営する「手話カフェ」や「手話によるコーヒーセミナー」を実施してきました。サイニングストアは現在マレーシアに2店舗、米国に1店舗、中国に1店舗あり、これらの店舗からの経験も取り入れています。
そうした中で聴覚に障がいのあるパートナーから「自分たちでお店をやってみたい」という声があがりました。2018年からは「サイニング アクティビティ」という聴覚に障がいのあるパートナーが中心となって実際に店舗運営を数時間行うプログラムを7回実施いたしました。
これらの活動を通じて、サイニングストアオープンに向けての可能性を探りました。参加したパートナーからは「手話や筆談などのコミュニケーションでパートナー同士やお客様とかかわることで、本来の自分の力を発揮することができた。」といった声もあがり、サイニングストアのオープンへと繋げることができました。
2.2.1 車いす利用者に配慮した設計
車いす利用者がスムーズに移動できるように、nonowa国立店では段差のないフラットな入り口を採用しています。入り口からカウンター、テーブル席までの動線が広く確保されており、車いすでも簡単に通行できるよう設計されています。
2.2.2 低めのカウンターとユニバーサルデザイン
カウンターの一部は低く設計され、車いす利用者でも問題なく注文や受け取りができるよう工夫されています。また、椅子やテーブルの高さも多様な体格に対応できるように配慮されています。
2.2.3 視覚障害者への配慮(指文字)
視覚障害者向けに、店内の案内やメニューには点字や触覚でわかる標識が導入されています。また、床の一部には点字ブロックが敷設されており、視覚障害者が店内で安全に移動できるよう配慮されています。
店舗の中心には、STARBUCKSを指文字(ASL:American Sign Language)で表現したサインが象徴的にデザインされています。また、パートナーは、この特別なサインが刺繍されたエプロンを身に着け、お客様をお迎えいたします。
2.2.4 聴覚障害者向けの手話対応、音声や指差し、筆談への対応
聴覚障害者が注文をしやすいように、手話に対応できるスタッフが配置されています。また、注文の際に手話やピクトグラムを活用することで、スムーズなコミュニケーションが可能です。これにより、言葉のバリアを取り除き、誰もが安心して注文できる環境が整っています。
手話だけでなく、nonowa国立店では複数の方法のご注文が可能です。ご注文の商品やご希望をタブレットに向かってお話しいただき、それが文字で表示され、パートナーへと伝わる音声入力システムや、指差しで商品選びからカスタマイズまでご注文いただけるメニューシート、筆談具などのツールもご用意しています。
2.2.5 一般健常者向けの手話の啓発
nonowa国立店では店内の随所に手話の世界に楽しく触れられる工夫をしています。商品の受け取り場所にはデジタルサイネージを設置。
商品の提供時は手話でのご案内と共に、お客様のレシートに印字された番号をデジタルサイネージに表示いたします。どの順番でドリンクが作成されているのかをお知らせすることで、お客様は商品のお受け取りまで安心してお待ちいただけます。また、デジタルサイネージには商品番号だけではなく、挨拶などでよく使う手話が表示されます。
店内を彩るアートでも、手話の世界に触れていただけます。アートを手掛けたのは門 秀彦氏。手話をモチーフにしたアートを通じて、聴者と聴覚に障がいのある方を楽しくつなぐ活動をされています。今回のアート制作においては、スターバックスで働く聴覚に障がいのあるパートナーとディスカッションを行いながら、この店舗ならではの世界観を構築するところからスタートしました。
スターバックスならではの作品のタイトルは「Talkative hands (おしゃべりな手)」。この作品には、手話が人と人とのつながりを生み出す架け橋になること、そしてここから手話の世界を楽しく日本に広めていきたいという、私たちと門氏の思いが込められています。アートにはあいさつや、スターバックスにちなんだすぐにでも使いたくなるたくさんの手話が描かれています。
