デザイン経営とは何か?9つの取組の入り口と期待されるイノベーション

アクセシビリティとユーザビリティの違い:具体例とユースケースを基に

デジタル製品やウェブサイトの開発において、アクセシビリティとユーザビリティは非常に重要な要素です。しかし、多くの人々はこれらの用語を混同したり、同じ意味で使用したりすることがあります。実際には、アクセシビリティとユーザビリティは異なる概念であり、それぞれが特定の目的とユーザー体験に影響を与えます。

本記事では、アクセシビリティとユーザビリティの違いを明確にし、それぞれの具体例とユースケースを交えて解説します。また、デジタルプロジェクトにおけるこれらの概念の重要性を強調し、どのように組み合わせて最適なユーザー体験を提供できるかについても考察します。

アクセシビリティとは?

基本定義

アクセシビリティ(Accessibility)は、障害を持つ人々を含むすべてのユーザーが、製品、サービス、情報に等しくアクセスできるようにすることを意味します。これは、視覚、聴覚、運動機能、認知能力など、様々な障害を持つ人々がデジタルコンテンツやサービスを利用できるようにするための設計および開発の要素です。

アクセシビリティは、ウェブコンテンツにおいて特に重要です。例えば、スクリーンリーダーを使用する視覚障害者がウェブサイトを操作できるようにするための代替テキストの提供や、色覚障害者が情報を正確に認識できるようにするためのコントラスト比の調整が含まれます。

アクセシビリティの具体例

  1. 代替テキスト(Alt Text): 画像の内容をスクリーンリーダーで読み上げるために使用されるテキスト説明。視覚障害者が画像の内容を理解できるようにする。

  2. キーボードナビゲーション: マウスを使用できないユーザーが、キーボードだけでウェブサイトを操作できるようにする機能。たとえば、タブキーでリンクやフォームフィールドに移動できるようにする。

  3. 字幕とキャプション: 聴覚障害者がビデオコンテンツを理解できるようにするための字幕やリアルタイムキャプションの提供。

  4. 音声認識対応: テキスト入力が難しいユーザー向けに、音声でコマンドを入力できる機能。これにより、手の運動機能に制約があるユーザーもデジタルデバイスを利用できる。

アクセシビリティのユースケース

  • 視覚障害者がオンラインショッピングを利用する場合: アクセシブルなウェブサイトでは、商品画像に代替テキストがあり、商品情報がスクリーンリーダーに適切に読み上げられる。また、キーボードナビゲーションにより、商品をカートに追加し、購入手続きを行うことができる。

  • 聴覚障害者がオンラインコースを受講する場合: 授業動画に字幕やキャプションが提供されていることで、聴覚に制約がある学生でも講義内容を理解し、学習を進めることができる。

ユーザビリティとは?

基本定義

ユーザビリティ(Usability)は、製品やサービスがユーザーにとってどれだけ使いやすいかを測る指標です。これは、ユーザーが目標を達成するために製品やサービスをどれだけ効率的かつ効果的に利用できるかを指します。ユーザビリティの高いデザインは、使い勝手が良く、直感的で、エラーが少なく、学習しやすいものです。

ユーザビリティは、製品やサービスが一般的に利用しやすいかどうかに焦点を当てており、必ずしも障害者を特定の対象としているわけではありません。例えば、ウェブサイトのナビゲーションが直感的であり、ユーザーが必要な情報に迅速にアクセスできることが重要です。

ユーザビリティの具体例

  1. ナビゲーションの簡潔さ: サイトのメニューが明確で、ユーザーが必要なページに簡単にアクセスできる。

  2. レスポンシブデザイン: さまざまなデバイス(スマートフォン、タブレット、PC)で最適に表示されるデザイン。画面サイズに応じてコンテンツが自動的に調整される。

  3. フォームの最適化: ユーザーが最低限の入力でフォームを完了できるように設計されている。例えば、自動補完やエラーメッセージの明確化が含まれる。

  4. ロード時間の短縮: ページの読み込みが速いこと。長時間待たされることなく、必要な情報が表示される。

ユーザビリティのユースケース

  • eコマースサイトでのユーザビリティ: ユーザビリティの高いショッピングサイトでは、製品カテゴリーがわかりやすく整理されており、ユーザーが簡単に商品を見つけ、カートに追加し、購入手続きを完了できる。エラーが発生した場合でも、明確なエラーメッセージが表示され、修正が簡単にできる。

