国土交通省が進める公共建築の当事者参画標準化の現在地と拡張する建築設計事務所の役割
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公共建築のプロポーザルで、「インクルーシブデザイン」はどう扱われ始めているのか?
公共建築のプロポーザル要項で、「インクルーシブデザイン」や「合理的配慮」「当事者参画」といった言葉を目にする機会が増えています。
本資料では、2025年度に公示された公共建築プロポーザルのうち、インクルーシブ関連の記述を含む55件を対象に、要項上でどのように記載され、どの程度具体的に求められているのかを整理しています。
また、国土交通省が進める当事者参画の標準化の流れを踏まえながら、建築設計事務所がこれからの公共建築プロポーザルで、当事者参画や利用体験の視点をどのように提案へ取り入れていけるのかを考えます。
公共建築プロポーザルでの記述の仕方や、当事者参画の標準化を見ると、設計事務所に求められる役割がハードの設計業務では留まらないことが見えてきました。
インクルーシブデザインが公共建築に求められ始めている現在、建築設計事務所はどう提案を行い、プロジェクトを推進すべきか。拡張しつつある設計事務所の役割を知り、次のアクションを考えるためのホワイトペーパーです。
目次
なぜ今、公共建築でインクルーシブデザインが要求されるか
公共建築のプロポーザル要項では、インクルーシブデザインはどう伝えられているか
インクルーシブな空間建築を、デザインスタジオと実現する
デザインスタジオCULUMUについて

このホワイトペーパーは、以下のような方におすすめです
公共建築・公共施設のプロポーザルに関わる建築設計事務所の方
自治体や公共施設の設計、整備、運営に関わる方
要項に記載される「インクルーシブデザイン」「合理的配慮」「当事者参画」を、提案内容にどう反映するか検討している方
バリアフリーやユニバーサルデザインの蓄積を、より広い利用体験の設計へつなげたい方
施設利用者、職員、地域住民など、多様な当事者の声を設計プロセスに取り入れたい方
公共建築における当事者参画の制度動向や、プロポーザル要項での扱われ方を把握したい方
当事者参画は、公共建築でも標準的に求められる流れが見えてきています
公共建築における当事者参画は、個別の工夫や任意の意見聴取にとどまらず、制度上の目標として位置づけられ始めています。
国土交通省は、建築プロジェクトにおける当事者参画を、単に意見を聞く場ではなく、施設整備や運営の完成度を高めるためのプロセスとして整理しています。
特に、2,000㎡以上の国等の公共特別特定建築物では、着工前段階の当事者参画実施率を2030年度末までに原則100%とする目標も示されています。
ここで問われているのは、「当事者の声を聞いたかどうか」だけではありません。
図面や基準だけでは見えにくい使われ方を、計画段階でどう確かめ、設計にどう反映するかです。
公共建築のプロポーザルでも、その視点をどう提案に組み込むかが、少しずつ問われ始めています。

「配慮」は、後から足すものではなく、設計の前提になりつつあります
公共建築における配慮は、かつて「できれば望ましいもの」や確認項目として扱われることもありました。
しかし現在は、合理的配慮の提供義務化や、公共建築における当事者参画の標準化を背景に、施設やサービスを提供する側の前提条件として考える必要が高まっています。
もちろん、法令や基準に対応するだけで、よい空間が生まれるわけではありません。
緊張せずに入れるか
迷ったときに立ち止まれるか
疲れたら休めるか
案内は伝わるか
助けを求めやすい雰囲気があるか
こうした体験は、図面や仕様だけでは見えにくいものです。
だからこそ、設計の初期段階から多様な人の経験を取り入れ、空間の前提を見直すことが重要になります。