商品の出来上がりをお待ちの間も手話の世界をお楽しみください。
2.3 スターバックスの障害者雇用と社会的包摂の取り組み
nonowa国立店では、障害を持つスタッフが多く働いており、健常者と共にチームとしてカフェの運営に携わっています。スターバックスは、障害者の雇用を推進し、働きやすい環境を整えることで、社会的包摂を実現しています。これにより、店舗の利用者だけでなく、働く側にとってもインクルーシブな職場環境が提供されています。
3. バリアフリーカフェに必要な設備と設計
3.1 物理的バリアフリーの対応
3.1.1 スロープと段差の解消
カフェの入り口や店内に段差がある場合、車いす使用者や高齢者にとって大きな障害となります。段差を解消するスロープや、段差のないフラットな設計が理想的です。また、スロープの勾配は1:12から1:15程度が推奨されており、手すりも設置することで安全に移動できる環境を整えます。
3.1.2 車いすが通れる幅の通路設計
車いす利用者がスムーズに移動できるよう、カフェ内の通路は少なくとも90センチメートル以上の幅が必要です。また、カウンターの周りやテーブル席の間も、車いすが回転できる十分なスペースを確保することが重要です。
3.2 視覚障害者への配慮
3.2.1 点字メニューと音声案内
視覚障害者がカフェを利用する際、点字メニューや音声案内が導入されていると、メニューを確認しやすくなります。これにより、視覚情報が不十分な場合でも、自分で注文が可能になります。
3.2.2 誘導ブロックや触覚案内
店内の移動が困難な視覚障害者にとって、誘導ブロックや触覚案内は安全な移動をサポートします。これらを適切に配置することで、視覚障害者が自分で安心してカフェ内を移動できるようになります。
3.3 聴覚障害者への配慮
3.3.1 手話対応スタッフの配置
聴覚障害者向けには、手話対応ができるスタッフを配置することが推奨されます。スタッフが手話を使ってコミュニケーションを取ることができれば、聴覚障害者にとってもストレスなく注文できる環境が整います。
3.3.2 ピクトグラムによる注文サポート
ピクトグラム(視覚的なシンボル)を用いたメニューや注文システムを導入することで、聴覚障害者が視覚的に情報を得られるように配慮します。視覚的なツールを活用することで、言葉の壁を越えたサービスが可能となります。
4. CULUMUのバリアフリー設計コンサルティングサービス
4.1 CULUMUのインクルーシブデザインのバリアフリー
デザインコンサルティングファームであるCULUMUは、バリアフリーデザインを専門とし、企業や自治体が実際にバリアフリーを導入する際の支援を行っています。CULUMUのコンサルティングは、単なる技術的な提案に留まらず、当事者との共創を通じて、利用者目線に立った本質的なデザインを提供します。
4.2 CULUMUの共創型デザインプロセス
CULUMUのデザインプロセスは、利用者や関係者との対話を通じた「共創型」に特徴があります。これにより、実際に現場で使用される環境やデザインがどのように使われるか、リアルなフィードバックを取り入れながら、真に利用者に寄り添ったバリアフリーデザインを作り上げます。
まとめ
バリアフリーカフェは、単なる物理的なバリアを取り除くだけでなく、社会的な包摂を実現する場として非常に重要な役割を果たしています。スターバックス コーヒー nonowa国立店の事例からもわかるように、カフェがインクルーシブな場所になるためには、物理的な環境整備だけでなく、スタッフの意識改革やコミュニケーションの工夫も必要です。
CULUMUでは、バリアフリー設計に関する専門的なコンサルティングを提供し、カフェ経営者や施設運営者がより多くの人々に愛される場所を作り上げるサポートをしています。
バリアフリーカフェの導入や改善をお考えの方は、ぜひCULUMUにご相談ください。私たちの専門チームが、貴社のニーズに最適なソリューションを提案し、バリアフリー社会の実現に向けて共に歩んでまいります。
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