  • オンラインバンキングアプリでのユーザビリティ: ユーザーが簡単にアカウント情報にアクセスし、送金や支払いを迅速に行えるように設計されている。また、2段階認証などのセキュリティ機能が直感的に利用できる。

アクセシビリティとユーザビリティの違い

アクセシビリティとユーザビリティは、共通点を持ちながらも異なる概念です。アクセシビリティは、特に障害を持つユーザーがデジタルコンテンツを利用できるようにすることに重点を置いています。一方、ユーザビリティは、すべてのユーザーが製品やサービスを効率的かつ効果的に使用できるようにすることに焦点を当てています。

具体的な違い

  • 対象者の違い: アクセシビリティは、障害を持つ人々に焦点を当てていますが、ユーザビリティはすべてのユーザーを対象としています。

  • 目標の違い: アクセシビリティは、物理的または技術的な障壁を取り除くことを目的としていますが、ユーザビリティは、製品やサービスがどれだけ効率的に使えるかを最適化することを目的としています。

  • 手法の違い: アクセシビリティ対応には、代替テキストや字幕、キーボードナビゲーションなどの具体的な技術的対策が含まれます。一方、ユーザビリティ対応には、直感的なナビゲーションやレスポンシブデザイン、エラーメッセージの最適化が含まれます。

アクセシビリティとユーザビリティの統合

効果的なデジタルプロダクトやサービスは、アクセシビリティとユーザビリティの両方を統合したものです。アクセシビリティが確保された製品でも、ユーザビリティが低ければ、利用者はその製品を使い続けることが難しくなります。逆に、ユーザビリティが高くても、アクセシビリティが不足していれば、特定のユーザーグループが排除される可能性があります。

アクセシビリティとユーザビリティを高めるための戦略

1. ユーザー中心設計(UCD)の導入

ユーザー中心設計(UCD)は、製品開発のすべての段階でユーザーのニーズを中心に据えるアプローチです。UCDを導入することで、アクセシビリティとユーザビリティの両方をバランスよく取り入れることができます。UCDのプロセスでは、ユーザーリサーチを通じて、対象ユーザーの特性や要件を明らかにし、それに基づいたデザインを行います。

  • ペルソナの作成: ユーザーの特性を反映した架空の人物像を作成し、そのペルソナに基づいて製品やサービスの設計を進めます。アクセシビリティの観点からは、障害を持つユーザーを代表するペルソナを含めることが重要です。

  • ユーザビリティテスト: プロトタイプの段階で実際のユーザーにテストを行い、製品の使いやすさやアクセシビリティを評価します。ユーザビリティテストを定期的に実施することで、開発の早い段階で問題点を発見し、修正することが可能です。

  • 反復的な改善: テストの結果に基づき、設計を何度も繰り返し改善することで、アクセシビリティとユーザビリティを両立させた製品を作り上げます。

2. 包括的なデザインガイドラインの採用

アクセシビリティとユーザビリティを両立させるためには、包括的なデザインガイドラインを採用することが重要です。こうしたガイドラインは、デザイナーや開発者が一貫性のあるアクセシブルかつユーザーフレンドリーなインターフェースを作成するための指針となります。

  • WCAG(Web Content Accessibility Guidelines): WCAGは、アクセシビリティ対応を行う際の国際的な標準です。これに準拠することで、視覚、聴覚、運動機能、認知機能など、さまざまな障害を持つユーザーがウェブコンテンツにアクセスしやすくなります。

  • マテリアルデザインガイドライン: Googleのマテリアルデザインは、視覚的に美しく、かつ使いやすいユーザーインターフェースを作成するためのガイドラインです。このガイドラインには、アクセシビリティを向上させるための要素も含まれており、ユーザビリティとアクセシビリティの両方を考慮したデザインを行うことができます。

  • ARIA(Accessible Rich Internet Applications): ARIAは、ウェブアプリケーションのアクセシビリティを向上させるための技術仕様です。特に、動的なコンテンツや複雑なインターフェースを持つアプリケーションにおいて、スクリーンリーダーなどの支援技術と連携するための標準を提供します。

