片麻痺・弱視・高齢者ら8名との共創から、パッケージ設計の前提を問い直す。大日本印刷(DNP)の包摂的なパッケージ開発を支援しました
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CULUMUは、大日本印刷株式会社(以下、DNP)が推進する「インクルーシブ商品開発プログラム」の共創パートナーとして、当事者とのリサーチを支援しました。
この取り組みを通じて開発された試作品は、2026年10月14日(水)〜16日(金)に開催された国際包装展「TOKYO PACK 2026」で公開されました。

パッケージが「無意識の前提」にしていること
DNPは、多様な視点から「未来のあたりまえ」をデザインする取り組みの一つとして、2016年からパッケージにおけるインクルーシブデザインを推進しています。
パッケージの設計は、文字を目で読むこと、容器を片手で押さえてもう一方の手で開けること、表示された情報を理解して必要な力を加えれば使えることを、無意識の前提としています。
しかし、生活者の身体の状態や見え方、これまでの経験、使う道具、利用する環境は、一人ひとり異なります。
設計の前提と実際の身体との間に摩擦が生じたとき、生活者は身体の使い方を工夫したり、道具を活用したり、その商品を使うこと自体を避けたりして、使い方を組み替えています。
個人の困りごとを、構造的な課題として捉え直す
CULUMUは、多様な当事者との共創を起点に、N=1の深いインサイトから新規事業・サービス・プロダクトを設計することを強みとしています。
今回の取り組みでも、次の4つの段階を通じて、個人の困りごとを社会に共通する構造的な課題として捉え直すプロセスを支援しました。
深い違和感や困りごとを抱えるリードユーザーを特定する
対話や実際の利用場面の確認を通じて、すぐには言葉になりにくい経験や障壁をともに整理する
個々の利用場面で生じる摩擦を、設計や環境に関わる構造的な課題として整理する
その構造に対して問いを立て直し、新しい可能性を導き出す
実施概要
調査参加者:片麻痺のある方、弱視の方、高齢者 計8名のリードユーザー
方法:日記法調査、対面インタビュー、ワークショップ形式でのパッケージ評価

当事者がパッケージを見つける段階から、開封、使用、分別・廃棄に至るまでの一連の行動を観察しました。
そのうえで、設計が求めるものと、当事者が実際に使える資源(身体、道具、経験、環境)がどこで噛み合わなくなるのかをDNPとともに分析し、パッケージを評価するための独自の評価軸と、その背景にある生活上の価値を構造化しました。
パッケージ設計の前提を問い直す4つの視点
取り組みを通じて、包摂的なパッケージ開発に向けた4つの視点が得られました。
1.「読んでもらう」前に「見つけてもらう」ことを設計する
弱視のある参加者からは、色や触覚、過去の経験を手がかりに確認しているという声がありました。
情報設計の第一歩は、まず見つけてもらうことにあります。
2.容器の「安定性」が「開けやすさ」につながる
開けにくさは、力だけの問題ではありません。
容器が四角い、硬い、自立するといった特性を備えることで、安心して容器をホールドでき、結果として力をかけやすくなります。
「開けやすいパッケージ」という発想から、「安定して力を伝えられる構造」という発想へと広げる必要があります。

3.「開けられること」以上に「こぼさないこと」への安心感
液体が飛び散る、熱いレトルトを持つのが怖いなど、開封時の失敗への恐怖感がストレスになっています。
使いやすさを測る指標には、開封の成功率だけでなく、安心感まで含める必要があります。
4.「両手を使う」という無意識の前提を問い直す
キャップを回す、パウチを押さえるなど、多くのパッケージは両手を使うことを前提に設計されています。
片手で完結する体験は、片手で操作する人に加えて、片手がふさがっている場面など、さまざまな利用状況で役立つ可能性があります。
これから
DNPは今回の展示を起点に、インクルーシブなパッケージに向けた開発支援をメーカー各社へ展開していく予定です。
CULUMUはこれからも、当事者との共創を通じて商品・サービス開発の起点となる問いを設計し、社会性と事業性を両立する事業づくりを支援していきます。
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