プロポーザル要項では、どの程度具体的に求められているのか
本資料では、2025年度に収集した公共建築プロポーザル要項の中から、インクルーシブ関連語を含む55件を対象に分析しています。調査対象は関連語を含む案件に限定しており、全プロポーザルに占める割合を示すものではありません。
分析から見えてきたのは、インクルーシブデザインに関する記述が、すべて同じ重みで扱われているわけではないということです。
理念や背景として置かれているもの。
設計方針や提案内容の一部として求められているもの。
さらに一部では、評価項目として扱われているものもあります。
つまり、インクルーシブデザインは「あると望ましい考え方」から、プロポーザルの中で説明し、提案し、評価されるテーマへと移りつつあります。
本資料では、こうした要項上の記述を3つの段階に分け、公共建築プロポーザルにおけるインクルーシブ要求の現在地を整理しています。

設計事務所に求められる役割も、図面や空間だけでは扱いきれない領域へ広がっています
公共建築におけるインクルーシブデザインは、段差解消や通路幅の確保だけで完結するものではありません。
利用者がどう施設に入り、どう迷い、どこで待ち、どこで休むのか。
案内表示や音環境、待合スペース、相談しやすさ、職員の対応、予約や利用ルールまで含めて、空間の使われ方は形づくられます。
そのため、建築設計事務所に求められる役割も、空間設計だけに閉じなくなっています。
調査・リサーチ、ワークショップ、当事者参加、設計への反映、運用支援、専門知識の保有。
こうした要素が、プロポーザル要項の中でも求められ始めています。
本資料では、インクルーシブ関連記述を含む55件の要項をもとに、設計事務所にどのような役割が期待されているのかを整理しています。

当事者の声を、設計で扱える条件にしていくために
当事者参画は、声を聞くだけで終わるものではありません。
困っていることを聞いた
ワークショップを実施した
意見を集めた
それだけでは、設計提案や計画に反映しきれないことがあります。
大切なのは、当事者の経験を、空間、情報、運用、心理、制度といった複数の観点から捉え直し、設計で扱える条件にしていくことです。
たとえば、ある人の「入りにくい」という声は、入口の段差だけでなく、案内のわかりにくさ、周囲の視線、受付でのやりとり、待つ場所の不安と結びついているかもしれません。
そうした経験を丁寧に分解し、設計者や発注者、運営者が扱える問いにしていく。
そのプロセスが、インクルーシブな空間づくりには欠かせません。

CULUMUは、インクルーシブな空間建築を実現するためのプロセスを支援します
CULUMUは、インクルーシブデザインの考え方をもとに、当事者の声を起点としたリサーチ、ワークショップ、体験検証、サービス・空間設計の支援を行うデザインスタジオです。
公共建築や施設づくりにおいては、建築設計事務所や発注者と連携しながら、利用者の経験を計画段階から捉え、設計や運用に接続するための支援を行います。
空間の形だけでなく、その場で人がどう過ごすのか。
誰が入りにくさを感じ、どこで迷い、どのような情報や余白が必要なのか。
こうした問いを、当事者、設計者、発注者、運営者がともに考えられる形に整え、より多くの人が安心して過ごせる空間づくりを支援します。
続きはホワイトペーパーをご確認ください
本ページでは、公共建築における当事者参画の制度動向と、プロポーザル要項分析の一部をご紹介しました。
ホワイトペーパー本編では、以下の内容をより詳しく整理しています。
公共建築でインクルーシブデザインが求められる社会的背景
当事者参画の標準化に関する国土交通省・文部科学省の動向
公共建築プロポーザル要項におけるインクルーシブ関連記述の分析
インクルーシブ要求の3段階分類
実際のプロポーザル要項での記載例
設計事務所に求められる役割の変化
当事者の経験を設計に接続するための考え方
CULUMUによるインクルーシブな空間建築支援の進め方
公共建築におけるインクルーシブデザインを、理念や配慮の言葉だけで終わらせず、プロポーザルや設計プロセスの中でどう扱うのか。
これからの公共建築・公共施設づくりを考えるための資料として、ぜひご活用ください。
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