3. 技術ツールの活用

アクセシビリティとユーザビリティの向上には、専用の技術ツールを活用することも効果的です。これらのツールは、開発者やデザイナーが製品やサービスのアクセシビリティとユーザビリティを評価し、改善する際に役立ちます。

  • アクセシビリティチェッカー: WebAIMのWAVEやGoogle Chromeのアクセシビリティデベロッパーツールなど、オンラインのアクセシビリティチェッカーを使用することで、ウェブサイトのアクセシビリティを迅速に評価できます。これらのツールは、自動でサイトをスキャンし、問題点を報告してくれます。

  • ユーザビリティテスティングツール: LookbackやHotjarなどのツールを使用して、実際のユーザーがどのように製品やサービスを使用しているかを観察し、ユーザビリティに関するフィードバックを得ることができます。これにより、使いやすさの向上に向けた具体的な改善策を見つけることができます。

  • プロトタイピングツール: FigmaやAdobe XDなどのプロトタイピングツールを使用して、アクセシビリティとユーザビリティを両立させたインターフェースを迅速に試作し、テストすることができます。これにより、デザインの初期段階で問題を発見し、コストを抑えて修正することが可能です。

4. 継続的な教育とトレーニング

アクセシビリティとユーザビリティを維持・向上させるためには、チーム全体の知識とスキルの向上が不可欠です。デザイナーや開発者だけでなく、コンテンツ制作者やマーケティング担当者も含め、全社的にアクセシビリティとユーザビリティの重要性を理解し、それを実践するための教育とトレーニングを提供することが重要です。

  • 社内研修プログラムの実施: 定期的にアクセシビリティとユーザビリティに関する研修を実施し、最新のベストプラクティスや技術トレンドを共有します。これにより、全員が一貫した目標に向かって取り組むことができます。

  • 外部講師の招致: アクセシビリティやユーザビリティの専門家を招いてワークショップやセミナーを開催し、実際のユースケースや具体的な改善方法を学びます。

  • オンラインリソースの活用: WebAIMやNN/g(Nielsen Norman Group)など、オンラインで提供されているリソースやガイドラインを活用し、自己学習を促進します。これにより、チームメンバーが個々のペースで学び続けることができます。

アクセシビリティとユーザビリティの調和

アクセシビリティとユーザビリティは、異なる側面を持ちながらも、どちらもユーザー体験を向上させるための重要な要素です。デジタルプロジェクトにおいては、これらの概念を統合し、誰もが使いやすく、アクセスしやすい製品やサービスを提供することが求められます。

Webサイトのアクセシビリティ向上をインクルーシブデザインで支援する「アクセシブルウェブサイト構築サービス」

あなたの企業が提供するウェブサイトは、すべてのユーザーにとって利用しやすいものになっていますか?今すぐウェブアクセシビリティ監査を行い、あなたのサイトがどれだけアクセシブルかを確認しましょう。また、ウェブアクセシビリティの専門家に相談することで、改善のための具体的なアドバイスを受けることができます。ウェブアクセシビリティの導入は、今すぐ始めるべき重要なステップです。

様々な人々・社会と共創するインクルーシブデザインスタジオ CULUMUは、あらゆるユーザーが利用できるインクルーシブなプロダクトの構築を支援する、アクセシブルウェブサイト構築サービスの提供を開始しました。これまでCULUMUでは、アクセシビリティを重視した画面デザインやウェブサイト制作の依頼が多くあり、着実に取り組んできました。今後、よりアクセシビリティの高いサイト設計が求められていくなかで、取り組みを加速させるために、正式にサービスの提供を開始いたします。

CULUMUでは、多様な人々が喜ぶオープンな取り組みの一環として、アクセシビリティの対応を推進していきます。

CULUMUの「アクセシブルウェブサイト構築サービス」の紹介画像。「やさしいデジタルを、当たり前に」というメインメッセージと共に、字幕付きの動画を見る人や操作に戸惑う人など、デジタル機器を利用する多様な人々のイラストが描かれています。

参考

ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック

ウェブアクセシビリティとは? 分かりやすくゼロから解説! | 政府広報オンライン

ウェブアクセシビリティ基盤委員会 | Web Accessibility Infrastructure Committee (WAIC)

事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律

障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律

Web Accessibility Initiative (WAI) | W3C

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